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大好きだったシャウエッセン

中学生の頃からお弁当にシャウエッセンが入っているだけで幸せでテンションが上がっていた自分。社会人になったら二袋セットのやつをたくさん買ってきて一気にゆでて、それを冷えたビールで頂く幸せを感じていた自分。

そんな自分が20年以上アメリカで暮らしてから最近少しずつ気づいてきたこと、それは「シャウエッセンが美味しくない」ことである。

あの皮をプチッとかみちぎる食感は今でも大好きなのだけど、そこからあふれ出る肉汁もソーセージのお肉自体にも味がしないのだ。いや正確に言うと肉の味のようなものはする、しかも濃厚に。でもそれはお肉の味とは違うと味覚のどこかが感じてしまっている。

ステーキの本場と言えばアメリカだが、そのアメリカ人がステーキの本場と言えばテキサスかネブラスカである。ネブラスカは言ったことがないのでわからないけど、テキサスは田舎の小さな街でも精肉店がちゃんとあってそこで手作りのソーセージを作っている。(日本でいう精肉店のコロッケみたいなものかな)おそらく精肉段階で出てくる端切れ肉を無駄なく利用するという意味でのソーセージだと思うのだけど、これが本当に美味しい。

シャウエッセンみたいに皮はプリッとしてないし、お肉は固い。でもでも噛めば噛むほど出てくる旨みがとてつもなく美味しかったりする。まるで肉のスルメである。

そしてこの味を期待して日本に帰るたびにシャウエッセンをかみしめる僕は、ちょっとだけ悲しいような気分になる。舌が肥えるということは本当に幸せなのかなぁと思いながら、中学時代のお弁当に入ったシャウエッセンを思い出してみる。