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アンダース・エリクソン著「超一流になるのは才能か努力か?」の読書メモと天才バイオリニストHimariさん

こんにちは。音楽家や芸術家やスポーツ選手など超一流プレーヤーが多く存在しますが、個人的には生まれつきの才能が大きな要因を占めていると思っていました。


アンダース・エリクソン著「超一流になるのは才能か努力か?」という本の内容がとても印象に残ったので、読書メモを残したいと思います。併せて、日本の天才的なバイオリニストHimariさんについても考えていきたいと思います。

◾️「超一流になるのは才能か努力か?」の読書メモ

この本は超一流の芸術家、スポーツ選手、医者、チェスプレーヤーなどを30年に渡って研究し、その秘密を解き明かしたものです。

内容を一言で言うと、必ずしも、才能ではなく、
「心的イメージ(mental representation)」と「限界的練習」の要因が大きいというのが結論です。

・心的イメージとは、意味のあるパターンを瞬時に認識できる能力
・限界的練習とは、学習者の今の能力に基づき、現在のレベルを少し超えられる練習メニューを設計し、有効な心的イメージを作りあげていく目的をもつ練習。


例えば、一流のピアニストは、曲を本番で演奏する前に曲の「地図」をイメージとして形作っている。

また、実際にベルリン芸術大学のバイオリン科の音楽家を徹底研究した内容によると、若い学生のソリスト級Sランク、優秀でもスーパースターではないAランク、普通のBランクと分け、40代のベルフィンフィル奏者とも比較した結果が興味深いものでした。

Sランクとベルリンフィル奏者は、どちらも18歳までの練習時間の平均が7400時間で、Aランクの学生の5300時間を大きく上回っていた。

という結果です。天才と呼ばれる人たちは総じて、訓練の時間も多かったと言うのはちょっと驚きでした。

心的イメージと限界的練習を重ねることで、脳の特定の部分が一般の人よりも発達するということです。

若い人だけではなく、超複雑な道路を頭に入れる必要があり、国家試験にパスするのが難しいロンドンの高齢タクシードライバーが少なからずいる。

という話もあって、つまりある程度年齢を重ねても、心的イメージと限界的練習を効果的に行えば、上達すると言うことです。私を含むシニア世代のちょっと希望が見えますね。

一方で、こういう類の本にありがちな、生まれながらの才能はないという、確証バイアス的なデータの集め方の匂いも感じたところもあります。

Mozartの天才性のエピソードの部分も、誇張されているという指摘がされています。幼くして楽器を演奏したり作曲をしたりしたというのも、父親の教育の教育のためで天才性ではないとうわけです。

そこはすんなりと受け止められませんでした。

それはそれとして、全体的にとても印象に残る本でした。興味のある方は一読してみてはいかがでしょうか。

◾️日本の天才バイオリニストHIMARIさん

色々な分野で若くして才能を開花させている人たちがいますが、そういう人たちは生まれながらの天才性というより練習時間の問題なのでしょうか?

最近知ったカーチス音楽院に10歳で入学したHIMARIというヴァイオリニストがその一人。

カーチス音楽院と言えば、ジュリアードと並ぶ名門音楽大学です。
昔アマオケに所属していた時に共演する機会に恵まれ、個人的に尊敬する江藤俊哉氏やシルヴァーシュタイン氏がそこの出身です。

このHIMARIさんの経歴を調べてみると、3歳からバイオリンを始めたとのことで、6歳でソリストデビューを果たしています。

この経歴を「超一流になるのは才能か努力か?」の研究結果に当てはめると、ちょっと現実的でない気がしました。

3歳から初めて3年後の6歳でソリストデビューをしたことから、3年で7400時間の練習をしたと仮定しても、1日6.8時間の練習となるからです。

12歳の現在は一日8時間の練習だそうですが、6歳のころまで毎日ほぼ7時間の練習時間を確保するのは無理がありますね。

家庭環境に恵まれている要因もありますが、やはり生まれながらの才能は存在するとあらためて思わざるを得ませんでした。

それにしても、普通の人よりは小さい内からかなりの練習時間を日常的につみ重ねていたことは間違いないと思われます。

◾️まとめ

「超一流になるのは才能か努力か?」という本を読んだことで、超一流になるためには、生まれつきの才能よりも、心的イメージと限界的練習を積み重ねることの重要性を実感しました。

しかし、HIMARIさんの例のように、生まれつきの才能が大きく影響する場合も少なくないようです。

やはり、生まれ持った才能と、努力の両輪が揃ってこそ、超一流の域に達することができるのでしょう。


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