油彩画(カナル・グランデの午後)

                       カナル・グランデの午後 F100

 この絵にはちょっとした思い出がある。日展系の洋画家団体「日洋会」の全国公募展が、東京の国立新美術館で開かれ、それを観に行った。この絵は私の日洋展2度目の入選作だ。で、会場を見て回ったが、私の絵が何処にも見当たらない。受付でもらったパンフレットに書いてある展示場所を探し当てて行くと、そこにこの絵が架けてあった。なんと、私は自分の絵の前を通り過ぎていたのだ。

 ショックだった。広い会場には、150号、200号、300号の絵が何枚も並んでいる。100号の何の変哲もない絵などは埋没してしまう。何しろ、描いた本人が気付かずに、自分の絵の前を通り過ぎるのだから(´;ω;`)。
 で、分かった。人目を惹く独創的な絵を描かないと、全国公募展では賞は取れない。趣味で好きな絵を描くのと、公募展に出す絵は違うのだ…。いやぁ、いい勉強になった。

 私の壁画シリーズは、これが切っ掛けで始まった。お陰様で、以前投稿した「聖堂の壁画」が第25回記念日洋展で優秀賞を取った。出品前、岐阜市で開かれた研究会の時、東京から来られた故塗師祥一郎先生(日本芸術院会員、日展顧問、日洋会理事長)が、この絵を見て、しばらくしてから ゛まぁ いいじゃない゛と、ひと言おしゃっただけで、他に何の講評もなかった。日展常連のほかの先生方からも何の発言も無かった。で、あぁ落選したなと思ったが、結果は賞を取っていた。嬉しかった。

                               聖堂の壁画 F100

(参考)
 日洋会
 日展系7団体の一つ 全国規模の洋画家団体 1987年「魅力ある新し  い具象絵画の探求」を掲げ、元日展理事長 井手宣通が主唱し、國領経郎、日野耕之祐、内山 孝、櫻田精一、塗師祥一郎らにより結成 国立新美術館に活動の本拠を置き、毎年、全国公募展「日洋展」を開催 2010年 一般社団法人となる

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