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アセンションしたのに統合失調症って無理ゲー! 〜第16話〜

霊のゴミ箱

大学在学時から個人イベント音響屋さんと仲が良くて、しょっちゅう手伝いをしていました。一緒にトランスの音の話をするのが愉しくてしょうがなかったし、機材の触り方の基本も教えてもらいました。

 ある日、その人からあるハコ(DJイベントをするクラブ)の店長の仕事を紹介されました。少し前からフライヤーに名前が出てきていたそのハコは、実際にはレンタルスペースで、いつも外でやっていることを発電機と天候を気にせずにできる、冬でも機材を持ち込んでパーティができる、まさに野外パーティが中でもできる場所でした。

 勤めていた営業職を辞めて、店長の仕事をすることにしました。その時の営業職はお金ありきの働き方で、豪傑感こそあったけれど、どこか人生に対して刹那的で。好きな音楽と関われるのならば自分が適任ではないかと感じたのです。

 新たな仕事場のハコは、トランスイベントで使用されているうちに、トヨタのブラジル人コミュニティに噂が広がりお客さんの3、4割は外国人になっていきました。ちょうど愛地球博があったこともあり、外国人の比率が5割以上になったこともあります。

トランスイベントなら、どのオーガナイザーでも一定数外国人集客が見込めるハコとして定着していきました。出入り自由で同時に踊る人がちょうどいいキャパは150〜200人、一晩でMAX300人ほどのイベントが打てるので、外国人DJツアーでも名古屋で選んでいただけるハコになっていました。

 その当時感じたことが「なぜ人はこんなにストレスを溜めるのか?」。この問いは長年私の心に残り続けます。ストレスを溜めて発散するループは悪循環ではないか?ストレス自体を減らすにはどうしたらいいんだろう?日本人ではありえないほどの熱量で朝まで踊る人々は見ていて楽しかったし、バッドになった人の介抱も自然に身につきました。パーティ後は床がめちゃくちゃでしたから、お札が落ちていることもよくあって、アルバイトさんと宝探しをするように掃除していました。霊的なことを言うと、みんなが踊っている1mほど上に丸い塊ができ出して、それがどんどんビートに反応して上に魂の帯のような帯域ができることがあります。集団魂磨きのような作業です。その削りかすを自分は頭の上にあるチャクラから吸い取って、食べていました。

 1番満足したパーティは、当時仲良くしていた男女6人組が主催したイベントでした。夜中は程よく盛り上がり、閉店は朝の7時なんですが、朝がたでも100人以上残り、そして誰も会話もせず音楽だけがその場に音としてあるのです。踊る人たちは声も出せない。完全にその場にいる人が上空で意志を持ちながら繋がっている。しかもそれを実感できる。あのパーティーは最高でした。いわゆる集団エクスタシー(脱魂)が本当に起きたのです。

 そんな暮らしが1年ほど続いた頃、大量の魂をコレクションしていた私に転機が起きました。当時の彼女が、京都のお祭りに行って帰ってきた時のこと。「あのお祭り面白いし行った方がいいよ。」そう振り返りながら言った瞬間、私が好きだったその子から身体全体を包むような白い霊が、ふっと出ていったのです。「えっ?好きだったのはその霊だったのに。」イカれた話ですが事実です。

 京都の京大・西部講堂で行われていたお祭りに行くことにした私は、何かに呼ばれていると確信していました。霊達がかなりストックされていて、これ以上持ちきれない。という自覚はありました。

トランスミュージック全部がそうではないのですが、自分の感覚では(この書き方は誤解を招くかも知れませんが)調子が悪い人からも悪さする原因の霊を一旦、音で身体と分離させて、それを扱える人が食べるのです。身体という部屋が散らかっているなら、まずゴミ箱にいらないものを『捨てさせる』ような作業で、ゴミ箱をもう一つ大きなゴミ箱に移すんです。まだ20代半ばだった私には、吐き出せるだけの大きなゴミ箱が必要でした。

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