見出し画像

玉葱家 #3 『ドッキリ』

リビングにオザキとタマキ。二人でゲーム。
以下、二人は黙々とゲームをしながら会話。(魂斗羅スピリッツ)

オザキ:…ドッキリをさ。

オザキ:…ドッキリを、しようと思うんだよね。

タマキ、オザキに向かって変な顔

オザキ:ドッキリを、したいんだよね。クワタに。
タマキ:ほうほう。それは、どんな。
オザキ:それをね、一緒に考えてほしくて。
タマキ:なるほどね。
オザキ:というのもね、クワタ含めてさ、3人ともさ、そういうのきらいじゃん。
タマキ:なにかサプライズをしようぜ、みたいな、甲斐性があるのはクワタだけかもね。
オザキ:そうなのよ。っていうかさ。たぶんおれとか、タマキもかもだけど、ドッキリされたら、まあまあキレるじゃん。
タマキ:俺は…そんなこと…ないけどねぇ
オザキ:キレないかもだけどさ、「ふぅーん」みたいな顔するじゃん
タマキ:しないよ
オザキ:フラッシュモブとか殺したいじゃん
タマキ:…いやいや、そんなことないよ?
オザキ:二人の時に謙遜要らないよ
タマキ:これは謙遜と呼ばないよ
オザキ:だからさ、クワタが俺たちにドッキリしてやろうみたいなのって考えないじゃん。
タマキ:まあクワタが「おい、オザキにドッキリしようぜ!」とは言わないだろうね。なんか怖いし。
オザキ:おれとクワタで、「タマキにドッキリしようぜ!」ともならないのよ。なんか3人組の距離感って難しいわね。
タマキ:わかるよ。二人きりになったときの距離感ってあるよね。
オザキ:それだとおれとクワタが距離あるみたいになっちゃうけどさ。まあそういうのあるじゃん。この人といるときはこういう感じ、みたいな。
タマキ:そうね。クワタも、俺とオザキが一緒にいてドッキリしてくるなんて考えもしないだろうね。
オザキ:そうなのよ。それを逆手にとっての
タマキ:ドッキリね。なるほどね。

オザキ:でね、なにがいいかなって話なんだけど。おれ全く、全く何も思い浮かばないからさ、ドッキリの基本みたいなのを考えてほしくて。
タマキ:基本?
オザキ:この家でできるよ、みたいな。「びっくりした~」くらいのさ。
タマキ:あれじゃない?クワタがさ、家帰ってきてさ
オザキ:うん
タマキ:ドア開けるじゃん
オザキ:開ける
タマキ:そしたら家が爆発するっていう(笑)

二人、爆笑

オザキ:それ、めっちゃいいな
タマキ:いいよな。扉開けたら、目の前で、賃貸が爆散するっていう

二人、爆笑

オザキ:よすぎる。それやろうぜ。
タマキ:いいね。
オザキ:何を用意すればいいんだろ
タマキ:ダイナマイトとか?
オザキ:ああ~。無理じゃね。
タマキ:無理だな。
オザキ:なるべく、おれたちでできるのがいいなぁ~
タマキ:まあそうね。
オザキ:う~ん
タマキ:じゃあさ、寝起きドッキリっていうのは?
オザキ:おお、それっぽい。なにすんの?
タマキ:クワタ寝てるじゃん。
オザキ:寝てる。
タマキ:で、クワタ起きるじゃん。
オザキ:起きちゃうんだ。
タマキ:で、家が爆発するっていう(笑)

二人、爆笑

オザキ:爆発しちゃうの?家が
タマキ:そう。起きてすぐ賃貸が爆散するの

二人、爆笑

オザキ:それめっちゃくちゃいいな
タマキ:な、よくね?
オザキ:いいわ。やろうぜ。
タマキ:おお。あ~でもあれだ。
オザキ:なに?
タマキ:ダイナマイト問題
オザキ:ああ~。それがあったな。
タマキ:どうにか用意できないかな。うちだけぶっ飛ぶようなやつ。
オザキ:でも賃貸ぶっ飛ばすとそのあとめんどくさくね。
タマキ:確かに。金ないしな。
オザキ:じゃああれだな。おれたちがやるとしたら、賃貸をぶっ飛ばさずに、金がかからない方法でドッキリしないとダメだね。
タマキ:そうなんだよね。
オザキ:じゃあもっと、日常でどきっとしちゃう瞬間って何だろうみたいなこと考えないとダメだね。
タマキ:ああ~。
オザキ:う~ん。なんか、急に後ろに人がいる、みたいな怖さだよね
タマキ:なるほどね。じゃあね、クワタが帰ってくるじゃん
オザキ:うん
タマキ:今日は
オザキ:友達と飲み
タマキ:から帰ってくるじゃん
オザキ:うん
タマキ:で、俺らは二人で、無表情で玄関に立って待ってるの。シャイニングみたいに。
オザキ:おお、怖いね
タマキ:で、ドア開けて
オザキ:うん
タマキ:家が爆発するっていう(笑)

二人、爆笑

オザキ:それはめっちゃドキッとするね
タマキ:でしょ?シャイニングかと思ったらダイハードでした~っていう
オザキ:それは怖いわ。目の前で友達と賃貸が爆散していくの嫌だもん。なんか、告白の最後みたいで。
タマキ:これはいいね。
オザキ:ダイナマイト賃貸問題マジでウゼ~な~
タマキ:DT問題ね
オザキ:DT問題。じゃあさ、両方関係ないけど、もっと怖いやつにすればいいんじゃない?
タマキ:というと?
オザキ:シャイニングまでは一緒ね。友達と飲んで、夜道を駅から歩いてくるわけよ。
タマキ:楽しかったなぁっつってね。で、夜道でちょっと酔いも冷めて、友達と別れた後一人でさみしくなって、で家についてシャイニングね。
オザキ:で、びっくりするじゃん。そしたら、おれとタマキが、そこでお互いをぼこぼこに殴るの。
タマキ:おお、ファイトクラブ作戦ね。
オザキ:そうそう。じゃあお互いで殴りあっちゃだめだ。クワタが帰ってきたら、おれもタマキも、二人とも、一人で仮想敵と喧嘩しだすの。
タマキ:別々に、一人でだれかと喧嘩するの?
オザキ:そうそう
タマキ:いいねぇ~!めっちゃ怖いねそれ。
オザキ:だろ?
タマキ:お手軽にできるしな。
オザキ:そうそう。で、慌てるじゃん、クワタが。
タマキ:普通に心配して止めに入るだろうね。「何してんの!」って
オザキ:それで、家が爆発するっていう。
タマキ:そこでか~!

クワタ、帰宅。リビングへ。

二人 :おかえり
クワタ:ただいま
オザキ:やっぱさぁ、家は爆発させたくね?
タマキ:させてぇなぁ!
クワタ:え?絶対やなんだけど。なんで?
オザキ:なんでって…言われても…
タマキ:まぁ、普通に嫌だよなぁ
オザキ:まぁ、普通に嫌だなぁ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?