思考のスタンピート

最近AIの技術がものすごい飛躍を遂げる中で、人間がどのように考えているのか、自我とは何かなど、今までなかなか触れられていなかったところについて色々な記事を目にするようになった。
頭脳と精神は非常に密接な関係があると思うので誤った知識は事故を生んでしまうのではないかという危惧がある。
思考の問題が恒常的に発生して危険を感じたりしたときは、まずは病院に行ってほしい。
自分は精神科医でもないしカウンセラーでもない。なのでどうか鵜呑みにしないで欲しい、あぁそういう人もいるのねくらいの単なる暇つぶしの読みものだ。



自分の頭の中が2分割で動いていることを意識したことがあるだろうか。例えば友人と飲みに行く約束をするケースでこんなシチュエーションがあったとしよう。頭の片方では未来の予定の調整を、もう一方では目の前にいる相手とのスケジュールについての話し合いをしている。

頭脳A:--- 休眠中 ---

頭脳B:「そうだね、久しぶりに飲みに行くか。いつなら都合がいい?」こう言いながら自分の予定を考えなければいけないと頭脳Aを起動し出す。

頭脳A:”来週は仕事はそれほど忙しくない。けれど最近彼女が仕事が忙しくて疲れているみたいだ。来週中には会って少しゆっくりさせてあげたい。けれど、来週頭ならどうせ会えないし飲みに行っても構わないだろう。”

頭脳B:「来週頭なら大丈夫だよ。そっちの予定はどんな感じ?そっか、月曜日は会議なのか」ここで月曜日は会議という情報をセーブ

頭脳A:”本当は月曜日がよかったけれど会議なら仕方ない。火、水、木、なら大丈夫だけど保険のために木曜日は避けておいた方がいかな。最近彼女と別れたって言ってたしこちらの話は出さず火曜日水曜日で提案してみよう”

頭脳B:さて、なんて言おうかな。
「だとすると、火曜日か水曜日だとありがたいな。木曜日とか金曜日とかだともしかしたら仕事の差し込みとかあるかもしれないし」

こんな感じで頭脳Aと頭脳Bは相関関係を持ちながら会話をしていると思うのだけれど頭脳Aの処理速度は頭脳Bよりも格段に速く感じる。

頭脳Aは気分屋で処理速度が早いので作業が終わったらすぐに自分の領域を解放して頭脳Bに会話の中枢を任せてしまう。楽しい、困った、じゃぁどうしようか。そんなケースが発生した場合にそれを解決する方法を導き出して頭脳Bに放り投げ。他人の頭をのぞいたことはないが自分の場合はおおよそそんなふうに動いていると思われる。

自分は、この本来怠け者の頭脳Aが、休むことを放棄して考え続けてしまう現象を思考のスタンピートと名付けた。

自分もそんなにお目にかかったことはない。せいぜい今まで生きているうちに10回もあるだろうかといったところだ。一人で考え事をしている時、友人と仕事のアイディアやら構想を練っている時、頭脳Aが暴走する。どんどんアイディア、新しい推測される結果を量産していく。自身でそれを止めようとしているのにどんどん動いて止まらない。ついには自分で自身に恐怖を持つほどの暴走。スタンピート。

こんなことは自分だけなのかなと長い間思っていた。狂っているとも思われたくないのであまり人に話さないようにもしてきた。けれど以前に酒の席で打ち明けていた人間が同じ状況になり、こんなふうになってしまう時はどうしたらいいんだっけ?と相談され、誰にでも起こることなんだろうなと思うようになった。

頭脳Aは処理速度はやたら早いくせに言語化はとても苦手だ。だから考えだけ出したら頭脳Bに任せて言語化を行ってもらう。頭脳Bはそれをコツコツと相手にも、自分にさえもわかりやすいように言語化しようと努力する。頭脳Aはそこそこ良さそうなアイディアを出すので頭脳Bはそれをきっちり受け止めたい。頭脳Aよ、考えるのをやめてくれ。

これは確信なのだけれど、この状況になった時、頭脳Aを止められないと相当に危険だ。だから止め方を書いておこうかなと思う。初めてこれが起こった人は、まずは怖がらないように努めること。これは一口には難しいかもしれないが誰しもそうなりうると思えば少しは気が楽だと思う。次に頭脳Aに思考の餌を与えないようにすること。頭脳Aは新しい連想できる事柄を受け取ってしまうとどんどんアイディアを量産しようとするのでこれを止める。具体的には、頭脳Bによる言語化を止める。言葉にしようとか、この頭脳Aは何を言っているのだろうとかそこに興味を持つことをやめてしまうのだ。全く関係ない言葉を口から出すのも良い。「あー、これね、これこれ」とか「大丈夫、大丈夫」とか。
静かに頭脳Aから距離をとりながら、いいアイディアだけ拾って離れるなんていうのもそのうちできるようになる。

次に初めてじゃなくて2回目、3回目と繰り返してきた人。これはもう体感でしかないが、その頃には思考のスタンピートが起きそうになった時にかなりの手前から察知できるようになっているはずだ。これは来るなというのを察知したら別のことを考えて、ゆっくりと離脱すること。ああまたきたっぽいなということだけ覚えておく。

そんなこと起きたことないって人もたくさんいると思う。それはそれでラッキーだ。人には言えずにあれはなんだったんだろうとちょっと自分に不安を持ちながら生きている人もいたりするのかなと思って書いてみた。

書いてみて気がついたけれど、これを言語化するのはなかなかに骨だった。何言ってるんだか全然わからねぇよという人もいると思う。これは滅多にないことだし人には言えなかったんだよなぁという人への単なるボトルメッセージだ。なので鵜呑みにもしてほしくない。

最初にも書いたが大事なことなのでもう一度。

思考の問題が恒常的に発生して日常生活に支障が出るような場合は、まずは病院に行ってほしい。

インターネットにある知識は鵜呑みにしても碌なことがない。