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♦︎ヒマワリの花と映画「ひまわり」

 夏の花の代表といえば「ヒマワリ」である.山梨県北杜市明野の「ヒマワリ」が有名で,毎年サンフラワーフェスが開催されている(2020年は中止).出かけたのは2016年の8月末で,残念ながら,シーズンは終わっていた.やっと探しあてた「ヒマワリ」である.「ヒマワリ」は,元気印のようなイメージであるが,ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演の映画「ひまわり」は,少し違う.
 陽気なナポリ娘ジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアフリカ戦線行きを控えた兵士アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は,海岸で出会い,すぐに恋に落ちる.12日間の結婚休暇目当てに結婚式を挙げた2人は,幸せな日々を過ごしていた.結婚休暇もなくなってきたので,二人は除隊のための芝居を計画した.アントニオがジョバンナの首を絞めたりして病院に送られるのだが,精神病患者のふりをしていた事がバレて罰としてソ連戦線に送られてしまう.終戦後,出征したきりで行方不明となっているアントニオを待つジョバンナ.アントニオは生きていると信じるジョバンナは,ついにアントニオを探しに単身ソ連を訪れる.しかし,アントニオは命を救ってくれたロシア人女性(マーシャ)との間に幸せな家庭を築いていた.マーシャに案内された近くの駅で,列車から降り立つ勤め帰りの男達の中にアントニオの姿を捉えたジョバンナ.アントニオもジョバンナに気づき,お互いを見つめ合う微妙な時間が流れる.全てを悟ったのか突然ジョバンナは逃げるように動き出した列車に飛び乗り,座席に着くやあたりをはばかることなく泣き崩れる.アントニオを探すジョバンナの前に,ヒマワリ畑が地平線の彼方まで続く.果てしない数の「ヒマワリ」から,一本の「ヒマワリ」を探すというイメージを,白黒の画像にところどころ黄色の「ヒマワリ」で表現してみた[YouTube参照].監督は,イタリアの名匠ビットリオ・デ・シーカ.音楽は,「ムーンリバー」でもおなじみのヘンリーマンシーニ.切ないメロディが映画のシーンと絡み合い,とても印象的である.
 ミラノに戻ったジョバンナだったが,数年後,もう一度やり直したいとアントニオが訪ねてくる.再会した二人だったが,ジョバンナにも新しい夫と子供が居る事を知ったアントニオは,ソ連に帰ることを決心する.ハッピーエンドとはならない,戦争によって引き裂かれた男女を描いた名作.モスクワ行きの列車に乗るアントニオをジョバンナがミラノ中央駅まで見送りに来る.動き始めた列車の窓に立ったままジョバンナを見詰めるアントニオ.遠ざかってゆく彼の姿に,ジョバンナは抑えきれず涙し,ホームにひとり立ち尽くす.彼を乗せた列車が去っていったそのホームは,戦場へ行く若きアントニオを見送ったのと同じホームだった.2010年に撮影したミラノ中央駅のメイン通路の写真があったが,ホームの写真もとっておくべきだった(残念😢).
 なお,この映画は,最新のデジタル技術を駆使した『ひまわり 50周年HDレストア版』として,公開されている(公開終了している映画館もある).

[YouTube]北杜市明野のヒマワリ/映画「ひまわり」のテーマをBGMにして https://youtu.be/ZcJfX0IILuw


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