エモリーMPH留学記:二年目春学期の記録

早いもので2年間の留学生活が終わろうとしている。まだまだ学びたいと思う気持ちと、早く社会復帰したいという気持ちがせめぎあっている感じがする。少し早いが、以下に今学期の振り返りをすることにしよう。

学業

BSHE 500 Behavioral and Social Science in Public Health

必修の500番。行動科学やヘルスプロモーションに関する諸理論から、健康の社会決定因子(SDH)、健康格差(特に人種や社会経済状況による)など幅広いトピックをなぞった。個人的には興味のあるテーマだったが、いかんせん講師の授業がつまらなくて辛かった。

EPI 750 Longitudinal and Correlational Data Analysis

混合効果モデルや一般化推定方程式(GEE)などを学ぶ授業だった。これも当初は取る予定じゃなかったのだけど、修論に必要だったのでauditした。グローバルヘルスで扱うデータセットはクラスター毎に調査されていることが多いので、各観測値が独立していないのだ。将来必ず必要になる知識と言っても過言じゃなさそうだ。とはいえベクトルがいきなり登場して(今までの授業は全てスカラーで説明されていた)、当初は授業についていくのが大変だった。Dr. Kの体調不良で、TAが急遽全授業を代行するというハプニング付きだった(幸いDr. Kは存命である)。

GH 524 Health System Performance and Health System Financing: Method and Evidence

低・中所得国の保健システム強化(HSS)やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)について広く浅く、ディスカッション主体で学ぶ授業だった。途上国出身者の貴重な原体験が多く聴けたのがよかった。しかし個人的には、もっとファイナンスについて突っ込んで勉強したかったので、今更、表面的なディスカッションばっかりしてもなぁ…と少しがっかりした。

HPM 500 Introduction to US Healthcare System

必修の500番。メディケアとかメディケイドとかマネジドケアの話である。講師はCDC職員だったのだが、トランプ政権になってオバマケアがrepeal "without" replacement (共和党曰くrepeal and replacementだが、replaceするつもりなんてないだろうという皮肉を込めて)されそうだという状況で、授業の半分はトランプに対する愚痴だった。言いたくなる気持ちはわかる。

HPM 522 Economic Evaluation of Healthcare Program

費用対効果分析(CEA)について学んだ。宿題が多かったが、非常に学びがいのある授業だった。僕は会計学や経済学のバックグラウンドがないので、コスト計算しかり現在価値(NPV)の算出しかり、新しい概念が多かった。米国の医療システムは日本と異なるので、コストの出どころを探すのに手間取った。DALYの扱いが小さかったのが、グローバルヘルス的には残念だった。高度なモデリングにはマルコフ連鎖が必要なので、僕の統計学の知識では独力でCEAをおこなうのは難しい。またCEAは仮定しなければいけないことが多いので、疫学を学んできた身からすると「ざっくり」し過ぎている、という違和感は確かに感じた。でもそのぶん感度分析をより重視しているし、デメリットさえ理解さえしていれば実用上は大きな問題はなさそうだと思った。結局我々は何かしらの決断を迫られる。丸腰で闘うよりは、何か武器があった方がマシではないか。

修論

これについては今書く気がおこらないが、無事に書き終えることができた。今学期はこれに最も多くの時間を割いた。チカレター

就活

これも最初はどうなることかと思っていたが、幸い学生時代から何かとお世話になっている組織で人材募集があり、受けたら運よく採用された。ニートになる恐れがなくなったのは、よかった。

プライベート

修論執筆に忙しくて、あんまりプライベートがなかった。気晴らしに月1回ぐらいの頻度でカラオケに行ったりした。アトランタには日系のカラオケ店が2軒だけある(他は韓国系)。社会人になってから1番カラオケに行ってる気がする。

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