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ジュニアアスリートメディカルサポート通信Vo.13 〜ジュニアアスリートにおける最大酸素摂取量の測定について〜

ジュニアアスリートメディカルサポート代表の宮田大揮です。我々は、小中学生のアスリートをサポートして5年ほどが経ちました。2024年7月から、クローズされていたサポート体制をウェブ上にオープンしました。具体的には、医学の力をジュニアアスリートの能力を最大限引き出すためにフルコミットする形で使っていこうというのがコンセプトで、アジアから世界に誇れる選手を様々なスポーツで輩出することを目的としています。

第13回は「ジュニアアスリートにおける最大酸素摂取量の測定について」を取り上げたいと思います。このメディカルサポート通信も13回になりましたが、序章をお伝えしている形になりますので、詳しい内容に興味がある方はHPよりご連絡いただければ幸いです。

「最大酸素摂取量」とは、全身持久力の指標と考えられ、運動中に体内(ミトコンドリア)に取り込まれる酸素の最大量を示していると言われています。実際には、1分間に体重当たり取り込むことのできる酸素の量(ml/kg/分)を示し、VO2maxと略記されます。これは、我々が重要視しているスポーツに共通して必要な運動継続能力を数値として評価するもので重要な指標と考えています。

 この数値は年齢毎に基準値があり、18-39歳の男性ですと39ml/kg/分、女性ですと33ml/kg/分ですがトップアスリートではその3倍近い数値となっています。つまり、それだけ運動中に多くの酸素を取り込みエネルギーに変えることができるため、運動継続能力も高く、発揮できるパフォーマンスも高くなるため、競技のトレーニング効果を実感する指標としても役立ちます。  
 ジュニアアスリートの基準値や数値については、インターネットなどで入手することが難しく、我々は運動生理学を専攻し病児の呼気ガス分析を行っていたデータやカナダや海外でのアスリート施設での経験からデータを参考に運動処方を行っております。

 では、どのように測定すればよいのでしょうか?最近であれば、スマートウォッチなどを用いて間接的に評価できるものもあり、成人ランナーの方であれば概算として測定するのにはとても有用な方法ですが、ジュニアアスリートではまだ不正確であり、臨床レベルで利用できる段階にはありません。そのため、ジュニアアスリートは直接法という方法を用いて、マスクを装着しながらエアロバイクやトレッドミルを用いて走り、呼気ガス分析を行うことで測定が可能となります(低酸素トレーニングとは異なります)。トレッドミルなども通常のプロトコールではジュニアアスリートの最大値まで引き出すことができないため、ジュニアアスリートの最大酸素摂取量を測定するには小児専用のプロトコールが必要になります。当施設では、専用のプロトコールを用いて呼気ガス分析を行うことでジュニアアスリートの個別評価を行っておりますが、実際にこの指標を使用してもらうことが多いケースは、競技特有の練習を繰り返していて、本当に全身持久力がついているのか?を心配されるコーチ・ご両親・選手自身に対して、科学的で明快な答えを提示するという使い方をしています。
 具体的には「サッカーなどでボールを使う練習のみで、昔ながらの走りのトレーニングを取り入れてないけど、科学的に大丈夫なのか?」を評価できる方法と思っていただくとわかりやすいかと思います。

このようなことに医学的にフォローすることは日本の保険診療ではできませんので、小児科などで相談することができない側面もあり、我々は2024年7月からジュニアアスリートメディカルサポートとして一般向けにオープンいたしました。ご興味のある方はぜひとも下記サイトもご覧ください。


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