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【CHC】2023トレードデッドライン考察 2日目

ということで考察2日目、今日はこちらの選手を取り上げます。

Marcus Stromanマーカス・ストローマン 残り半年(2024年:$21MM  Player Option)

2年$50MM+1年$21MMと、当時の市場価値として予想されていた5年$100MMを大幅に下回る契約だったにも関わらず、シーズンが終わって開口一番にシカゴという街への愛を語ってFAからカブスへと入団してくれたストローマン。それだけでカブスに残っておくれよとしか言えませんが、残念ながら彼もトレード候補筆頭です。

昨季は開幕直後のスランプと右肩痛によるIL入りにより、前半戦終了時にはERA4.69と苦しんだものの、調子を取り戻した後半戦は安定感ある投球でERA2.71をマークするなど復調をアピールしてシーズンエンドしていました。

今季は開幕前のWBCでプエルトリコ代表のエースを務め上げ、チームのベスト8入りに貢献。そのままの調子でシーズンに突入すると、徹底したローボールへのコマンドと内外への投げ分けを駆使して打たせて取る「いつもの」ストローマンが戻り、一時期ERAやQS数でMLBトップに君臨する活躍を魅せ、現時点でbWAR3.1、fWAR2.5をマークするエース投手へと返り咲きました。

ロンドンシリーズで右手人差し指にできたブリスター(水ぶくれ)の影響もあってか、7月は4試合の登板でERA6.20と不振ですが、全体成績で見ればERA3.09で3つの貯金(10-7)を稼いだ先発陣の柱とも言える内容ではないでしょうか?スティールは売られないから良いんだよ。

そして契約面でもオプトアウト時のバイアウトもなく、インセンティブも160イニング消化時に支払われる$2MMのみ。市場でのスターター不足も相まってレンタル選手としてはこの上なく注目を集める存在の1人でしょう。

彼がトレードされるとなれば、ひとつ条件として内野守備に定評のあるチームが有力候補となり得るでしょう。

それを踏まえた上でストローマンの移籍先を考えた際に、私は以下の4つのチームが条件に当てはまるのではないかと思います。

〈候補1〉 トロント・ブルージェイズ
現在ア・リーグ東地区3位とはいえ、56勝46敗と10個の貯金を作ってワイルドカード争い3番手に位置しているれっきとしたコンテンダーです。

ブルージェイズといえば強力な打線が印象強いですが、守備も今季MLB最強クラス。選手全員のDRSはMLBトップの48(ほとんどがケビン・キアマイアーだけど)をマーク。ただ内野守備は3Bのマット・チャップマン、SSのボー・ビシェットを除けば平均以下の守備力となっているため、ベストフィットと呼べるかどうかはわかりません。

ただし先発陣にストローマンが加われば大きい補強にはなります。現在エースのケビン・ゴーズマン、復調したクリス・バシットとホセ・ベリオスの3本柱に加え、唯一の左腕スターターである菊池雄星、スランプに陥っていたアレク・マノアが現在のローテーションですが、ここに安定感のあるストローマンが加われば選手起用に幅が持てるでしょう。菊池はリリーフ経験もありますし、マノアがまだ本調子でなければ再調整させることも可能です。

そしてストローマン本人も確実に今季の成績を維持できればレンタル移籍となるため、チームにとっても重荷にはなりません。

ベストフィットではないにしても、古巣への凱旋は個人的にあり得ると思います。

〈候補2〉 アリゾナ・ダイヤモンドバックス
当初からストローマン獲得に熱心だったダイヤモンドバックスも有力候補の1つです。

ダイヤモンドバックスにとって、今年ポストシーズンに駒を進めるための必要要素は間違いなくザック・ギャレンに続くスターターでしょう。今季はWBC決勝でアメリカ代表のスターターを務めたメリル・ケリーが好調でしたが、その他はあまりパッとしない成績。現在はトミー・ヘンリー、ブランドン・ファート、ライン・ネルソンといった若い投手が起用されていますが、ここにベテランであるストローマンが加わることは非常に大きいと言えます。

