運命とかいうものについて

 私は運命というものを信じていない。殆どの事象は偶然か必然で説明がつくと思っている。大体の出来事はそれまでの行動の結果だからだ。
 ちなみに私がこれまでのさして長くない人生の中で運命感じたのは、14歳の夏休みにB'zの「もう一度キスしたかった」を聞いた時くらいだ。
 初めて聞いた時の衝撃たるや、今でも覚えている。偶々ネットサーフィンしていたら知った曲。あれから1x年。今でもB'z追いかけて楽しく生きている。B'zはいいぞ。すっごい沼だけど。
 …バイク全然関係ないな。でも、本当に、それくらい、私は運命なんて感じたことがなかったのだ。
 そんな私が、運命の存在を信じかけた。その一連の出来事のことを、数日後か数ヶ月後か。いつかの私のためにしたためておきたい。


 先に結論から言う。バイクを買った。
 それだけ?と言われそうだが、バイクを購入するまでに紆余曲折あって、この紆余曲折が本当に運命的だったのだ。


 バイク購入までの劇的な話をする前に、紆余曲折の前提話をしておく。ちょっと長くなるが許してほしい。
 まず、これを書いているのが2020年12月。私が普通自動二輪免許を取得したのは2019年10月。免許交付は同年11月。バイク購入は2020年9月。
 つまり、免許取得後ほぼ1年バイクに乗らなかったことになる。ちなみにレンタルバイクにも乗っていない。
 何故こんなことになったかというと、どの排気量のバイクを買うべきか、新車がいいのか中古車の方がいいのか、どのメーカーがいいのか、駐車場どうしよう、つーか免許取っていきなり公道走行どうぞ!とか怖すぎて無理だろ(※二輪免許は仮免許が存在しない)とかやっていたら1年経ってしまったのだ。馬鹿なのか?と思われたそこの貴方。まったくもってその通りです。ええ、はい。
 とにかく、免許取得から約1年間、「400ccのバイク買おう(最初はホンダのCB400SFに乗りたかった)」、「でも高いしな…(CB400SFは本体価格だけで90万ちょい)」、「別の排気量も考えるべきだろうか…」とかぐるぐるぐるぐる考え続けて迎えた2020年8月中旬、唐突に「250㏄でいいわ。うん、そうしよ」と私の中でいきなり判決が出た。ここからの私の行動は早かった。多分。


 google先生をフル活用して250ccのバイクを漁りまくり、候補を2車種に絞った。HONDAのレブル250かGPXのGentleman200だ。
 KawasakiとかYAMAHAとかSUZUKIもあるだろ?ってお声が聞こえてきますが、元来優柔不断な性格なので候補がありすぎると迷ってまた買わなくなるので見た目とバイク情報サイトのインプレッションで選びましたごめんなさい。
 さて、HONDAは皆さんご存じだと思うので割愛して、GPXのGentleman200の話をしよう。GPXはタイのバイクメーカーで、タイ国内ではバイクのシェア第3位と勢いがあるメーカー。とはいえ日本国内では殆ど?流通していない、そこそこ珍しいブランド。Gentleman200はそこが出している、ちょっと珍しい排気量200ccというネオクラシックのバイクだ。
 なんでGentleman200を候補に選んだかというと、単純に安かったから(あと見た目)。HONDAのレブル250は新車の車両価格が確か60万くらい。Gentleman200は新車の車両価格39万。わーおお安い。多分250ccクラス(Gentleman200の排気量は200ccだが)の中で最安値なんじゃなかろうか。
 ちなみにHONDAのレブル250を候補にしたのは、「250ccクラスの最高傑作」みたいなコメントをよく見かけたから。安定安心のHONDAブランドですね。


 さて、やっとここで前書きが終わる。前書きを要約すると「バイクの免許取ったので悩みに悩んだ結果、レブル250かGentleman200のどっちかを新車で買うことに決めた」、というところか。
 ここからは本題。私が感じた運命をご紹介?していきたい。


■ 同日にほぼ同じ場所で試乗車に乗れた
 多分23区にお住いのバイカーなら知っていると思うのだが、HONDAの250㏄や400㏄のバイクの試乗車は、23区内のHONDA Dreamにはまず置いていない。立川とか府中までいかないとまず試乗車に乗れない。なので、Gentleman200の試乗予約の連絡を入れた際、Gentleman200を取り扱っているバイクショップにレブル250の試乗車がないかダメ元で聞いてみた。
 すると、「試乗車の用意がないから店の向かいにあるHONDA Dreamに聞いてくれ」と返答が来た。教えてもらったHONDA DreamのHPを覗いたら、なんとGentleman200の試乗予約を入れた日に試乗会の開催予定があった。そして試乗車にレブル250があった。
 わーお。こんな偶然あるんだね。

 そう思いながら、私はHONDA Dreamの試乗会に申し込んだ。ちなみにドペーパードライバーであることも伝えたら、試乗会前に簡単な乗車レッスンをしてくれることになった。HONDAは神なのか?
 このおかげで、私は図らずも購入を検討している2車種を同日に試乗できることになった。何度もあちこち行く必要がなくなったので、これは本当に助かった(筆者は滅茶苦茶引きこもり体質)。


