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「一人にしないことで、ホテルの未来は次につながる」

GM GYMの立ち上げ初期から携わられている日本ホテル株式会社 常務取締役・東京ステーションホテル 総支配人の藤崎 斉さんに本日はお話をお伺いしました。
なぜ、企業の垣根を超えたホテルの研修プログラムを立ち上げられたのか、ホテル業界のこれまでとこれからを見つめつづける藤崎さんの、過去にご自身が葛藤された経験やホテル業界にどんな思いがあるのかを、様々な角度からお伺いしてきました。



プロフィール

藤崎 斉
Hitoshi Fujisaki
日本ホテル(株) 常務取締役
東京ステーションホテル 総支配人
ヒルトン、ウェスティン等グローバルブランドに20年以上在職し、宿泊部門長やエグゼクティブ職を歴任。その後JALホテルズ本社にて執行役員営業本部長兼マーケティング部長として国内外約60プロパティーを担当。2011年、東京駅丸の内駅舎保存・復原プロジェクトに伴う東京ステーションホテル再開業準備室 室長に着任、現在に至る。2013年度「ホテリエ・オブ・ザ・イヤー」受賞。



「キャリアの軸にあったのは感謝の心と日々を全力で駆け抜けること」

インタビュアー:
「本日は、よろしくお願いいたします。はじめに藤崎さんがホテル業界に入られたキッカケを教えてください」
藤崎さん:「私が就職した当時は大学4年の10月頃が内定の時期だったのですが、第一志望企業の最終面接で落ちてしまい、その結果が出たのが12月。さあどうしようと思っていたところ、当時は日本リクルートセンター(現リクルート)が観光事業に力を入れ始めたタイミングで、アルバイトをしていたことがある私に、運営するホテルで働かないかと熱心に声を掛けてくださって、特別に入社できたのがホテル業界で働くことになったきっかけです。元々は接客業を目指していたわけではありませんでしたが、何でもトライする企業文化の中で、営業や調達などに携わり、トライ&エラーを繰り返し、日に日にホテルビジネスが好きになっていきました。
 

インタビュアー:「ありがとうございます。ご自身の第一志望ではなかったものの、飛び込んでみるとその魅力に日々魅了されていったんですね。キャリアプランについて若いころから計画されてきていたんでしょうか?」
藤崎さん:「私はキャリアプランを綿密に立てて、逆算しながら行動することが苦手で……その時々のタイミング、そして出会いやチャンスなどもあり、そこで力を尽くすという積み重ねでここまで歩んできたように思います。ただ、キャリアを重ねるなかで、「周りに感謝をする」ことと「結果を出す」ことへの意識は強く持つようにしていました。」
 

「”日本のホテル”だからできることはないのか?」

インタビュアー:「なるほど、その時々のタイミングで常に全力で駆け抜けられた積み重ねが今の藤崎さんを作られているんですね。では藤崎さんからみたホテル業界の魅力って何でしょうか?」
藤崎さん:「客観的に見れば、皆さんご存じのように非資源国の日本にとって、観光ビジネスは非常に重要な輸出産業です。また宿屋としての歴史は古いものの、産業としてのホテルビジネスは欧米からするとまだまだ発展途上な分、大きな可能性があり、BtoCビジネスとして日本の得意領域が大いに活かせると思っています。コロナ禍を経ても海外からの人気は高く、多くのインバウンドツーリストが日本を訪れていますし。政府も観光立国へ向けた活動を積極的に支援・推進していますが、治安、交通インフラ、自然と歴史、食、そして文化遺産や道徳観など、日本にこれほど観光の基本力が揃っていることは、世界に比しても素晴らしいことだと思います。
 その魅力や価値を世界に(無論国内にも)もっと届けていくことが、ホテル業界が担う本当にやりがいのあるビジネスだと思いますし、なんといってもホテルにおいての人的サービスは「瞬間生産、瞬間消費、瞬間評価」というプレッシャーはありながらも、「人の記憶に残る」というヒューマニティー溢れる仕事としての魅力もあるはずです。

