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「旬と日本酒・輝きの会」で美酒に酔う
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「旬と日本酒・輝きの会」初鰹と司牡丹を楽しむ会・2023・春
5年ぶりに開催された「旬と日本酒・輝きの会」に初参加。
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「特別個室 丸の間」に30名の参加者が集う。
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「司牡丹の仕込み水」(非売品)
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高知市から西へ約30㎞、山紫水明の佐川町にて慶長8年(1603年)創業された「司牡丹」。
「天下の芳醇なり、今後は酒の王たるべし」~牡丹は百花の王、さらに牡丹の中の司たるべし~という意味を持つ「司牡丹」は、長い歴史の中で幾多の偉人達にも愛飲された酒蔵だ。
仕込水には「日本一水のきれいな川」と言われる清流・仁淀川水系の湧水を使用、その仕込水を飲みながら、これから始まる司牡丹名酒のフルコース(実に9種類!)を想像し、胸躍る。
ウェルカムドリンク:「マキノジン」(クラフトジン 45度)のソーダ割
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牧野富太郎博士に思いを馳せた「マキノジン」は、「マキノ蒸留所」(博士の生家があった司牡丹酒造の西の一角)で製造されているジン。ラベルにまず見入る。
キーボタニカルのスエコザサに草木の息吹を感じるジンは、炭酸水でその香りと柑橘の爽やかさが立ちあがる。
乾杯酒:「司牡丹・宇宙深海酒」(純米吟醸酒)
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コロナ禍での様々な圧力にも耐えられるパワーを与えてくれるであろうという願いの込められた酒が、ワイングラスに注がれる。
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口に含むと、それは清楚な白ワインの如し。
奥ゆかしき純米吟醸酒。
「司牡丹・花と恋して」(純米酒)
牧野博士の詠んだ「草をしとねに 木の根を枕 花と恋して九十年」からの命名の純米酒。
膨らみのある香りと後口爽やか、それに加えて私は力強さを感じた酒。
しかしすべてがほどよくまとまっている。
前菜:酒肴前菜7種
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料理が供される。
どれからいただこうかと迷ってしまう。
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まず目が釘付けになったのが葛切りのような一品。
「のれそれ」と高知でよばれるアナゴの稚魚。 土佐梅酢仕立て。
初「のれそれ」、雅で爽やか、これは美味い、夫の分ももらって食す。なんとも贅沢にアナゴ稚魚、いただきました!
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ホタルイカの沖漬け 空豆豆富 どちらも滋味豊か。
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目で味わい、調味、食感など五感を楽しんだ酒肴前菜7種。
料理を食べてから味わう酒の変化もまた面白い。つかず離れず寄り添う酒。
「司牡丹・槽掛け雫酒」(金賞酒入り純米大吟醸原酒)
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令和4年全国新酒鑑評会において最高位金賞受賞酒を半分使ったという、貴重な酒。
甘く蜜のような吟醸香!酒米のえぐみというか、そういった雑味もほのかにあって、濃厚な辛口食中酒だ。
お椀:しじみ汁
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今回、最も印象に残った料理、酒の肴がこのしじみ汁だ。
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しじみ汁を一口すすり、貴重な雫酒をきゅっと飲む。
ああ、この相性の素敵なことといったら!
いつまでも繰り返していたいしじみ汁と雫酒のペアリング。
しじみのすべてが出ている汁、ごく少しの苦みがまた佳し。
昆布出汁がほんの少し使ってあるのかと思い訊いてみた。
「船中八策・零下生酒」のぬる燗を少し加えてあるそうだ。
納得!
「船中八策・零下生酒」(超辛口・純米原酒)
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ナチュラルな香り、なめらかな旨み、爽やかなキレ、それらのバランスが取れた食中酒。
酵母の香りと個性をも感じた酒。
そしてこのお酒こそ、初鰹のために用意された酒!
