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カブが腐った

【近未来予想図 2021年4月未来予想イベント向け記事】

1.はじめに

今月のテーマは「農業の未来と達成された将来を予想する」です。

東京生まれ東京育ちでIT技術者の自分にとっては、農業は遠い存在ですが、遠い存在である故にあこがれもあるようです。

明治生まれの私の祖父は、千葉で農家の三男坊でした。このまま長男の下で農家をしていたら嫁ももらえないと、一人東京に出て親戚がやっていた材木屋で働いていました。戦後は自分で材木屋を開き、それなりに繁盛して小さいですがビルまで建てていました。

不思議だったのは、祖父は嫌っていた農作業をビルのベランダや屋上に土を持ち込み、花壇や畑をブロックで作って始めたことでした。以下の写真は、ベランダというかルーフバルコニー部分に祖父が手作りで作った庭です(祖父が亡くなった後、だれも手入れしないので荒れていきました)。向かって左端の花壇には、ネギやニラやナスなどの野菜を植えていました。

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自分はまだ小学生でしたが、休みの日になると、祖父が楽しそうにコンクリ練って、ブロック積んで、土を運んで庭を作っていたのを思い出します。私も良く手伝わさせられました。

そんな経験があるせいか、自宅マンションのベランダにも、色々植物を持ち込み、ガーデニングを楽しんでいます。下の写真は昨年(2020年)の緊急事態宣言下のゴールデンウイークに「おうちキャンプ」したときの様子です。

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マンションの植栽と合わせて「森でキャンプ」の気分は、少しは味わえました。今年のゴールデンウイークもStayHomeで「おうちキャンプ」となりそうです。

2.野菜工場は甘くない

今回の「未来予想イベント」のテーマ「農業の未来」を考えると、野菜を土で育てる従来の農業ではく、天候や季節の影響受けず、水耕栽培と人工照明で安定して野菜を「生産」する「野菜工場」の方向だろうと思い、サロン内の雑談スレに書き込んでみると、意外な反応がありました。

実際に農業をされていて、かつて「野菜工場」を経営されていた方がメンバーにいらっしゃいました(このサロン、本当にすごいです)。その方曰く、

莫大な初期投資(億越え😱)

燃料代、農薬代などの高いランニングコスト

できた野菜の単価が安い、値崩れひどい

でした。

おそらくできたトマトは、甘くておいしかったのでしょうが、「野菜工場は甘くない」というご意見でした。

3.野菜工場の進化

ノウハウをお持ちの農業のプロの方が、大きな投資をされて大規模に運営されても難しい「野菜工場」。この方向で考えるのは駄目かな。今月のエントリーはやめようかな?と思っていたら、こんな記事を見つけました。

西友大森店に「野菜工場」があり、そこでできたレタスを店内の食品売り場で販売。近隣の店舗にも配送され、販売されている、という内容でした。

ならば現地を見て、レタス買って、食べてからどうするか考えようとなり、西友大森店まで行ってきました。野菜工場ですが、5Fにひっそりとありました(撮影は控えました)。

5Fはレストランフロアーですが、コロナ禍の影響か、ほとんどのお店が閉店しており、その空きスペースに野菜工場を作ったようです。初期投資とランニングコストを抑える工夫が行われていました。

地下1階の食料品売り場に行くと、専用の売り場にあり、一袋137円の「グリーンリーフ」を手に取りました。わざわざ来てこれだけ買うのも無駄なので、他の食料品も購入。

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結局、137円の「グリーンリーフ」の約10倍の食料品を買っていました。この「10倍」が「グリーンリーフ」の「養分」になっているようです。まんまと西友の戦略に嵌められました。

この日の夜、妻が「グリーンリーフ」でサラダを作り、家族で食べてみました。これが想像以上に「うまい」。えぐみがなく、甘みがありおいしく食べられます。普段レタスを食べない子供たちも「おいしい」と食べていました。

