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書く練習(4/4)

先輩「あれ、あっちゃん。」
後輩「先輩タバコ吸うの知りませんでした。」
先輩「吸う人の前でしか吸わないもん。」
後輩「今日吸う人いないじゃないですか。」
先輩「大人数での飲み会は別だよ。」
後輩「先輩は5人からはたくさんの人?」
先輩「3人からはたくさんだね。」
後輩「基準低いですね。」
先輩「まあね。そっか、あっちゃんと飲み会とかで同じになるのって初めてか。」
後輩「そうかもですね。」
先輩「まあそもそもあんまり集まりないもんね。映研。」
後輩「なさすぎですよ。」
先輩「あはは。ごめんね。それカンちゃんに言ってよ。」
後輩「別にいいんですけどね。全然。」
先輩「何吸ってるの。」
後輩「実は吸ったことなくて。」
先輩「え、飲み会居心地悪い?」
後輩「いや、デリカシー。そうじゃなくて、一本もらえないかなって。」
先輩「なるほど。じゃあ、年齢が確認できる身分証明証とか見せてもらっていい?」
後輩「1998年8月2日生まれです。学生証でいいですか?」
先輩「それって何歳なの。」
後輩「満ハタチです。」
先輩「じゃあいっか。メンソールだけど大丈夫?」
後輩「スーッとするやつですか?」
先輩「うん。チョコミントとか好き?」
後輩「チョコミントは別に好き嫌いないですけど、多分平気です。」
先輩「珍しいね。チョコミントってすごい好きかすごい嫌いかの二択じゃん。」
後輩「確かにそうかもですけど、私はチョコミントに感情を揺さぶられたことないです。良くも悪くも。」
先輩「そっか。」
後輩「先輩はチョコミント大好きってことですか?」
先輩「いや、おれもチョコミントのこと好きも嫌いもないや。」
後輩「なんじゃそりゃ。」
先輩「ははは」

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先輩「どうだった?ペドロコスタ。」
後輩「うーん。」
先輩「いや、正直。」
後輩「いや、うーん。難しい、なぁ、と、思いました。私には。難しいって言いたくないんですけど。うーん。」
先輩「面白くなかったんだ?」
後輩「いや、うーん。面白いと思うところもなくはなかったんですけど。うーん。」
先輩「あはは。えらいね。難しかったで済ませちゃう人多いのに。」
後輩「悔しいというか。難しいで済ませちゃうのって。逃げというか。」
先輩「戦ってるんだ。」
後輩「戦ってはいないと思うんですけど。なんか、嫌じゃないですか?映画館で難しかったねーって出ていっちゃう人たちって。」
先輩「うーん。まあ、そういう人とあっちゃんみたいな人なら、あっちゃんみたいな人の方が好きかな。」
後輩「だから、言いたくないんですけど。でも、今日の3本目のやつとかは、正直、面白かった1の、つまんなかった99だったというか。」
先輩「ヴァンダの部屋やばかったね〜。おれ15時間の映画かと思った。3時間のだったんだねあれ。」
後輩「あ、先輩でもそう思うんだ。」
先輩「うん、難しかったとかは思わなかったけど、普通にキツかったね。あとでカンちゃんに文句言っとく。」
後輩「でもいいんじゃないですか?大学のサークルなんだから、ああいうのも見ないと。」
先輩「そう言ってもらえてよかったです。」
後輩「急に先輩ぶりますね。」
先輩「あっちゃん、ちょっとおれのこと馬鹿にしてるよね。ずっと。」
後輩「いやいや、そんなことないですよ。ほんとに。」
先輩「ははは、いや、全然いいんだけど。」

