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しゅうまいの夢

朝。恋人を膝枕していると、彼が言いました。

「昨日は楽しい夢を見た。小学校、中学校、高校、大学の仲良かった人たちが全員出てきたの。
みんなでバスケしてた。パスをもらうと、ボールじゃなくてしゅうまいなの。隣のコートでもバスケしていて、そっちもしゅうまい。」

それを聞いた私は、くすりと笑ってしまいました。
そんな夢を見ている彼はなんてかわいらしいのだろう。しゅうまいのボールは手がベタベタしそうです。朝からほっこりしました。

夢は、昔からの私の関心事のひとつです。
子供の頃は、悪者に追いかけられる夢ばかり見ていました。走ろうとしても、足がゆっくりとしか動かず、もどかしいのです。悪者が家の周りに来て、玄関から入ってくるので、私は2階の窓から飛び降りて逃げようと考えます。場面は変わり、近所の道を誰かから逃げながら一生懸命走っている自分がいます。追いかけられる夢をよく見る、と母に言うと、時間に追われているのじゃない?と言われました。小学校の同級生もよく出てきます。出てくる人は決まっていて、当時の子供の姿のままです。小学校は、給食以外に良い思い出がありません。ずっと下を向いて過ごしていました。

夢は、痛みや苦しさを感じないものだとずっと思っていましたし、実際感じたことはありませんでした。それなのに、数ヶ月前に見た夢では、傷つけられたときに痛かったのです。痛みを感じないのは夢の特権だと思っていたのに、痛いようでは恐ろしいです。

フロイトの本を読んだこともありました。題名は忘れましたが、夢の分析に関する本でした。フロイトは、夢に出てくるもの全てを性の暗示ととらえていました。それはなかなか無理があるなと思いつつ、様々なものを性に結びつけているのがおもしろいなと感じました。私は精神分析に興味があって、なぜ自分はこのような考え方をするのかということが気になります。その延長で、夢にも精神状態が表れるのではないかと思っています。最近は、以前ほど夢を見なくなりました。これは、ストレスが減っているということなのかもしれません。

そうだ、彼のしゅうまいの夢の話でしたね。私もそのような愉快な夢を見てみたいものです。彼は、言葉では言い表せないくらい、とても、とても優しい人です。怖い夢を見たと言うと、だいじょうぶ?夢だからね、と私の頭をやさしく頭をなでます。私が落ち込んでいると、ぎゅっと抱きしめてくれます。いつまでも隣で元気でいてね、のあ。

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