「GM GYMのきっかけについて」

インタビュアー:「これまで日本のホテル業界の可能性について、藤崎さんの想いをお伺いすることができました。ここからは、GM GYMを立ち上げられたきっかけについて教えてください。」
藤崎さん:「遡って考えれば、ホテルオペレーターだった前職時代の、投資サイドにいた池尾さんとの出会いだったように思います。投資側と運営側は対峙するものではなく、常に同じ方向を向いて、それぞれの立場で目標に向かわなければ持続的な成功はない、という共通の想いです。そのためにもOne Way 方式の単なるセミナーではなく、本格的なGM(Guiding Manager)を育てる学びの場が必要だ、と。やがてその想いを理解し、共感する人たちが集まり、具体的な立ち上げに向かっていったというプロセスです。
 これまで国内ホテル産業においては、グローバル企業をホテルマネジメントのお手本とすることが、ビジネスの側面では非常に大きかったと思いますが、これからは、その手法が全てではないかもしれません。無論グローバルスタンダードを理解した上で取り組まないと、単なる自己流では長く続かないと思いますが、一般的なKPIや手法だけではなく、本当に大切にしたい自分たちの価値観・尺度もあるのではないかと。GM GYMを通してさまざまな立場の方とお話しすると、より一層その想いが強くなり、議論・対話を通してそれが形作られていくのを感じています。
 

「正解がひとつではない時代だからこそ、一緒に正解を見つけよう」

インタビュアー:「GM GYMにこれまで携わられて感じていることなどありましたら教えてください。」
藤崎さん:「世代が離れた受講生に接する度に、我々の戦い方は「バトンリレー」なのではないかと思うんです。2016年のリオ五輪の男子400Mリレー決勝で見せた日本チームの快挙が、まさにそのもの。強豪国が居並ぶなか、世界一の選手がいなくても、臆せず、それぞれがしっかりと自分の役目を果たし繋いでいくバトンリレーなら、世界でもメダルを獲得できる。GM GYMにはそのような環境と機会、そして目的があると思っていますし、自らを磨きつつ、今ある日本の魅力を次の世代に繋いで欲しいと思っています。
 もうひとつ大切にしているのが「一人にさせない」こと。あのコロナ禍で1年間ホテルにリブインし、朝から晩まで館内ウォークスルーを行ったときに感じたスタッフの深い不安感。見かける度に「大丈夫、必ず乗り越えられるから」と声をかけ、思いをひとつにしていったことで実際乗り越えることができた。そして危機に陥ったときこそ見えるビジネスの本質もありました。
 ホテル業界は常に判断の連続です。そして答えは目の前の人の数だけあるはず。だからこそ、インプットだけで終わり、ではなく、メンターや講師と受講生とで一緒に方向性を見つける力をつけ、これから先に繋げるバトンを磨いていきたいのです。
 このGM GYMは、ホテル業界といってもさまざまな事業モデルの視点を持つ経験値豊かな講師陣と、同じく世代や立場も違う受講生とが交流することでとても面白いケミストリーが起きる場だと思っています。
 同じテーマで講義を行っても、それぞれ参加する受講生によって全く違う物になっている。これもまさに、正解は一つじゃない。そんな事を私たちに教えてくれている気がします。」

まとめ
 今回は、日本ホテル(株) 常務取締役東京ステーションホテル 総支配人 藤崎さんのお話をお伺いしました。
日頃、自分のことを誰かと比べてしまいがちな時に、自分でいることの大切さと誰かのためにバトンを繋ぎながら大きな壁に立ち向かう勇気を頂けたように感じます。
日本のホテル業界に対する強い想いと、コロナ禍の経験からGM GYMを立ち上げられた経緯をお伺いすることができました。今回は、ありがとうございました。

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