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【実録】アメリカで内視鏡検査を受けた話

僕は今アメリカで駐在員として働いています。
先日一時帰国したときに親会社の規定で健康診断を受けたのですが、最近その結果が返ってきました。

「検便で陽性反応があったので至急精密検査を受けてください」

えっ!?!!!?!?!

これはアメリカで何も分からないまま内視鏡検査を受けた時の記録です。


※検査の結果とくに問題はありませんでした。


検査当日までの経過を思い出しながら振り返ろうと思います。

○3週間前

会社から健診の結果と「精密検査を受けろ」との連絡を受け取りました。便潜血検査で引っかかったからすぐに内視鏡検査が必要らしい。
そうは言われても既にアメリカに戻ってしまったし、検査のためだけに日本に帰国するわけにもいきません。となると現地の病院で事情を説明して検査を受ける必要がある。

でも病状を英語で説明できるのか……?

病院で話す言葉って日常のそれとは違うじゃないですか。「お腹が痛い」は英語で伝えられそうだけど、「逆流性食道炎」とかになったらもう聞くのも話すのも無理そうだ。そして精密検査は後者な気がする!
それでも説明をしないことには始まらないので、不安を胸に市内の医療センターに診察の予約をしました。


○2週間前

日本の病院からの紹介状を持って病院へ。一番の懸念事項がコミュニケーションだったので、担当の医師に会うなり英語に不安があることを伝えました。先生は室内の電話で誰かと話し始め、しばらくしたら電話口から「私が代わりに説明します」と日本語が聞こえてきました。医療通訳者だ!

どうやらこの病院は米国内にネットワークがあり、英語話者でなくても診察を受けられるように医療通訳者を用意するシステムがあるみたいでした。ありがとうデカい病院とそのネットワーク。
その日は検査日を予約した後に検査前の注意事項やら服用薬の説明を受けて帰りました。よかった…不安だったけど問題なく一通り終わりました。これなら検査本番も大丈夫そうです。

大丈夫…だと思ってたんですけどね……。


○1週間前

診察時に受けた説明通りに食事を制限します。腸内を内視鏡で診るわけだから事前に空にしておく必要がある。お腹に残留しやすいものは早々に食べないようにするってことでしょうか。
検査の1週間前からはナッツ・タネ類・キャベツ・レタス・コーンは食べちゃダメと言われました。えっ困るな…。普段からメインで食べてるものばかりです。ナッツとかキャベツは僕の主食だったのに。ハムスターみたいな食生活が仇になりました。


○3日前

病院から電話が掛かってきました。

『検査の当日、医療通訳者がつけられなくなりました』

なんでだよ!!!!!!

正直とても困りました。一番不安な検査当日に頼みの綱の通訳者を付けられなくなってしまった。電話では通訳の方の予定がいっぱいで、空いてる日まで待つと検査が4月末か5月になると話していました。
流石にそこまでは待てないし、検査に備えて食事制限も始めている。車はもう走り出しているんだ。こうなったら通訳者なしでやりましょう!!と答えました。検査ってショウマストゴーオンだから。


○1日前

診察時に指定された薬を飲みます。専用の容器が付いていて、粉末と水を中に入れてシェイクして作る仕組みでした。何だか子供のころ好きだったミックスジュースの知育菓子みたいで懐かしくなります。思い出補正かもしれないけど、あの時のジュースはおいしかったなあ。
だからこれもきっと

超マズいな…。

指定の薬は信じられないほど不味かったです。ケミカルな酸味が口の中に広がって、頭が飲み込むのを拒否している。そのくせ量も多くて一度に500mlのペットボトル2本分ほどを飲まなきゃいけません。この世で一番まずい飲み物だと思いました。

薬には下剤の成分が含まれているのか、飲んですぐにお腹の中のものがバァーッ!!!と出てきました。すごい勢い。牡蠣に当たったことのある人の「トイレから離れられなかった」という体験談を聞いた時にそんな馬鹿なと思っていたんですが、あながち嘘じゃないみたいです。
トイレから本当に動けない。便座から立ち上がった瞬間に次の便意が来る。この日は日曜日で、翌日の朝にも同じ薬を飲まなきゃいけないのですが月曜の午前は休もうと思いました。出勤どころじゃないよ。
この日から固形物の摂取が禁じられていたのも精神的にキツかったです。