この美味しくて手ごろな値段の「グリーンリーフ」をどうやって作ったのだろうと、袋を見ると「LEAFRU」の文字が。このLEAFRU社が「グリーンリーフ」を西友店内で生産し、包装紙、食品売り場で販売しているようです。さらに調べると、この野菜工場は、プランツラボラトリー社が開発した植物工場技術「PUTFARM」を使っていました(LEAFRU社はプランツラボラトリー社の子会社)。

「PUTFARM」は、建設コストを抑制(ビニールハウスを利用、建築コスト1/3)、低ランニングコスト(特殊金属膜で遮熱、空調代削減)、植物に最適な環境(調湿機で除菌・除塵、だから無農薬可?)の特徴を持っているようです。私は専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、従来の植物工場の課題の多くを解決している技術の様です。

(おそらくコロナ禍で撤退した)空き店舗スペースの活用、手ごろな値段、食べるとホントにおいしい、レタスの10倍は買い物する「養分」の存在から、西友は本気で野菜工場をビジネスとしてやっていく様に感じました。

4.進化した野菜工場による未来

技術がさらに向上して、どんな場所でも、少ない初期投資、低いランニングコストで色々な野菜が「野菜工場」で作れるようになった「未来」を想像してみました(イラストは全て「いらすとや」https://www.irasutoya.com/より)。

・鮮度の良い野菜を消費者に届けるため、都市に「野菜工場」が作られていく。新型コロナにより閉店した空き店舗やリモートワーク普及により空室となったオフィスが新たな「畑」となる。

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・大型のスーパーやホームセンターは「野菜工場」が併設されていることが当たり前となり、休日になると家族連れが「野菜狩り」を楽しむようになる。

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・冷蔵庫サイズの「野菜工場」が開発され、自宅で野菜の「製造」が可能に。都市部のマンション等、広い庭が無い家でも、家族4人程度の野菜の自給自足が可能になる。

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自動運転浮遊車「クラゲ」 に「野菜工場」が搭載される。街中を漂いながら野菜を育て、注文が入ると家まで届ける。

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・郊外、地方の農家は「土耕栽培」を止め、共同で大規模な「野菜工場」を建築、運営していく。都市や家庭の小規模「野菜工場」では作れない、根菜、芋類、米、果物等をプロのノウハウで「製造」 。労働条件が改善し若者を呼び込む事に。なお消費者地まで野菜工場搭載の「クラゲ」が鮮度を保ったままお届け!

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そして最後の想像。天候にも季節にも左右されず、美味しくて安全な野菜が食べられる世の中になったのですが、そうなると人間は別の欲望が湧いてくるはずです。この時代殆ど作られなくなった土耕栽培の野菜、いわゆる「露地物」の人気が急騰します。

「名人」と呼ばれる「露地物」の農家には、作付け時期になると、その「収穫権」 を得ようと産地仲買人が殺到します。まだ育つかどうかわからない「収穫権」を産地仲買人は「名人」から購入し、分割して卸売市場に出します。さらに市場の仲卸業者や市場参加者はその権利を競り落とします。

野菜の現物を扱う卸売市場が「収穫権」取引所となり、「露地物」は「金融商品」となっていきます。まさに「カブ」です。

「名人」が育てても数年に一度は、天候や病害虫等で不作の年があり、「収穫権」 は紙くずになります。そして関係した仲買人や仲卸業者が飛びます。これを皆「カブが腐った」と呼ぶようになりました(何とかの森みたい)。「露地物には手を出すな」という家訓ができた家もあるとかないとか。

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5. 最後に

これまでミニトマト、じゃがいも、なす、オクラ、アスパラガス、イチゴ、バジル、ロースマリー等を、ベランダで育ててみましたが、手間とコストの割には採れる量が少なすぎ割に合いませんでした。また実も固く、形や大きさもバラバラです。プロの方のスキルには、とても敵いません。

それでも、うまくできなくても、今年はミニトマトの苗買ってきて植えてみようかと思っています。少しでも実が生ると嬉しいし、娘たちもとても喜びます。写真は4年前の比較的「豊作」だった年のミニトマトです。

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以上

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