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ベストゲームサントラ2023

■はじめに

今年もツイッター上でベストゲームサントラ2023のタグで皆様に今年のゲーム音楽についてお話頂きました。この企画は、今年1年のゲーム音楽がどうだったのかを振り返って頂き、皆様とゲーム音楽について話す機会になればと思い開催しております。
選出ルールは、今年聞いたものであれば新作・旧作問わず何でもOKとしておりますが、私は毎年その年に発売された新作サントラ(又は初音源化された)CDからトップ10を選出してお届けしております。これは皆様に新作のゲームサントラCDがどのようなものがあったのか?に関心を持ってもらい、少しでも新作のゲームサントラが発売される機会を作っていきたいという思いからそのようにしております。

今年はベストゲームサントラ2023の話をした際にあまりサントラを買っていない・聴いていない旨のツイートが散見されました。この文章執筆時点でも昨年に比べてタグの投稿数は少なめでした(その後、ポツポツ投稿が増えました)
・ゲームサントラや音楽への関心が少なくなっている
・昨今のゲーム音楽が魅力的に感じない
・(その人にとって)2023年のゲームサントラが不作だった
・ゲームサントラ愛好会への注目度の低さ
これらの要因やその他の理由が複数重なっているかもしれませんが、この現状ではゲームサントラの未来は明るいとは言いづらい状況だと思います。

そんな状況ではありますが、今年も熟慮を重ねてベスト10の選考しました。
選出の基準は、完全に私の主観と好みによって選出されており、ゲームのプレイ時間や進行度に関しては時間的な制約もあり、全てが同じ基準というわけではありません。また、なるべく多様なタイトルを選出したいという思いもあり、同一タイトルやシリーズのサントラはまとめて選出するという形を取っております。なお、選出対象とした音源は全て購入して試聴している事もお伝えしておきます。

■惜しくもトップ10を逃したタイトル

・黎の軌跡IIオリジナルサウンドトラック上下巻
・STREET FIGHTER 6 ORIGINAL SOUNDTRACK
・404 GAME RE:SET -エラーゲームリセット- Memorial Album
・Blue Archive Original Soundtrack Vol.3 ~Reaching for the precious time~
・ライザのアトリエ3 終わりの錬金術士と秘密の鍵 オリジナルサウンドトラック
・龍が如く7外伝 名を消した男 ORIGINAL SOUND TRACK
・地球防衛軍 サウンドトラックコレクション 2003-2023
・OCTOPATH TRAVELER Arrangements Break & Boost Vol.2
・OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者 Original Soundtrack vol.2
・ガレリアと地下迷宮の魔女の旅団 アレンジサウンドトラック
・Bloodstained: Curse of the Moon Soundtrack Limited Collector's Edition
・メメントモリ Lament Collection Vol.1
・バッカニヤ オリジナルサウンドトラック
・ベヨネッタ オリジンズ セレッサと迷子の悪魔 オリジナルサウンドトラック
・ADOL CHRISTIN ~イース生誕35周年音楽作品~
・FINAL FANTASY Series ACOUSTIC ARRANGEMENTS
・PRINCESS CONNECT!Re:Dive ORIGINAL SOUNDTRACK VOL.5
・メグとばけもの オリジナル・サウンドトラック
・PERSONA SUPER LIVE P-SOUND WISH 2022 ~交差する旅路~ LIVE CD
・ANOTHER EDENORIGINAL SOUNDTRACK 5

まずは、最後の最後までトップ10に入れようか迷ったサントラをご紹介。
結構ありえないサントラがここに入っているなという印象です。
「黎の軌跡II」は、毎年入っているFalcom枠に該当しますが、2023年はTop10に入れませんでした。「ライザのアトリエ3 終わりの錬金術士と秘密の鍵」も、アトリエ枠としてTop10常連入りのタイトルのはずですが、断腸の思いで落選。「STREET FIGHTER 6」「龍が如く7外伝 」「バッカニヤ」「メメントモリ」「Blue Archive Original Soundtrack Vol.3」もかなり迷ったサントラですが、曲の刺さり具合に関してはわずかにTop10のサントラの方が上だったと感じました。
アレンジ盤として秀逸だと感じたのは、「ガレリアと地下迷宮の魔女の旅団」「ADOL CHRISTIN ~イース生誕35周年音楽作品~」「FINAL FANTASY Series ACOUSTIC ARRANGEMENTS」はかなりクオリティの高いアレンジとなっていて自信を持ってオススメできる作品です。「ACOUSTIC ARRANGEMENTS」シリーズは今後の作品にも期待したい所ですね。

