見出し画像

データで振り返る2022年ゲーム音楽演奏会

2022年に開催されたゲーム音楽演奏会でこちらが把握している公演のデータを集計してみました

■2022年ゲーム音楽演奏会情報まとめ
https://note.com/gmfp2018/n/n855ab9b98b04

■抽出データ
・演奏会総数
・中止or延期数or非公開公演数
・オンライン配信数
・ドラゴンクエストコンサート数
・プロアマ比率(プロ/アマ)
・単一/シリーズ/オムニバス比率(t:単一/s:シリーズ/o:オムニバス)
・地方区分(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州沖縄)
・演奏形態(オケ、吹奏楽、その他):

※データの説明と注意点
・ゲーム音楽以外の演目が同時公演される演奏会もありますが、約半数以上の楽曲がゲーム音楽の場合のみゲーム音楽演奏会とみなして集計します
・「単一」と「シリーズ」と「オムニバス」について
単一は1つのゲームタイトルの曲のみを取り上げる公演です(例:交響組曲ドラゴンクエスト3そして伝説へ・・・)
シリーズは1つのゲームシリーズの曲のみを取り上げる公演です(例:狩猟音楽祭、テイルズコンサート)
オムニバスは2つ以上のゲームシリーズを演奏する公演です
・演奏会によってはプロ、アマが同時にステージに乗っている場合がありますが、どちらが主体か?と有料公演か?を基準に決めています
・今年からは競合関連のデータは対象外とします(オンライン配信やアーカイブ配信が増えたので競合が少なくなっている)
・地方区分は、ゲーム音楽演奏会が地域によってどのくらい偏って開催されているかの指標です
・演奏形態は、ゲーム音楽演奏会がどのような形態で演奏される機会が多いのかを示す指標です(オケ・吹奏楽を主体にデータ化しているのでその2つに偏ります)
なお、吹奏楽とウィンドアンサンブルは厳密には異なる演奏形態ではありますが、吹奏楽としてカウントしています

■月間データ(抽出データの順に並べてあります)
・01月( 9, 0, 3, 1, 4/5, t3/ s4/o2, 0/0/ 4/3/1/0/0/0, 4/5/0 )
・02月(12, 0, 6, 4, 9/3, t3/ s5/o4, 0/0/ 2/1/1/0/0/2, 2/5/5 )
・03月( 7, 0, 0, 5, 6/1, t2/ s4/o1, 0/0/ 2/0/3/0/1/1, 3/3/1 )
・04月(15, 0, 3, 7, 14/1, t6/ s8/o1, 0/1/ 8/0/1/2/0/0, 8/4/3 )
・05月(12, 0, 3, 3, 7/5, t3/ s3/o6, 0/0/ 7/1/3/1/0/0, 7/4/1 )
・06月( 9, 0, 3, 0, 9/0, t2/ s3/o4, 0/0/ 7/0/2/0/0/0, 6/1/2 )
・07月( 8, 0, 0, 2, 5/3, t2/ s2/o4, 1/0/ 6/1/0/0/0/0, 3/4/0 )
・08月(17, 1, 3, 5, 15/2, t4/s11/o2, 0/0/11/1/3/0/0/2, 13/1/3 )
・09月( 5, 0, 0, 1, 4/1, t3/ s1/o1 0/2/ 2/0/1/0/0/0, 4/1/0 )
・10月(19, 0, 7, 3, 13/6, t8/ s6/o5, 0/0/12/5/0/1/0/0, 9/4/6 )
・11月( 7, 1, 2, 1, 3/4, t4/ s1/o2, 0/0/ 3/1/0/0/0/2, 4/0/3 )
・12月(12, 0, 2, 1, 8/4, t7/ s3/o2, 0/0/10/0/1/0/0/0, 8/2/2 )

■年間データ(中止・延期公演はデータに含めず)
・総公演数:134
・中止or延期数or非公開公演数:2
・実施公演数:132
・オンライン配信公演数:32
・ドラゴンクエストコンサート公演数:33
・プロ公演数:97
・アマ公演数:35
・単一タイトル公演数:47
・シリーズタイトル公演数:51
・オムニバス公演数:34
・地方区分(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州沖縄):1/3/74/13/16/4/1/7
・演奏形態(オケ、吹奏楽、その他):71/34/26

■データ見てて思った事
・総公演数が134となっており、昨年を上回りました。基準としては2年前の数値まで回復しています(1年前:95公演, 2年前:130公演, 3年前:182公演)。昨年の総公演数はここ7~8年の中でも最低値となりましたが、少しずつ各団体が活動を再開し、演奏会の準備を進められるようになったようです。

・中止or延期となった演奏会は2公演。その内1公演は、社会情勢上の問題ではない(と認識している)ので、実質、発表された公演はほぼ開催された事になります。ここ2年で、この状況下で演奏会を開くためのガイドラインやノウハウが整備された点が大きいかと思います。感染対策に関する厳しさは公演によってかなり差があるように見受けられました。