■ 納車と在庫
 車でもあることだとは思うが、新車の購入手続きしたらすぐに手元に納車されるわけではない。ほしい車種の在庫がなければ、届くまで待たなければいけない。
 レブル250の場合は、8月の試乗会の時点で最短納車が9月末だった。人気車種だからしょうがない。Gentleman200は、試乗しに行った時点でメーカー在庫が各色2台、これを抑えれば最短1週間で納車、この在庫分を逃すと10月納車になってしまうとのことだった。
 そして、試乗のタイミングでもうひとつ言われたことがある。それは「Gentleman200の年内販売終了」。つまり、人気車種で暫くは廃盤とかなさそうなレブル250と違い、Gentleman200はこの機会を逃したら二度と乗れないのだ。


■ 駐車場問題
 これはきっと23区内在住の全バイク乗りが1度は経験したことがあると思う。都内、月極バイク駐車場、まっっっっっっっっっっっっっっっったくといっていいほど無い。23区のはずれになるとないこともないが、あっても自動車用で月額2万とかする。バイクぞ?我バイクぞ?割引無いの?と以前不動産屋に聞いてみたが、無いですね。と一蹴された。唯一の希望の光だった自宅から徒歩5分の場所にバイク用駐車場は、管理会社に電話したら貸し止めになっていた。
 駐車場がなければバイクは買えない。レブル250を買うにせよGentleman200を買うにせよ、駐車場どうしよう。試乗から自宅に帰ってきたとき、バッタリ家の下で大家さんに会った。バイクの駐車場貸し出してるお知り合いいませんか?と尋ねたら、「マンション横の駐車場にあるバイク用駐車場が8月末で空くよ」と言われた。

 わーお。
 即9月から契約した。

 後日大家さんにお会いしたら、契約後に当時の契約者が契約延長をお願いしてきたらしい。私と9月以降の契約をしてしまったから断った~と大家さんは笑っていた。私も笑ったが、あの晩大家さんと会わなければ、ダメもとで聞いていなければ…と内心思っていた。名前も知らない(多分)お兄さん、ごめんな。
 そんなこんなで、試乗の翌々日位にGentleman200を購入することを店舗に連絡。9月頭にめでたくGentleman200をお迎えした。

 それから3ヶ月。

 店舗主催のツーリングイベントやGPXオンリーのツーリングイベントにも参加させてもらい、少しずつ運転にも慣れてきた。ひとりでもちょっとした遠出ができるようになった。
 この間にバイクを3回倒してブレーキレバーを綺麗に90度曲げたりしたけれど、対人事故も起こしていないし巻き込まれてもいないのでオールオッケー。自損は許すが対人は許さない、絶対にだ。


 Gentleman200が相棒になったことで、生活が大きく変わった。
 まず行動範囲が広がった。毎日、毎週乗れるわけではないが、次はどこに行こうかな、と考えるのが楽しくなった。引きこもりのくせに、バイクでどこに行こうと考えてばかりいるのだ。1年前の自分が見たら、布団の中で目を丸くすると思う。


 初めてバイクに乗ったのは保育園の頃。父が運転するオフロードバイクに乗せてもらった時、とても楽しかったことを覚えている。
 あれからずっとバイクに乗りたかった。けれど重い腰を上げられなかった。
 重い腰を上げて二輪免許を取ってよかった。去年の自分に万雷の拍手を送りたい。
 あとは、ぐるぐる悩んだけれど、スパッと「もう250ccにしよう!」って決めた自分の頭をムツゴロウさんばりに撫でたい。


 最後に。

 恥ずかしくて一度も口にはしていないが、Gentleman200の取扱店舗のスタッフさんとお客さんが好きだというのが、Gentleman200に決めた最後の理由だったりする。
 HONDA Dreamの接客が悪かったのではないので、それだけは声高に言っておく(むしろ滅茶苦茶よかった!!)。
 Gentleman200の取扱店舗は、毎週のように常連さんがお店に足を運んではお茶をしている(大事なことなのでちゃんと書いておきますが、3密対策と換気はちゃんとしてます)。私が試乗に行った日も数人の常連さんがお茶を飲んで雑談をしていた。そのうちの一人が気さくに私に声をかけてくれた。毎月ツーリングイベントを開催しているから、もしよかったら参加してね、とオーナーさんが言ってくれた。
 まわりにバイクのことを聞ける人間がいない私にとって、これがどれほど嬉しかったか、筆舌に尽くしがたい。
 いいじゃないか。「人」を、物を買う判断基準にしたって。

 結果的に、私の判断は間違っていなかったと思う。皆優しい…。
 皆さん知識ゼロのポンコツに優しく色々教えてくれます…。ありがたや…。


 そんな感じで、9月以降QOL爆上がりです。
 最後に、この言葉でこの投稿を締めたいと思います。

 バイクを買ってよかった。
 Gentleman200を買ってよかった。

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