■トップ10

10位.風のノータム オリジナル・サウンドトラック

97年のPSで発売された「風のノータム」のサントラがランクイン。
発売から四半世紀が過ぎてのまさかの音源化に驚いた作品でした。PSでは様々なタイトルをプレイしていて、この作品もその1つです。ゲームとしては何やら難しくて遊びにくかったですが、ゴキゲンな音楽が流れているなとぼんやり当時は思っていました。テクノ・アンビエント・エレクトニカ・シティポップといった電子音楽を軸とするジャンルの音楽が多彩に流れます。
曲によっては(ゲームからは想像しにくい)激しめの音楽に発展する事もあり、実際の天候を模したようなコロコロと表情の変わるサウンドは
とても印象的でした。機会あれば聴いてもらいたい1枚です。

9位.超探偵事件簿 レインコード Original Soundtrack

「ダンガンロンパ」シリーズのメインスタッフが終結して作られた新たな作品「レインコード」。サウンドを手掛けたのはもちろん高田雅史氏です。
とにかくキャッチーなメインテーマに、ハインサシティや、探偵の唄など渋くてかっこいいダンディな曲まで、ゲームをプレイしながらがっつりと刺さった楽曲が多かったです。世界観やテーマの関係で重たい曲や謎めいた曲もありますが、楽曲で使用されている「音」そのものがカッコよくセンスがあるなとも感じました。ゲームの方は結構ボリュームがあるので気軽にオススメしにくい所ですが、このサントラは、その世界観と共に味わってほしい作品です。

8位.ファイアーエムブレム無双 風花雪月 オリジナル・サウンドトラック

「無双」シリーズの「外伝(コラボ作品)」のサントラは、(ほぼ)発売されないというジンクスを覆して発売となったサントラ。
原作に当たる「風花雪月」の音楽は、個人的にFEシリーズの最高峰だと思ってて、この作品のサントラが発売されない事にヤキモキしていましたので、発売がアナウンスされた時はとても嬉しかったです。楽曲は原作のメロディはしっかりと感じさせつつも「無双」らしくガッツリとロックな成分が注入されています。その真骨頂はやはり戦闘曲で「フォドラの暁風~戦奏」「嵐は巡る~戦奏」「ファイアーエムブレム風花雪月 メインテーマ~戦奏」「天と地の境界~戦奏」「この世界の頂で~戦奏」辺りは人気曲で、いずれもかっこいいです。ゲームをプレイしていなくても、原作を知っているなら他の曲のアレンジもすぐに何の曲か分かると思います。がっつりとロックでありながらも、メロディラインが少し浮き出るような曲づくりがされていて、ゲームプレイ中は様々なミッションが飛び込んできて忙しいにも関わらず「あっあの曲だ!」と分かるようになっているのはゲームをプレイしていて、とても良いと感じた点でした。

7位.BAYONETTA 3 ORIGINAL SOUNDTRACK

シリーズ3作目となる「BAYONETTA 3」のサントラ。ゲームの内容的にもシリーズ集大成なのかな?という感じでしたが、サントラもそんな感じを受けます。何せ、シリーズで最も多くのコンポーザーが参加しており、ステージも様々な時間軸の世界全体が舞台となるとサウンドのジャンルも必然多くなります。今作はフィールドはどちらかというと環境音楽に徹していて主張しすぎない控え目なサウンドに仕上がっていますが、バトル曲は別。特にヴィオラの加入により、ベヨネッタとヴィオラの戦闘曲の対比のような関係になっていたのは印象的でした。ベヨネッタは華麗なアクションを彩るメロディアスなサウンドに対し、ヴィオラはゴリゴリのロックでエレキも熱い。これまでのベヨネッタは意外にもエレキのゴリゴリ攻めた楽曲は無かったですね。オススメ曲は「GH()ST」。ヴィオラの戦闘曲で、シリーズの中でも屈指の熱さを誇る楽曲ですが、アクションとしては重すぎない絶妙な加減。曲を聴けばヴィオラというキャラのビジュアルが思い浮かびそうな点も良いですね。個人的にはベヨネッタのサウンドはアクションの中でもかなり好きなタイトルなので、今後もシリーズが続いて欲しい所です。

6位.ゼノブレイド3 オリジナル・サウンドトラック

ゲームの発売は昨年でしたがDLCやら何やらで今年やっとサントラが出せる状態になったのか、発売は今年になりました。ちゃんと全曲収録されていて内容としては大満足のサントラ。ゼノブレイドは初代からずっと音楽にも気合いが入っていますね。
今作は、フィールドはイマイチ刺さらなかったですが、バトルが素晴らしかったです。メビウス戦の緊張感のあるコーラスはバトルしながらでもゾクゾクしていました。エリートモンスター戦の「A Formidable Enemy」も初聞でビビッと来た曲。曲の始まり方が大好きで、これ絶対好きなやつ!ってなった曲。そして外せないのは「Chain Attack」。バトルの決め技として要所でテンションを爆上げしてくれるこの曲を抜きにして本作のサウンドは語れないでしょう。ゼノのサウンドはACEと平松建治氏の2人の活躍は非常に大きいと思ってます。個人的にかっこいいと思う曲は、大体どちらかが担当しています。凄くボリューミーなサントラなので、年末年始のお供に凄くいいと思います。