・オンライン配信に対応した公演数は32公演でした。1年前:20公演, 2年前:13公演に比べて増加傾向にありますが、比率で言うと24.2%ほどで、実は昨年の26.3%とあまり変わっていません。
今後もオンライン配信への対応は増えていくかもしれませんが、全体としては3割くらいがオンライン配信に対応可能な公演の上限となるのかもしれません。オンライン配信は、プロ公演だと公式の演奏会、アマチュアの無料公演の場合が多く、プロ(優良)の公式外の演奏会や、ドラクエコンサート(ジルベスター除く)がオンラインに対応するかで、この辺りの数値がかなり変わると思います。アマチュアの演奏会は様々な曲が取り上げられる事が多く、曲によっては配信できない為一時的に配信が中断される等の公演もありました。例え無料公演であったとしても、まだまだ配信という事に対する権利周りの難しさを感じます。

・ドラクエコンサートの公演数は33と昨年に比べて増加しています(1年前:20公演、2年前:21公演)。比率に直すと25%で4公演に1つがドラクエコンサートです。2021年にはすぎやま先生の事がありましたが、2022年もしっかりとドラクエコンサートが開催されている事を嬉しく思います。

・プロ公演とアマチュア公演の比率は73.4%と26.6%。この比率は面白いくらい変わっていないです。ここ近年のデータもプロ3:アマ1の比率で変わっておらず、この比率でほぼ定着という感じでしょうか。今後、ゲーム音楽演奏会の客足が遠のく事があれば、この比率に変化が生じるかもしれません。そこはゲーム音楽演奏会人気の指標の1つになるかもしれません。

・単一タイトル、シリーズタイトル、オムニバスの公演比率について
このデータは、どのような趣旨の演奏会が開催されているかの傾向を探る為に取っているデータです。
2022年:35.7%、38.6%、25.7%
2021年:39.4%、32.8%、26.3%
2020年:39.1%、42.0%、18.9%
今年は単一タイトルの演奏会が少し減少し、シリーズタイトルの演奏会が増加しています。傾向としては2年前の傾向に戻った感じでしょうか。単一タイトル、シリーズタイトルを扱う公演はプロ公演が多く、オムニバス(複数タイトル)の演奏会はアマチュア公演が多い傾向は変わらずです。有料公演の場合は集客が重要となり、演奏会開催にあたっての対象が明確な方が演奏会を開催しやすいのかもしれません。

・今年から扱うデータとして地方区分を追加しました
全国8区分(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州沖縄)で、オフラインの演奏会がどこで開催されたのかを集計しています
開催数の多い順にソートすると以下の通りです
1.関東:74(62.1%)
2.近畿:16(13.4%)
3.中部:13(10.9%)
4.九州沖縄:7(5.8%)
5.中国:4(3.3%)
6.東北:3(2.5%)
7.北海道:1(0.8%)
7.四国:1(0.8%)
昨年のオフライン演奏会開催数は119公演でした(オンライン配信併用を含む)
6割以上の演奏会が関東に集中しています。次に近畿、次に中部(名古屋、静岡が多め)が続きます。この傾向は以前から変わっていないですが、オンライン配信が行われるようになり、関東圏以外の方でも演奏会を視聴しやすい環境になったかと思います。
また、昨年は関東で活動している団体が愛知で公演を行う等、関東以外の場所に飛び出して演奏会が行われるという事もありました。

・今年から扱うデータとして演奏形態(オケ、吹奏楽、その他)を追加しました
私が演奏会データを取っているのはオケと吹奏楽がメインなのでその2分野に偏りますが、それ以外にも公式が提供する演奏会に関してはデータを注視しています。
開催数の多い順にソートすると以下の通りです
1.オーケストラ:71(54.1%)
2.吹奏楽:34(25.9%) ※ウィンドアンサンブル含む
3.その他:26(19.8%) ※バンド形式・アンサンブル・その他和楽器やマンドリンオーケストラ等
全体の半数以上がオーケストラ公演となっています。もう少し吹奏楽の演奏会が多いかと思っていました。
オケと吹奏楽だけに注目すると105公演となります。この2分野だけだと67.6%がオケ公演となり、オケ公演の企画の多さが目立ちます。
このデータを取り始めたのは、現状のオケ公演の多さがどのように変化していくのかに注目したい為です。2023年は、カプコンのストリートファイターライブや、スクエニのキングダムハーツの吹奏楽公演等、公式側からオケ企画とは違うアプローチが見られるようになりました。そういう公演がうまく行けば、オーケストラ公演に偏りがちなゲーム音楽演奏会の傾向に変化が出るかもしれません

・その他
2022年は、4月、8月、10月の演奏会数が突出していました。
多く開催される月と、そうでない月交互に来るような感じで満遍なく開催され、2021年の後半に偏っていた傾向とは全く異なるデータとなりました。
この辺りを見ても、多くの団体・企画の活動が正常に戻りつつある事が感じられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?