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ジョルジュ・セレクション2018~虚構の世界とクソッたれな現実へ~

陰謀論が好きだ。あくまで都市伝説、エンターテインメントとしてという前提でだが。
一歩間違えれば扇動になりかねないストーリーとメッセージに中学生ぐらいの頃ワクワクして眠れない夜もあった。(暗い青春すぎやしないか?)
ここ最近の陰謀論者たちがひっきりなしに言っているフレーズに「意識的に生きろ」というものがある。「アイツら悪いことしてんだから認識しろ!」みたいな意味なんだろうが、何かに対して『意識的に生きる』ことはより良い人生の為に必要なのではないか。

今年は惰性ではなく意識的に映画見れたように思う。本数は減ってしまったし革命的な一本との出逢いも無かったが、多くの「気づき」や心から大事にしたいと思える作品をたくさん見ることができた。
陰謀論(笑)から何を教わっとんじゃいと思うかもしれないが、チューインガムの包装紙から宇宙の秘密を解き明かす人もいるのだ…って訳でジョルジュ・セレクション2018いってみよう。

2018年公開作10選+番外編で過去作2本だ。ネタバレはしないように気をつける。紹介順は順位とかではなく見た順番。文量やテンションの差は書いてる時間帯の差と思ってもらって構わない。


スリー・ビルボード

悲劇とはなぜこうも美しいのか。
この世は決して思い通りにはいかないし、精一杯やっても返ってくるものがあるとは限らないし、正直者が馬鹿を見る。この映画では特に主要の登場人物3人がほとんど報われない。
そしてラストシーンとそのやりとり………"""人生"""〜〜〜!!!!!
「セブン」と同じ引き出しにしまっておきたいと思う、本当に大事な一本になった。
何よりこの映画のせいでこの一年オレンジジュースの消費量がすごかった。いや、マジで


ブラックパンサー

アベンジャーズ・アッセンブル!させるのに苦労しているため完ッ全に単品映画の方が面白くなりつつあるMCUの今日この頃だが、その状況関係なく誇張抜きで傑作だろう。(インフィニティーウォーがつまらなかったとかではない)
MCU作品の凄まじいところであり他の『大作映画シリーズ』と一線を画してる箇所って言ったら「シリーズ通してではなく、一作一作としての強度」だと思う。
アベンジャーズシリーズのお祭り感はもちろん両手離して楽しめるが、前提としてそのヒーロー一人一人が愛すべき存在でなくては「お祭り」にはならない。
現実とリンクする彼らの思想 思考、「国王」との間で揺れ動く新しいヒーロー像、かわいい妹、圧倒的存在感の悪役、動き回るブラックパンサーの最高すぎるアクション、めちゃかわいい妹…
好みはともかく正直評価の高いGotGとかWS辺りより面白くないか…?
ただあのハーブ何度も飲んでたけど体の方は大丈夫なのだろうか


シェイプ・オブ・ウォーター

全てがタイトルに集約されている。
“Shape of water”「水のかたち」、、、つまり、、、『愛』でしょ、、、
比喩表現…特に映像的比喩とでも言える演出が完璧すぎる。
「水」には時折「鏡のような」なんて枕詞がつくことがあるけれど、人間の自分の醜さが映し出されているようで見ていてすごく苦しかった(絶賛)
こんなに確固とした形で自分の妄想を出力できたら気持ち良すぎるんだろうな…


レディ・プレイヤー1

予告を見ただけで「あの頃」のヒーローに心を奪われてしまっている人間として行かなくちゃならないだろうと思ってしまったこれ。
まんまと楽しんでしまったわけだが、普遍的な所謂大衆性と異常なまでの探求性がとんでもないバランスで成り立ってる頭のおかしい作品だと思う。
ヴァン・ヘイレンのJumpから始まり、80’sポップカルチャーネタしか言えないのかこいつら!って感じなのに、それらを全く知らなくても楽しめる展開。バカルー・バンザイとか誰も知らんわ!
ただその中で唯一「これぐらい見てんだろ?」みたいなメッセージを感じるあのシーンマジでうれしくて初見声出ちゃった。(俺はスタンリー・キューブリックのオタク)
説教くさいラストも最高。


リズと青い鳥

この作品は異常なまでに環境音が聞こえる。
足音、衣摺れ音、呼吸音、水槽のポンプの駆動音、ページをめくる音…最初はアニメ映画ならではの音響という印象だったのだが、クライマックスでそれらが重なり『音楽』と成していくかのような完璧な演出に物語と相まって震えが止まらなかった。
音楽を扱う空気感の理想を話す時は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ベイビー・ドライバー」を挙げていたのだが、新しい方面の正解を叩きつけられた夢のような時間だった。
そういう意味でも、関係性のオタクとしても両手離して喜んで観れる一本。迷うことなくエンドロールに関しては今年一番。
もう関係性については掘られまくってるしネタバレは避けられないしって感じなので関係性については…各自でみろ!!!!!
そしてオタクよ、風呂に入り呼吸音を抑えろ。