5位.CRYMACHINA COMPLETE SOUNDTRACK

7月27日に発売されたアクションRPG「クライマキナ/CRYMACHINA」のサントラ。自己進化を遂げた機械少女達が人類再生の夢を果たすべく、激しい戦いをくり広げるという世界観で「クライスタ」の精神的系譜作という位置づけ…で良いのかな?ストーリーはかなり重ためで、サウンドにもかなり特徴があるので万人には勧めにくいサントラかなと思っています。
特徴的なのは英語によるプログラミング言語風のボーカルです。「アルトネリコ」シリーズにある作中独自の言語ヒュムノス語を用いた楽曲から着想を得たとの事ですが、機械少女エノアが歌う曲としての位置づけが興味深いなと思ったのが、このタイトルのサウンドにのめり込んでいったきっかけでした。またSF感を出す為に取り入れた"カラーベース"というジャンルの音楽も新鮮でした。新しい事をガンガン取り入れて音にしていくコンポーザー削除氏の凄さを感じるサントラです。オススメ曲は主題歌の「NotToNotice();」。このクライマキナがどういう方向性のサウンドなのかが一聞で分かります。後は神機の曲はどれも好きです。特に第四神機アントロポスの「FightFourthDeusExMachina_Anthropos();」は拍子が複雑で印象的な1曲でした。

4位.ドーナツドードー オリジナル・サウンドトラック

底抜けに明るいテンションアゲアゲになるサウンドで、2023年の前半に話題となった「ドーナツドードー」のサントラ。話題になった当初はサントラCDは無かったですがBandCampで即音源を買ってDLして聴いていました。もちろんゲームもセットで。スイッチでサクッと遊べるのも良かったですね。プレイしてみると、意外と難しいアクションでしたが…。話題にはなっていたけど、CDにはならんだろうな~と思っていたらまさかのCD発売で、2度も買ってしまいました。まぁこちらはアケ版の音楽も入っているので、全然良いです。
ドーナツドードーの音楽は80年代のレトロアーケードの雰囲気を再現したものとなっており、ゲーム開始と共にハイテンションに鳴り響くチップチューンに、数多くのオールドゲーマーの心に刺さり話題になったようです。もちろん私もその一人。オススメ曲は「Ferris Wheel Frenzy」。ゆったりめの始まり方から、急激にテンションが上がって快活な進行を見せる楽曲。記憶に残りやすくシンプルで口ずさめる音楽は強いですね。楽曲も短めで何度もループして聴けるので、なおさら頭に残ります。一時期はずっとこの音楽が頭で鳴っていたくらいです。

3位.Splatune3 SPLATOON3 ORIGINAL SOUND TRACK

スプラトゥーンは私にとっての日常の習慣であり、もはや人生の一部と化しているゲームなので、このサントラを取り上げないわけには行かないです。個人的には、待ちに待った新作であり、待ちに待ったサントラは、やっぱり傑作でした。
バトルの音楽が「イカ世界の人気バンドが演奏するヒット曲」という設定は今作も健在。その中毒性の高い音楽に今回もどっぷりとハマってしまった。今作は混沌がテーマとなっており、舞台がバンカラシティと題されている事からも野性的な荒々しさという点がフィーチャーされています。サウンドもロックが主体となっており、その辺りも相性の良さもあるのでしょうか。軽快だけど力強いビートがズンズン響いてワクワクします。今作の新アイドルのすりみ連合も、興味深いです。サウンドのジャンルもEDM、和風、中東風
といった3つのジャンルの混合は正に混沌。世界観のテーマが楽曲にしっかり反映されているのも良いですね。
オススメの曲は多すぎるので、頑張って絞ると「ゼンゲン・テッカイ」「サイタン・ケーロ」「Clickbait」「Nine out of Tension」「驚天動地ゴンタクレー」「蛮殻ミックスモダン」辺りでしょうか。来年はDLCとか、未収録楽曲の入ったサントラ出て欲しいです。

