総合診療って?

岐阜大学総合診療科として現在関中央病院で在宅医療センター、センター長をしています森  充広と申します。
私は総合診療科専門医・指導医家庭医療専門医指導医の資格をもっており、現在の病院で研修医や医学生の指導を行いながら、総合診療を通した医療の提供を行っています。ここでは未だに認知度の低い総合診療科について、お話をさせていただきます。

総合診療科は、2018年に、内科や外科、小児科や精神科といった基礎診療科に新しく追加された専門医です。家庭医やプライマリ・ケア医とも呼ばれることもあります。
新設された背景には、超高齢化社会があります。高齢の方が増えると一人の方が複数の疾患を持つことが当たり前になり、加齢による身体機能の低下から医療と介護の複合的なニーズをもつ方が増えています。そうなると患者の抱える問題は、単に疾患を治療するだけでは解決できないこと多くなります。
そして、複数の疾患を多数の科で診てもらっているとそれらの疾患の管理という医療面と生活を維持するため公的サービスの調整という介護面が組み合わさった問題を、複数の専門医師で対処することとなりますが、専門家の医師はそれぞれの疾患に精通しているものの、必ずしも介護サービスの調整などに長けているわけではありません。また複数で対処しているので、誰が責任をもってそれらの問題に対処するのかも明確ではなくなってしまいます。そのため、かかりつけ医を持つことを国の政策としては進められており、そのかかりつけ医として求められる機能を総合診療科が担うことを期待されています。

総合診療科(家庭医)って?というテーマでお話させていただきたいです。

特徴は

1. いろいろな病気を全人的に診れること
2. 誰でも、何処でも、いつまでも
 子どもから高齢者、救急から在宅、人生のどの時点でも関われる
3. 全人的に診れること
 家族や地域、社会など生活まるごとみること

今回はそのうち
「いろんな病気」が診れることを取り上げて説明をします。

総合診療科には「これはうちの科では診ません。」という疾患や症状による制限はありません。もちろん僕自身が心臓血管外科の手術や、放射線治療など専門的治療が必要なものがすべて出来るわけではありません。しかしながら、そういった専門的な治療が必要な人は実は少数で、地域の診療所で治療を受けている方が大多数です。

なので、私達総合診療医は、日常的な慢性疾患の診療を行い、専門家に受診の必要な症状や疾患が疑われた場合にはその診断と総合病院への連携をすることを得意としています。

日常的な診察を総合診療医が担うメリットとして

  1. 日常的な疾患のケアに加えて、介護の状況や、家族背景など生活に関わる困りごとの対応を受けることが出来る。

  2. 複数医療機関を受診している場合には通院する医療機関が減り通院の負担が減る。

  3. 日常的診療がひとつにまとまることで、過剰な薬を減らすなど投薬の調整を受けやすくなる。
    といったものがあります。

今回は総合診療について『診る疾患の幅広さ』『いろんな病気』を診れるという点でお話をさせていただきました。しかしながら、診る疾患の幅広さは、総合診療科のもつ特徴の1つでしかありません。次回以降では、総合診療の特徴の1つ『全人的な診察』についても説明をします。

今後増加が期待される総合診療専門医ですが、今はまだ県内に数人しかいません。これから岐阜県内でも総合診療医が増え、日常的な診察の多くを担っていくことが私達の目標です。

診療時間・費用・お問い合わせ

ご相談はこちらへ(問い合わせフォーム)   総合診療科・在宅担当医 森 充広


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