生物統計学を理解するために有用だった副教材など

MPHの授業で1番苦労しているのが生物統計学である。数学は大学1年生の教養課程以来だし、そもそも英語力が低くて授業で何を言っているのか聞き取れない。統計学だけは日本語の補助教材を利用せざるを得なかった。(主観的に)よかったものをいくつか列挙しておこう。

完全独習 統計学入門

著者の名前に見覚えがあるなと思っていたら、僕が中学時代に通っていた某塾の数学の先生だった。確かにあの授業はわかりやすかった。あの授業があったから、僕が数学が得意になれたのだと思う。肝心の本だが、日本語で書かれた統計の教科書で最も分かりやすいのではないか?確率からT検定までしかカバーされていないのが悔やまれる。同様の語り口でOLSや最尤法などを解説してくれないだろうか?続編を期待したい。

統計解析のはなし

古い本だが、これも分かりやすい。ANOVAや相関・単純回帰分析もカバーされているのがよい。同じ著者の「統計のはなし」とは異なり、大学の授業のように統計手法毎に解説されているので、個人的にはこちらの方がオススメである。この「○○のはなし」シリーズは他にあるので、より高度な統計手法も日本語で学習したい方には勧められる。ちなみに文中にやたら女性の容姿や処女がなんちゃら等の例が出てくるので、まぁそういう時代だったのかもしれないが、今のポリコレな風潮からするとアウトだろう。

はじめての統計学

難易度的には、上記2つを読み終えてからこれを読むと理解できそう。さらに古い本だが分かりやすい。ANOVAはカバーしていないが、相関・単純回帰分析までカバーされている。注意点としては、検定のやり方が一般的なものとは異なり著者独特のやり方なので、初学者は混乱しないように。

宇宙怪人しまりす医療統計を学ぶ

有名な本だが、正直僕はあまり好きでな買った。退屈な掛け合いがダラダラ続いており、取り扱っている内容は限定的である。もちろん『割合』と『率』が異なることを日本語で平易に説明している点など、すばらしい部分も多い(ただ割合と率の話は疫学の範疇だと思う)。好みの問題だろう。ちなみに検定を取り扱った続編もあり、掛け合いは好きになれないが、95%信頼区間の定義を日本語で分かりやすく説明している点において、買う価値はあると思う。

今日から使える 医療統計

標準偏差(SD)と標準誤差(SE)の違いなど、初学者が誤解しやすいポイントを平易に解説している。中盤以降はやや上級者向けであり、この本に書かれていることを完全に理解するには、もう少し統計学の知識が必要だと思った。MPHが終わる頃に読み返したら、すごくよく理解できると思う。

Khan Academy

大学の授業でoneーway ANOVAが全然理解できなくて困っていたところ、この無料ビデオ講義に助けられた。非ネイティブでも、この英語はなぜか聞き取れる。分かりやすい授業は、何語でも分かりやすいのだ。無料だし。ある程度リスニング力がある人は利用しない手はないと思う。

Math is Fun

恐らく中高生向けのウェブサイトだろう。統計以前の確率や期待値などでつまづいていた頃に助けられた。英語のtechnical termがわからず授業についていくのが大変だったので。正規分布や統計量Zぐらいまでカバーされている。

The Little SAS Book: A Primer

日本語の本ではないのだが、統計ソフトSASの日本語の分かりやすい教科書ってなかったと思うので(あったら教えてください…)、SASコードがわからない際の辞書として利用した。ただし統計手法の説明自体はないので、それは他の本を参照のこと。

臨床研究のためのStataマニュアル

Stataの使い方を学ぶにあたっては、この本が分かりやすかったと思う。Cox比例ハザード解析やサンプリングを考慮した解析まで網羅されており、これ一冊で多くの解析ができてしまう。ちなみにこの本も統計手法の説明はない。

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重回帰分析等のより複雑な統計解析の話になると専門的になり、日本語でもなかなか平易な本はない。まただんだん英語が聞き取れる+英語の教科書を読むのが苦じゃなくなるので、日本語の参考書は必ずしも必要ではなくなる。最近は新しい日本語の良書が多数出版されているようなので、もし良い本をみつけたら適宜追加したいと思う。

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