2位.FINAL FANTASY XVI Original Soundtrack

今年の2位は、FFのナンバリング最新作「FINAL FANTASY XVI」のサントラです。ナンバリングとしては7年ぶりの新作。前作からもうそんなに月日が流れていたんですね。個人的にずっと楽しみにしていたFFのナンバリングで、ゲーム体験も面白かったですが、今回はサウンドもとっても良かったです。ストーリー序盤は、海外ドラマ風でイマイチFFらしさを感じない場面が多く不安に思う展開が続きましたが、サウンドがいい仕事していて「これはFFですよ~」というシグナルを音を通して送ってくるのを感じる場面がチョイチョイあって、FF16の満足度をガッツリ引き上げてくれたなと思いました。
もちろん過去作のオマージュがあったから良かったという単調なものではなく、FF16のオリジナルの楽曲の壮大さやカッコ良さに圧倒されたのも2位というランクの理由です。祖堅氏の楽曲はFF14の音楽しか知らず、そちらはあまり知見が深くないので本格的に祖堅楽曲を聴くのは、これが初めてと言っても良いですがFFのナンバリングという重責を十二分に果たしてくれたと思います。
「FF16の音楽良いなぁ」から「FF16の音楽凄い!」に変わったのはタイタン戦ですね。オーケストラとコーラスという現代のゲーム音楽の王道編成の底力を魅せつけられた楽曲で、もう何十年もオケの音楽を聴いているのに「オーケストラってこんなに凄いんだ」という逆にチープな感想が真っ先に思い浮かんだ時には自分でも笑ってしまいました。こちらもオススメ曲は色々ありますが、バトルから「On the Shoulders of Giants」「To Sail Forbidden Seas」を挙げておきます。

1位.OCTOPATH TRAVELER II Original Soundtrack

今年の1位は、「オクトパストラベラーⅡ」のサントラです。
個人的にはかなりのぶっちぎりの1位という印象でした。何せフィールドもバトルも私の好みに合致しすぎる曲が多すぎる。RPGの曲ってこうあって欲しいという個人的な願望が全て詰まっていると言っても良く、現代のJRPGで最高の音楽は?と聞かれたら、間違いなくこのタイトルを推すでしょう。前作のオクトパストラベラーもフィールド・バトル共に素晴らしい楽曲の数々でしたが、それを超える楽曲が出てくるとは、本当に感嘆しかないです。
オクトパストラベラーⅡの音楽にハマったきっかけはボス曲の「決戦1」「決戦2」です。この2曲の衝撃があまりに強くて一時期はずっとこの2曲を聴いていました。もう飽きるくらい聞いたはずなのに、またこうして聴くと闘争心を掻き立てられてしまうこの2曲の存在は大きかったなと思います。「決戦1」「決戦2」が対比のような表現になっているのも興味深いですね。「決戦1」は力強いビートと共に始まり、第一主題をヴァイオリンが奏でますが、そのメロディは最低音域から始まり、楽曲が進行するにつれて徐々に
音域が高くなりやがて最高音域(※)まで、ややヒステリックに荒ぶって聞こえる楽曲はソプラノのオペラの独唱を想起させ女性的な印象を受け、その悲壮感は大切な仲間との決別を感じさせます(ゲーム内にもそういうシチュエーションはあります)。対して「決戦2」は、トランペットの中高音域から勇壮に始まりメロディの中心として楽曲をリードする様相やホルンの力強くダイナミックな動きがヒロイックで男性的な印象を受け、巨大な敵や因縁の相手との対決を想起させます。どちらもRPGの定番シチュエーションですが、それらが見事に昇華された楽曲になっていたと思います。
もちろんバトルだけでなく、フィールド曲やキャラのテーマ曲もバラエティに富み、新しい地域を冒険する度に新鮮な気持ちで、次はどんな音楽に会えるだろうか?とワクワクしながら旅をしたのを覚えています。100時間以上に及ぶ長い旅路でしたが音楽のおかげでずっと楽しく冒険できました。今年の文句なしの1位のサントラです。ぜひ聴いてみて下さい。
※もっと高い音は出せますが、実用音域範囲内ではかなりの高音域に達しています

■終わりに

今年もベストゲームサントラのトップ10を何とか選出しました。
毎回、本当にこの順位付けで良いかな?もっといい曲・いいCDがあったのでは?と悩みつつ、振り返りで色々なCDを聴いては、これも良い、あれも良いと迷走してばかりです。ですが年の瀬に、こうして様々なゲーム音楽に触れなおす機会を設けるからこそ、今年のゲーム音楽としっかり向き合えたのかなと前向きに捉えております。
さて、来年も様々なゲームサントラがリリース予定です。私の予想が正しければ、来年は今年を超えるラインナップとなるでしょう。2024年も素敵なゲーム音楽との出会いが待っていると思うと楽しみですね。
皆様にも素敵なゲーム音楽との出会いがありますように。


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