見出し画像

5月26日投稿。脈拍と睡眠データ等で感染予測を行うアプリ「CDatenspende」がドイツでリリース。市民から提供されたデータで感染を予測。

Tuttlingen(ドイツ)から、長谷川友美です。

ドイツと言えば、「PCR検査数が多いこと」「陽性判明者の濃厚接触者の徹底追跡」で知られていますが、4月に国立感染症研究所(Robert Koch Institute ;以下RKI)がリリースしたアプリケーションが陽性患者発生の予測に役立っているという記事を見ました。

アプリの名前は、「Corona-Datenspende App」(以下、C-Datenspende)。
「コロナ用のデータを提供するアプリ」とも訳されるこのアプリは、「コロナ追跡アプリ」とも「コロナ接触アプリ」とも全く異なるものです。
このアプリの目的は、「ウイルスの拡散をより早く、正確に把握する」ことです。C-Datenspende利用者はアプリ経由で、自分のデータをRKIに提供し、RKIが分析を行っています。

C-Datenspendeが必要とするデータは、スマートウォッチや、ランニング、フィットネスフォッチから得られるデータです。現在、Garmin Apple health, fitbit, withingsなど6社の運動&健康系アプリとの同期が可能で、必要なデータを回収し分析に用いられています。

提供するデータは、
1) 基本データ:性別、年齢、身長、体重、居住地の郵便番号
2) 脈拍(安静時脈拍数)
3) 睡眠
4) 体温(withings利用時のみ)。
5) 氏名:ランダム文字列で送信されるため、個人の特定はできない。

回収されたデータの中で重要なパラメーターとなるのが、2)脈拍と3)睡眠データです。脈拍と睡眠データを用い、感染の予測を行います。例えば、脈拍が増えている人が多い地域は、「発熱による脈拍増加とも考えられ、該当地域で感染が広がっていると予測」します。それを該当地域の保健所に通知することで、市中感染やクラスター発生を防いでいくとりくみです。不調を感じた人々がPCR検査に行く前にウイルス感染状況を把握できるとしています。そして、分析結果はRKIのウェブページ上で公開されており、誰でも閲覧可能です。

C-Datenspendeのダウンロード数は、512,951。利用者の居住地にもまだ偏りがあるようですが、一定の成果をあげているようで、RKIは、「大成功」と言っているようです。

C-Datenspendeは、RKIが開発したアプリですが、スマートウォッチ等から得られるデータを用いた分析については、アメリカで発表された論文『Harnessing wearable device data to improve state-level realtime surveillance of influenza-like illness in USA : a population-based study』(THE LANCET digital Jan,2020)を参考にしているようです。


https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(19)30222-5/fulltext


長谷川友美:夫の駐在に帯同して2015年よりドイツ在住。タイ語から日本語への翻訳、日本人向けPRなどを可能な範囲でお受けしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?