○検査当日・朝

朝起きて例の薬を再び飲みました。うーんマズい!
飲むとどうなるのかは前日に学んだので予めトイレでスタンバっていました。前日と違う点は粉末の薬が2種類あるということ。2つの粉末を先ほどの容器にいれてシェイクします。いっそう思い出のドリンクに近づきました。味は最悪ですが。

服用後、案の定猛烈な便意に襲われました。昨日あれだけ出したというのにまだ出てくる。いま俺の腸内フローラってどうなってるんだろう。
この段階まで来るとほぼ液体で、勢いよくビシャー!と尻から出てきます。しかも薬のせいか色が黄色い。もうおしっこじゃん。尻からもおしっこが出るとか、おちんちんが2本あるな…と思いながら便座に座ってました。俺、おちんちんが2本あります。

検査の4時間前からは遂に水も飲めなくなりました。食べ物が無くても何か液体を胃に入れれば空腹感を凌げていたのですがそれももうできない。この辺りから目が虚ろになってきた気がします。

○検査当日・昼

会社の上司に連れられて病院に行きました。
予約済みだったので割とスムーズに受付を済ませ、少し待った後に診察室に通されます。
診察室にはキャスター付きベッドと手術着(検査着?)が置いてあり、看護師さんが何かペラ〜っと喋った後にすぐ出ていってしまいました。まずい、何を言ってたか聞き取れなかった。
えっこの…手術着を着るんだよな多分。尻にカメラを突っ込む訳だから。普段着じゃできないんだから。自信は無いけど、多分これからすることを考えたら全部脱いでコレを着るんだよね?

なにか間違えていたら怖いのでパンツだけは履いておきました。

少しして、先程と違う看護師の人たちが入ってきました。事前に体調の質問などをいくつか投げかけます。元々通訳を希望していたことは伝わっていたらしく、簡単な英語で聞いたり時折スマホの翻訳アプリを使って確認してくれました。ありがとうDeepL。

いよいよ検査に入りそうな雰囲気を感じたのですが、話の流れからどうやらパンツも脱いでおくのが正解だったらしい。そして多分、このタイミングを逃すと脱げない状況になる!
思い切って「パンツも脱いだほうがいいですか?」と聞きました。やっぱり脱ぐのが正解でした。良かった…。でも俺だってこんな変質者みたいな質問したくなかったよ。


○内視鏡検査

パンツを脱いだあと、ベッドごと手術室に運ばれました。おお、この感じドラマで見たことがある。今は自分が運ばれる立場なんだなと思うと不思議な気分です。
室内では検査を担当する先生が準備していました。自己紹介のあと酸素吸入用のマスクを鼻に装着される。今日鼻が詰まってなくて本当によかった。
そしていよいよ麻酔が注入されます。麻酔を打たれるのは初めてだったので、本当に効くのかとか検査中も意識があったら嫌すぎるとか考えてました。
そんな風にモンモンしていたら先生が僕に質問してきました。「アメリカに来て何年経った?」「何の仕事をしているんですか?」

一体なぜ今こんなことを聞くんだr

検査終わってる!!!

…質問の途中で麻酔が効いていたみたいです。
気がついたら目が覚めていて、内視鏡検査は終了していました。術後に看護師さんが渡してくれたリンゴジュースとビスケットはこの世で一番おいしかった。
ベッドの上で、担当の先生から検査の結果を聞きました。今のところ腸内に問題は無いとのこと。よかった~!!


○検査を終えて

しかしなぜ、特に問題は無かったのに健診で異常が見つかったんだろう。便潜血で陽性だったと聞いているけど出血している箇所は見られなかったし。
思い当たることと言えば日本の検診当日に検便が必要なことに気づいて、でもトイレ後だったから渾身の力で絞り出したことくらいしか……。


………


教訓:検便は計画的に準備しよう。

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