鮮魚:土佐の高知直送!ワラ焼き初鰹の塩タタキ
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この日に合わせての初鰹。
会の初めの挨拶で司牡丹社長自ら「土佐沖の獲れたて初鰹を、即ワラ焼きにして冷蔵にて直送する予定でしたが、残念ながら今回は一尾も獲れず、秋に獲れた戻り鰹をワラ焼きにして即冷凍した中から、最高レベルのものを送っていただいた。おそらく高知県民以外は冷凍だとはわからないと思う」とお詫びがあったけれど、とんでもございません。
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塩タタキの下にはやわらかな酸味のポン酢で和えた玉葱スライス、横に極薄切りの大蒜スライスの添え物。
なるほど、この厚さがいいわけだと納得。
塩タタキと玉葱スライス、そして大蒜スライスもいっしょにいただいたときの絶妙の相性、これが高知の鰹料理なのだと感動してしまった。
やはりこの料理にも、酒は寄り添う。
試しに他の酒を合わせてみたら、酒が出しゃばったりして、きちんと選ばれ考えられた料理と酒のペアリングなのだと何度も頷いた。
「司牡丹・生酛純米かまわぬ(R2BY)」(生酛仕込み純米酒):ぬる燗(40℃程度)
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使用原料米全量が高知県産「永田農法」山田錦という「土佐の風土を具現化した風土酒」。
ぬる燗でいただく。次なる料理への期待が高まる。
逸品:国産牛の焼きすき皿
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低温で火を通した国産牛は、やわやわ揺れるぐらいのやわらかさ、口に入れると牛肉の風味が口いっぱいに広がる。
少し甘めの味付けをトマトの酸味が引き締めてくれる。
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牛肉、トマト、白髪葱、粉チーズととろけるチーズが一つの味となる。
ぬる燗の「かまわぬ」が料理の甘さをキリリとしめる。
「司牡丹・二割の麹が八割の味を決める」(純米酒)
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シンプルな味わいの辛口。
一言でいうならまさに「クール」な酒。
揚物:高知県産ヘダイの山菜巻き天ぷら 筍天ぷら
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さっくりとかるく揚がった天ぷら。
筍も若くてやわらかな味。
さて、山菜は何なのだろう?こごみとかか?
匂いで納得、行者にんにくだ。
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ヘダイにちょうど火が通った天ぷらは、行者にんにくがミディアムの火の通り具合となっていて、行者にんにくのサクサク感も新鮮。
天ぷらを食べ始めて酒を飲むと、酒が力強くなるから不思議。
酒も行者にんにくに負けちゃおれぬと力強くなるのか。
そして添えられた塩!これで酒が飲めるという美味しさ。
醤油をスプレーした塩を乾燥させたのだそうだ。
「司牡丹・仁淀ブルー」(純米酒)
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まずラベルに惹かれた。
ひと口飲んでみた。
「水」のイメージが広がった。
これまで飲んだ酒で、初めて「水」を感じた酒。
日本酒の原料の約80%は水であるという。
「上善如水」という言葉が浮かぶ。
酢物:鯖の橙酢味噌〆
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鯖を食べる。仁淀ブルーをきゅっと一口。
ぐっと渋い酒になるから不思議。
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特別出品:「長期貯蔵芋焼酎 吾唯足知(われただたるをしる)」(濱田酒造)
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焼酎までいただいていいのでしょうかと美味しく飲む、ああ、芋焼酎だ、長期貯蔵の深い味わい。
食事:冷やし軍鶏つけうどん
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坂本龍馬にちなんで、冬なら「軍鶏鍋」といったところだが、春の宴には「軍鶏つけうどん」という粋な計らいの〆の食事。
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デザート酒:「司牡丹・山柚子搾り・ゆずの酒」(リキュール)
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デザート酒のグラスを傾け、ちびちびと甘さを楽しみ、予定の二時間をかるくオーバーして宴は終わる。
深く心に残る今宵の名酒と料理。
会を準備、開催してくださり、酒の解説までしてくださった「司牡丹」代表取締役社長 竹村昭彦氏に深々と礼をして、参加者全員が感謝と労いの言葉を述べたのだった。
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これだけの酒と料理のペアリングをどうやって決められたのかと訊ねてみた。
「もうここでも30回以上こういった会を開催しているのです。料理長から送られてきたメニューを見ながら、イメージしながら酒を決めていくんですよ」と仰る。
「進取の気性」で挑戦し続けていらっしゃった方の、深く納得させられた言葉だった。
日本酒の「意味」も時代によって変わってきています。「神事のための魔法の水」の時代から、「人生儀礼における必需品」、「酔うための道具」・・・等々と変遷してきました。そして現在、若者達の間で「日本酒ブーム」と言われていますが、その意味は「飲んでいるとちょっとツウっぽく見える珍しい飲み物」といった程度でしかないようです。今こそ日本酒に“新しい意味”をもたらす、「意味のイノベーション」が求められているのだといえるでしょう。
そして、次の2つの日本酒の「意味のイノベーション」を起こしたいと考えています。まず1つめは、日本酒とは料理の素材そのものの良さを、出汁のように下から支えて押し上げ、美味しさを一層引き立ててくれる「食の最高のパートナー」であるという意味です。そして2つめは、日本酒とは人間関係を良好にする潤滑油であり、ネットに勝る「最強のコミュニケーションツール」であるという意味です。この2つの土壌を創る活動に、今後は全力で取り組んでまいる所存です。
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