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マハーバーラタ私訳3(御前試合1)

訳元:The Mahabharata / Kisari Mohan Ganguli 訳(英語版)
1巻 Sambhava Parva 136節より

ヴァイシャンパーヤナは言った。「バーラタ族の長よ、ドリタラーシュトラとパーンドゥの息子たちが武芸に熟達した頃、 ドローナはクリパ、ソーマダッタ、ヴァルヒカ、ガンガーの賢い息子(ビーシュマ)、ヴィヤーサ、ヴィドゥラの前で、ドリタラーシュトラ王に向かって言いました。
「クル族最高の王よ、あなたの子供たちは教えを修めました。御身の許しの下に、今こそ彼らにその成果を知らしめさせてください」
それを聞いた王は、喜び勇んでこう言いました。
「バラモンで最良の者よ、汝は確かに偉大な行いを成し遂げた。いつ、どこで、どのように試技を行うか、しかるべき場所と時を私に示すがよい。我が盲いた目の悲しみゆえに、光を知る者たちが我が子らの腕前を目の当たりにするのが妬ましい。おおクシャトリヤ(ヴィドゥラ)よ、ドローナの言うことをすべて実行せよ。美徳に献身する者よ、私にとってこれほど喜ばしいことはないだろう」
ヴィドゥラは自信を持って王に応え、命を実行するために出かけました。(一方で)大いなる知恵を備えたドローナは、木々や雑木林のない、井戸や泉のある土地を測りました。
そして、測られたその土地の上で、最も雄弁な男ドローナは、星が吉兆を示す月日を選び、それを布令によって集められた証人たる民たちの前で、神々に犠牲を捧げました。
人の中の雄牛よ(※ジャナメージャヤへの呼びかけ)、王の工匠たちは、経典に定められた規則に従い、そこに広く豪奢な舞台を作り、そこにあらゆる種類の武器を備えました。
彼らはまた、貴婦人たちのために優雅なホールを築きました。市民は多くの見物台をしつらえ、裕福な人々は広く高い天幕をあちこちに張りました。
御前試合が近づくと、王は大臣たちを従え、ビーシュマと戒律の第一人者たるクリパに先導されて、純金や真珠の糸、ラピスラズリで飾られた、ほとんど天上のごとき美しさの闘技場を訪れました。
そして勝者の頂に立つ者よ(※ジャナメージャヤへの呼びかけ)、ガーンダーリーは大いなる幸運とクンティーを祝福し、王家の女性たちは、まるで須弥山に登る天女のように華やかな衣装を身にまとい、控えの女性たちを従えていました。
バラモンとクシャトリヤを含む四層の民は、王子たちの腕前を見物したいと望んで、それぞれの住処から馳せ参じました。誰もがその光景を見たいと切望していたため、大群衆はほとんど一瞬のうちにそこに集まりました。
ラッパと太鼓の音と多くの声がなすざわめきで、その巨大な群衆はまるで攪拌された大海原の様相を呈していました。
最後にドローナが息子を伴い、白い神聖な糸、白い髪、白い髭、そして白い花輪で身を装い、白いサンダルウッドの軟膏を全身に塗布して、闘技場に入ってきました。(そのさまは)雲ひとつない空に、火星を伴った月そのものが現れたかのようでした。
バラドヴァージャ(ドローナ)は入場の際、適時礼拝を行い、マントラに精通したバラモンたちに吉祥の儀式を執り行わせました。そして、予祝の儀式として殊勝で甘美な響きの楽器が打ち鳴らされた後に、いよいよさまざまな武器を携えた者たちが入場しました。
腰に帯を締め、籠手、弓、矢筒を装備した屈強な戦士たち、バーラタ族の第一人者である王子たちのお披露目です。
ユディシュティラを先頭に、勇猛な王子たちが年齢順に姿を現し、素晴らしい武技を披露し始めました。観客の中には、流れ矢を恐れて頭を下げる者もいれば、不敵な笑みを浮かべて見つめる者もいました。
王子たちはすばやく馬に跨り、巧みに手綱を繰り、おのおのの名が刻まれた矢で的を射ました。弓矢をつがえる王子たちの腕前に、観衆はガンダルヴァの都を見たような気がして、驚嘆に包まれました。
するとバーラタよ(※ジャナメージャヤへの呼びかけ)、何百、何千もの人々が目を見開いて驚き、「お見事!お見事!」と叫びました。
屈強な戦士たちは、弓術や戦車の操縦で何度もその卓越した腕前を見せつけた後、剣と円盾を手に取り、今度は武器を振るいながら闘技場内を歩き回り始めました。観客は、驚きを持って彼らの敏捷さ、均整の取れた肉体、優雅さ、冷静さ、強靱な握力、秀でた剣捌きに見惚れました。
やがて、ヴリコーダラとスヨーダナは内心戦いの予感に喜びながら棍棒を手に、まるで2つの山が峰となるように舞台に立ちました。
豪腕の戦士たちは腰を落とし、闘気をみなぎらせて、まるで激昂した象が雌を奪い合うように咆哮し、2頭の怒れる象のごとき英雄たちは、技量に裏打ちされた身のこなしで一分の隙もなく縦横無尽に立ち回り、闘技場内を駆けました。
ヴィドゥラはドリタラーシュトラとパーンダヴァ家の母(クンティー)とガーンダーリーに、王子たちの闘技のすべてを説明していました」

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