内野守備は極めて平凡な成績ですが、1Bのクリスチャン・ウォーカーは昨季のDRSが17と圧倒的な成績を残した元ゴールドグラバーであることをはじめとして、ケテル・マーテイ、ヘラルド・ペルドモ、エマニュエル・リベラもリプレイスメントレベルの守備能力は持ち合わせており、ベンチには2年連続ゴールドグラブ受賞のベテラン内野手ニック・アーメドもいるため、他の補強次第では守備のレベルも上がってくる可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。

〈候補3〉 サンフランシスコ・ジャイアンツ
思えばストローマンがFAとなった21年オフ、ロックアウト中だった2月25日にひたすらジャイアンツのフロントを褒め称えていたツイートは、今夏の伏線回収となるのでしょうか...

現在ナ・リーグ西地区3位を走るジャイアンツも獲得候補になるでしょう。ローテーションにはエースのローガン・ウェブをはじめとして、ベテランのアレックス・カッブ、アンソニー・デスクラファーニ、アレックス・ウッド、ロス・ストリップリングで形成されており、非常に玄人好みのスターター陣と言って良いでしょう。
しかしエースのウェブ、カッブ以外は不安定な投球も多く、このままワイルドカード争いをしていく中でスターターを確保したい思いは持っているでしょう。

ストローマンにとっても投手有利な球場であることを考えると、悪い話ではありません。ただしショートのブランドン・クロフォード(現在IL)の衰えや膝の状態を考えると、ストローマン獲得には多少のリスクを背負うことも視野に入れないといけないと言ったところでしょうか?

〈候補4〉 テキサス・レンジャーズ
現在ア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズは、攻守共にベストフィットな球団といって差し支えないかもしれません。

レンジャーズは今季ここまで59勝43敗。ジェイコブ・デグロムのTJ離脱もありましたが好成績と言えるでしょう。しかしすぐ後ろにはアストロズが1ゲーム差で迫ってきていることを考えると、先発のラストピースとしてストローマンの獲得に乗り出してもおかしくはありません。既にリリーバーのラストピースは獲得しましたしね。

本拠地のグローブライフ・フィールドはビッターズパークではあるものの、フライを打たせないストローマンにとっては大きな障壁になりにくい上、2Bのマーカス・セミエンがマークしているDRS7はカブスで2Bを守るニコ・ホーナーよりも2ポイント上であり、1Bのナサニエル・ロウはリーグトップレベルのDRS5、ルーキーの3Bジョシュ・ヤンも平均的な守備力を持ち合わせています。それだけにショートでDRS6をマークしていたコーリー・シーガーの離脱は攻守での痛手となってしまったように思いますが、このような盤石たる内野守備陣でストローマンが活きないわけがありません。

それに多少打たれてもQSクラスの投球を続ければMLBナンバーワンを誇る得点能力のあるレンジャーズであれば、むしろストローマンのテンポの良い投球がそのまま攻撃にも活かされるという好循環を生むのではないでしょうか。

先発陣にはサイ・ヤング賞候補のネイサン・イオバルディが頑張っている他、便利屋からローテへ昇格したデーン・ダニング、一時期素晴らしい投球が続いたジョン・グレイ、昨年ほどの安定感はないもののローテを守り続けるQO受諾男のマーティン・ペレスが規定投球回に到達しており、優秀なメンバーは揃っています。

投手の底上げは現在のレンジャーズにとって至上命題。その候補にストローマンの名前が出てきても全くおかしくはありませんよね。

といったところでしょうか?
その他アストロズやオリオールズ、大穴には同地区レッズが挙げられるかもしれません。

とはいえ個人的にはなんやかんやで二遊間が数年このまま残るカブスもベストフィット候補のチームであるため、目下4連勝でワイルドカード争いにも希望が出てきたチームが簡単にストローマンを出すかと言われれば少々怪しさもあります。

しかしストローマン本人が何度も訴えてきたエクステンションにカブスフロントが応じる姿勢を見せていないことを考えると、今夏での放出もあり得ない話ではありません。

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