気が付いたら幽狐に癒されてます。
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【プロローグ】
学生の俺は早くに両親を死別し、一人暮らしで寂しい生活を送っている。
学費などは祖父母が払ってくれているが助けられっぱだと悪いので俺もバイトをしながら生活をしている。
朝早くに起き学校に行き学校が終わり次第バイトに行き、一時頃に寝て……。
こんな生活を繰り返していた。
でも、とある日を境に俺の生活は一転した。
「……なのじゃが、ぬしはどう考えるのじゃろうか?」
「そうですね……。やっぱ、筑前煮と肉じゃががいいかと」
和食に反応したのか、その子はパアッと顔を明るくした。
「そうじゃよな! やはり和食しか勝たぬよな!」
「そうですね。日本人なので和食が好きでいたいですね」
「うむうむ。それでこそおぬしじゃ! さすがなのじゃ!」
そういって俺のことを全力で褒めてくれる狐娘。
この狐娘(見た目完全にロリ)と一緒に生活をしているというはたから見たら完全に俺が悪い奴になるこの世界で頑張って生きている。
ふと、視線の高さが下がり、右顔に温もりを感じる。
「どうせお主のことじゃ。なんかまた考え事でもしておったのじゃろ?」
「いつも思うんですけど、幽狐さんはエスパーか何かですか?」
「そんなわけなかろう。面白いことをいうのお主は」
ふふ、と優しく笑い、頭に手が置かれ、優しくなでられる。
なぜか幽狐さんは俺にやさしくすることを生きがいとしているらしい。
なぜそうなっちゃったのかは何も教えてくれない。
ただ一言だけ「わらわの要求を呑んでくれたならおしえるのじゃ」とだけ。
謎が深い……。
「ちなみになんですけど、前に言ってた『要求を呑んだら~』とか言ってたやつの要求って何ですか?」
「お、それを聞いちゃうのかの?」
「はい……。少し気になってしまって」
幽狐さんは恥ずかしそうにしながらも、教えてくれた。
「それはずばり、わらわと結婚するのじゃー!」
「????????????????????」
意味が分からなかった。
え? 結婚? 俺と???
なんで!!!???
「なんじゃ、その「こいつは何を言っているんだ」みたいな顔は。わらわだって無造作に誰でもよいわけじゃないのじゃぞ」
「そうなんですか? じゃあなおさらなぜ俺? まだ学生だから結婚もできないし」
幽狐さんは真剣な顔で語り始めた。
「お主、早くして両親を失っておるじゃろ。それでバイト? とやらを精いっぱい頑張るのはいいのじゃが、このままだと倒れそうとわらわは見たのじゃ。それに……」
「そ、それに……?」
真剣さが増してつばを飲み込む。
「わらわの色好みの男だったからじゃ~!」
「そんな理由!?」
「そんな理由!?」は余計だったのか、頬を膨らませた。
「なんじゃ、その態度は。わらわじゃいやなのか?」
「あ、そうじゃなく。神様の恋愛とか想像できなくて」
そう。俺がずっと幽狐さんに敬語を使う理由。
それは、幽狐さんが由緒正しい神社の神様だから。
もう最初に出会ったときはロリで通報されかけるし神と言われるしで脳がパンクしそうになった。
……今もパンクしそうだけど。
あ、そうそう。
俺の名前は宮本 香。
そんな感じで突然現れた幽狐さんと俺の二人のお話しが始まる。
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