パンク侍、斬られて候

はちゃめちゃパニック時代劇エンターテインメント…いやもうなんて形容すればいいのこれ?
コメディ映画の皮を被りながら、創作物という虚構とハッタリに塗れた世界に夢中になっている社会不適合者のクソ人間どもに対する罰と救いを与えてくる。
あの時代の「侍」と呼ばれる人種は横文字使わないだろうし、「えっ手取りいくらなんスか?」とか言わないし、パンク侍ってそもそもなんなんだよ!!!
評価が分かれるのも当然の出来では、あった。


6歳のボクが、大人になるまで。

2014年公開作。
6歳の少年が家を出る歳になるまでを描いた人間ドラマ作品…なのだが驚くべきは「撮影期間12年」というイカれた事実。
ドキュメンタリー的に映される成長し変化していく人間たち。それでも作られたドラマとしての強さをしっかりと感じさせる。
「背伸びたな…」「あっこいつ声変わりしてやがる!」みたいなエモーションの追体験、かつどうってことない「人生」の一瞬を繋げたまさに"ドラマ"としての面白さが凄まじい。
最初の段階でどこまで決まっていたのかが気になる…パンフレット買いたい…


Search

ホラー映画が苦手である。血は平気だが所謂「びっくり系ホラー」が本当に嫌いでその地雷を踏むのではという恐怖でホラーを見に映画館に行くなんてことは出来なかった。
だがsearchは劇場で見た予告の時点で夢中だった。これこそ新時代の「作られた映像」だ!とはしゃいでしまった。
ただPC画面が映り続けるのではなくFacetimeにより表情を見せたり、隠しカメラの映像や、生配信中のネット番組等が映ることで画に対する飽きも全くなかった。
ストレスなく進む展開、現代ならではであろうゾッとする「あのシーン」、好みすぎるラスト…そして何より自分にとっての「最初の一歩」になってくれたという意味で大事な作品になっていくだろう。


ボヘミアン・ラプソディ

もともとQueenファンで心待ちにしていたプロジェクトではあったけど、それと同時に「まぁ…バンドの伝記映画だしなぁ〜〜〜〜 音響に期待しよ」程度のアレだった。案の定ラスト20分ボロッボロ。
ドキュメンタリー映画というか伝記映画そこまで好きではなくて、自分の好きな映像は記録映像ではなく映像による作劇だった。だからこそ史実を大きく改変し「伝記劇」として再構成したこの狂詩曲は永遠に見られていてほしい。
音の良い劇場でもう一回ぐらい見に行きたい。

「ボヘミアンラプソディ感想生」なんてのもやっちゃうぐらいのはしゃぎようである。(楽しかった………)


スイス・アーミー・マン

2017年公開作。
「ダニエル・ラドクリフが死体役で出演」というアホみたいな状況にまんまとのせられ衝動買いしてしまった。そしてまんまと泣かされた一本。
ガスを噴出し 火を起こし 水を貯め 薪を割り 武器としての性能も高く 挙げ句の果てには話し相手にもなる…異常に便利な「死体」によって生かされる主人公。徐々に明かされるバックボーンに感情移入し同感し、最高の音楽と映像が合わさりラストには訳の分からない涙に襲われる。
泣き度(?)で言えばもう劇場で見たボヘミアン・ラプソディ並みだった。やばくないか?


来る

さぁホラーを見に行くぞという勢いで見に行った「来る」だが、ただの霊媒エンターテインメントだった。いや、褒めている。
何をとっても一人一人のキャラクターが最高すぎる。上っ面だけの幸せな家庭、怪しすぎるフリーライター、キャバ嬢霊媒師、その姉の最強無敵の霊媒師、最高すぎる霊媒師集団………
そして挿入歌もかっこよくて…まだ公開中だからもう今すぐ行けよ!!!!!!
「痛みだけがあなたを現実に繋ぎ止める。」


仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER

仮面ライダーを見始めたのはごく最近だ。2つ前のエグゼイドが終盤に差し掛かった頃にドハマりし、それからいくつかは見れたが「平成ライダー」と呼ばれる作品群の半分も見れていない。
だからこそ所謂コアなファンに対するごほうびに近い印象を受けた前情報に若干の不安を覚えていた。
泣いた。自分でも引くほど泣いた。前半映画館に慣れていなさそうな二つ隣のちびっこがぐずっていたはずだが、クライマックスで声を漏らしているのは自分だけだった。刺さりすぎた。いやもしかしたらみんな死んでいたのかもしれない。多分そうだろう。

この一年通して虚構というものについて考える日々が続いていた。現実世界と絡み合うような作品に上記以外にも多く触れ、自分同様「嘘」に夢中になっている方々との繋がりが深まり、「嘘の世界」にいる彼ら彼女らを愛おしく思えば思うほどこちらの世界で救われて行くこの奇特な病に対して向き合おうと思えた。
自分の拾ってきた価値観が少しづつだが確かに繋がって行くこの感覚を大好きな映画という媒体で気付けているのがたまらなく嬉しい。
映画本編が終わり、泣き腫らした顔を隠しながらシアターから出ようとした時、後ろから小さい子の「仮面ライダーになりたい」という声が聞こえて「完ッ璧な映画体験をしてしまった…」と思った。また泣きそうになった。
もう2回ぐらい劇場で見たい。
(観た直後だから文量が段違いだな…)


T2 トレインスポッティング

もはや…"""聖典"""なんだよな………



来年もたくさんの映画と出会えますように。

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