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【阪神】投手運用から振り返る前半戦

 こんにちは、宜野座パーラーです。この記事が出る頃にはもう7月末、あるいは8月頭でしょうが、ここでは阪神タイガースの前半戦(オールスターまで)を投手運用に注目して振り返ろうと思います。

1.5月に9連勝も交流戦で苦戦

 本題の投手運用に入る前に、阪神の前半戦の順位と貯金の推移を振り返ります(図表1)。5月に怒涛の9連勝を含む月間19勝を上げるなど、絶好調な時期こそありましたが、そこを除くと意外と勝ちきれない展開が続きました。

図表1:順位・貯金の推移(前半戦)

 特に交流戦は雨天中止の影響による9連戦(6月3日~11日)から大きく苦しみ、10位で終えることになりました。これにより、交流戦初戦の勝利時点で今季最大の18あった貯金は、交流戦終了時点で4つ減らして14。さらに、交流戦明けのDeNAとの3連戦では3連敗し、6月25日には一時首位の座をDeNAに明け渡しました(27日には首位に返り咲きました)。その後、阪神はほぼ勝率5分の戦いを続け貯金11、追い上げる2位の広島と1ゲーム差で前半戦を終えました。

2.村上・大竹の台頭で先発陣は底上げ

 前半戦の先発投手の成績をまとめたものが図表2です。先発陣で前半戦を牽引したのはやはり村上頌樹大竹耕太郎でしょう。村上は開幕当初こそリリーフ待機でしたが、4月12日の巨人戦で今季初先発すると、勝ち負けつかずも7回を見事な完全投球。その後は先発ローテーション入りし、GW明けの1か月以上は6連戦の初戦での登板が続きました。一般的に6連戦の頭はエース同士のマッチアップが多く、勝ち星にはやや恵まれませんでしたが、それでも前半戦のみで6勝(5敗)、QS率は83.3%とエース級の活躍を見せ、オールスターにもファン投票で選出されました。

図表2:先発投手成績(前半戦)

 左腕の大竹は昨オフに現役ドラフトでソフトバンクから移籍してきました。開幕2カード目の広島戦で今季初先発の予定も雨天中止で、翌カードのヤクルト戦にスライドすると、6回無失点の好投で移籍後初勝利を挙げました。その後もローテーションを守り、前半戦はチームトップタイの13先発で堂々の7勝(1敗)。基本的には100球前後が交代の目安となっており、好投でも早ければ6回で降板するようなこともあり、物足りなさも感じますが、長いシーズンを見越した運用となっているのでしょう。

 QS率で見ると、伊藤将司が12先発で驚異の91.7%を記録しています。アクシデントの影響で開幕時点では不在も、4月27日の巨人戦で復帰すると、106球で見事な完封勝利。その後はほとんど中6日でローテーションを守り、5回4失点で降板した6月1日の西武戦以外の11試合でQSを達成。3勝4敗と勝ち運には恵まれていませんが、1登板あたりの平均投球回は6.9回と、イニングイーターとしても貴重な存在です。

 西勇輝才木浩人はそれぞれ再調整の2軍降格がありながらも、ともに13先発は大竹と並んでチームトップタイでした。ともに5勝(西勇は5敗、才木は4敗)、QS率は61.5%と、振り返ってみればそこそこの活躍をしていると言えるでしょう。しかし、両投手とも大量失点でKOされる場面が見られるなど、やはり好不調の波は激しかった印象です。

 また、前半戦の大きな誤算は青柳晃洋の不調です。2021年、2022年と2年連続で最多勝利、最高勝率のタイトルに輝くなど、今季もエースとしての活躍が期待され、開幕投手にも抜擢されました。開幕戦のDeNA戦こそ6回途中1失点で勝ち投手となりましたが、その後は不安定な投球が続きました。4月14日のDeNA戦は5回途中5失点で、21日の中日戦は3回途中4失点でKOされ、その後も登板間隔を調整しながらの先発が続きましたが、5月19日の広島戦での5回7失点が決め手となり、2軍での再調整となりました。しかし、約2ヶ月後の7月11日のDeNA戦で復帰すると、7回2失点の好投で勝ち投手となり、いい形で前半戦を終えることができました。22日の後半戦初戦のヤクルト戦でも先発起用されるなど、(5回5失点で負け投手となりましたが)岡田監督は先発陣の中心はやはり青柳だと位置づけているのでしょう。

 最後に先発陣全体を振り返ります。伊藤将の開幕時の不在や青柳の不調などはありましたが、村上、大竹、伊藤将、西勇、才木の5投手は基本的には中6日でローテーションを守り、残りを青柳や西純で埋めることができており、先発陣が大崩れしなかったのは首位をキープできている1つの要因でしょう。また、チーム全体のQS率が66.7%と、先発陣の安定感も際立っています。最近のQS率の平均値は50~55%程度なので、これはかなり良い数字と言えるでしょう。

3.湯浅が離脱も岩崎・岩貞らでブルペンをカバー

 次にリリーフ陣を振り返ります(図表3)。守護神として期待された湯浅京己が2度の離脱で調整中など、こちらも青写真通りとはいきませんでしたが、岩崎優加治屋蓮岩貞祐太がそれぞれ30登板以上とほぼフル回転でブルペンを支えています。

図表3:リリーフ投手成績(前半戦)

 特に岩崎は、セットアッパーとしてもストッパーとしても任せられた場面で左腕を振り続け、チームトップの32登板で9ホールド14セーブの好成績。今季は当初、セットアッパーとしての起用が予定されていましたが、湯浅の不調・離脱の影響でストッパーに回る機会が増えています。基本的には勝ちパターンでの登板がメインなので、連勝している時期には起用が増える傾向にありますが、前半戦で既に4連投1回、3連投2回と、ややタフな起用となっています。

 岩貞もチーム3位の30登板で15ホールドと、勝ちパターンの一角を担っています。4月12日に登録されると、13日の巨人戦で今季初登板。一度リフレッシュを兼ねて10日間の登録抹消はありましたが、3連投が3回とこちらもフル回転でブルペンを支えています。ワンポイントでの起用もありますが、基本的には1イニングをしっかり任せるセットアッパー的な存在となっています。

 加治屋や石井大智浜地真澄は途中で短期間の調整期間を挟みながらも、展開を問わずマウンドに上がる機会が多く、加治屋はチーム2位の31登板(7ホールド1セーブ)、石井は同4位の24登板(7ホールド)、浜地は同5位の22登板(3ホールド)とチームを支えています。

 現状で一番の懸念材料は湯浅の長期離脱です。今季は守護神として開幕から7試合で2ホールド5セーブと上々の滑り出しのように見えましたが、WBCでの疲労もあったのか、コンディション不良で4月16日に登録抹消されました。5月26日に昇格も本調子には至らず、6月16日に再度登録抹消され、調整を続けています。後半戦に入り、2軍戦で連投テストなども行い再昇格間近かと思われましたが、7月31日に左脇腹の筋挫傷と報道され、更なる長期離脱が避けられない状況になりました。

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