油彩画(妙高山麓の春)

                              妙高山麓の春 F10

 富山に単身赴任していた時、5月の連休を利用して野尻湖に出掛けた。直江津で信越本線(当時)に乗り換え、しばらく行くと、車窓の右側に高い山が見えてきた。5月の明るい空を画して、両肩を張ったようなその端正な姿にたちまち心を奪われた。初めて見る妙高山だ。(その時はそれが妙高山という名前だとは知らなかったが……。) 

 その後、小布施の北斎館、渋温泉、上田市の無言館や小諸城址、信濃追分の堀辰雄文学記念館など、長野県の北信地方、東信地方には度々足を運んだ。で、その行き帰りに、信越本線の車窓から妙高山を眺めたが、特色ある端麗な姿は何度見ても見飽きることは無かった。

(余談)
 先日、ユーチューブを見ていたら、バイオリニストの天満敦子さんが無言館の中で「望郷のバラード」を弾いていた。場所柄のせいか、幾分、テンポもゆっくりで、いつもより繊細な感じを受けた。
 「無言館」は、窪島誠一郎さんが建てた戦没画学生の慰霊美術館で、私は2回ここを訪ねている。2度目の時、無言館へ行く途中の坂道で、偶然にも窪島さんとすれ違った。風貌が御父上に似ているので、直ぐに窪島さんだと分かった。私が、いい仕事をされましたね、と声を掛けると、いやぁ~、と言って照れ笑いをされた。(同氏の著作『父への手紙』(筑摩書房)は心に残る。)

(参考) 

上田市古安曽の丘に立つ無言館


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