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後輩「先輩は、好きな映画なんですか。」
先輩「うーん…。ハネケとか、ロイアンダーソンとか、アキカウリスマキとか…?」
後輩「うわ、全部聞いたことない。」
先輩「ごめん、ぶっちゃった。」
後輩「いやいや、全然ぶってるとは思わないですけど。」
先輩「なんかさ、カンちゃんとかさ、映画なら佐藤に聞け!っていうじゃん。あれ結構嫌なんだよなぁ。おれそんなに映画詳しくないし。」
後輩「そんなことないですよ。先輩が一番詳しいじゃないですか。シネフィル、なんでしょ?」
先輩「やめてえ。シネフィルって言わないで。」
後輩「もっかい言ってもらっていいですか。マークしときます。」
先輩「Filmarksやってるんだ。教えてよ。」
後輩「はい、ぜひ。これです。」
先輩「おっけ、ちょっと待ってね。」
後輩「すいません。全然レビューとか書いてないんですけど。」
先輩「全然すいませんじゃないよ。はい、フォローした。」
後輩「ありがとうございます。」
先輩「あ、リトルフォレスト。好きなんだ。いいよね。」
後輩「はい、好きです。」
先輩「なんか、なんとなくあっちゃんがどんな人なのかわかってきたかも。」
後輩「Filmarksで人格診断するのやめてください。」
先輩「そうだね。ごめんごめん。」
後輩「わ、難しそうな映画ばっかり。」
先輩「そんなことないよ。」
後輩「わかんないなーって思うことないんですか?っていうか、今日の映画どう思いました?」
先輩「どうって言われると難しいんだけど。おれさ、よくわかんなかったな〜って思うこと、あんまりなくてさ。」
後輩「すごい。」
先輩「いや、すごいとかじゃなくてね。多分さ、映画って、映画っていうか芸術全般?って、製作者の手を離れてこっちに届いたら、もう視聴者のものだと思うの。」
後輩「ふむ。」
先輩「だから、まあもちろん作った人にも意図や意見はあるんだろうけど、それが100%伝わらなくても、というか100%伝わることって多分なくて、それより、見た人がどう思ったかが100%大事だと思うのね。」
後輩「はい。なんとなくわかります。」
先輩「だからさ、えーっと。なんの話だっけ。」
後輩「えーっと。先輩は難しいと思うことありますか?」
先輩「ああ、はいはい。だからさ、難しいと思うこと自体の意味がよくわからないというか。何も感じなかったのであれば、わからなかったのではなくて、何も感じなかったってだけだし。とても感じるものがあったのであれば、わかったのではなくて、感じるものがあった、自分の中で反応することがあったってことで。それでいいのかなって。すごい逃げかもしれないけど。」
後輩「いや、すごいいいと思います。」
先輩「すごいよくはないんだけど。だから、なんかレビューとか評論とか読むと、すごいなぁって思うし。」
後輩「へえ。」
先輩「ごめん、ぶっちゃった。」
後輩「いやそんなことないですってば。」
先輩「でも、一本めはめちゃくちゃ面白かったなって思った。」
後輩「ああ、あれ、祭りのシーンめちゃくちゃよかったですよね。」
先輩「ね!あのシーンはマジでよかった。」

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後輩男「いつまで吸ってんですか」
先輩「お、あれ。ゆう吸うの?」
後輩男「嗜む程度に。」
先輩「なんだそれ。」
後輩男「あっちゃんも吸うんだ。」
後輩「いや、私は。」
先輩「あっちゃん初めてだって。」
後輩男「あらあら。」
後輩「ゆうは何吸うの?」
後輩男「今は金ないからワカバ。」
先輩「金ないならタバコなんか吸うな。」
後輩男「確かに。」
先輩「これ、残り3本だから2人にあげる。仲良く吸ってね。」
後輩「いいんですか?」
先輩「常に二箱持ってるからね。」
後輩「家宝にします。」
後輩男「家宝にします。」
先輩「んな大袈裟な。」
後輩男「早速一本もらっちゃお。」
先輩「じゃ戻るわ。カンちゃんに文句言わないと。」
後輩男「なんの?」
後輩「言わなくていいですってば」
先輩「あっちゃんが、つまんない映画見せられて怒ってたから。」
後輩「怒ってないですってば。」
後輩男「え、あれつまんなかった?俺結構好きだった。」
先輩「お、いいね〜。ほなね。」
後輩男「あ、はい。え、あっちゃんは?」
後輩「う〜ん、私は…」

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