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宝石の国 フォスについて

宝石の国が完結してから約2か月経ちました…!
私が宝石の国で一番誰が好きかと聞かれたら間違えなく主人公、フォスフォフィライトです。
今回は彼について考えたことを色々呟きたいと思います。

彼の承認欲求

物語の最初からラストまで彼の行動は、誰かの役に立ちたい という思いからのように見えます。裏を返さば『誰かに認められたい』という承認欲求でもあるんですよね。

『シンシャはたぶん僕だけに秘密を教えてくれたんだ 誰でもよかったとは思いたくないんだ 誰かに頼られたのははじめてなんだ だから次は絶対僕が助けてあげなくちゃ』

2巻7話16ページ


2巻 まだフォスが可愛かった頃

この場面はフォスが「誰からも必要とされていない」という悩み故に、シンシャに救いを求める様子が描写されています。
「誰でもよかったとは思いたくないんだ」という言葉は、自らの存在価値を誰かに認めてもらいたいという人間らしい承認欲求のようにも感じます。
この序盤のシーンだけでも、これからも作中で一貫する「自分を認めてもらいたい だから助ける」という行動原理が見え隠れしています。

彼は救済者なのか

コミックス72話では「救済者」というタイトルがつけられているんですが、これはおそらくフォスのことを指しています。

他者の役に立つことは自分の価値の証明ですから、彼は基本他者のために行動を起こします。表面上だけでみれば良い奴で終わるのですが、フォスの場合はこれを自分のためにやっているので、個人的に救済者とは違うような気がしています。

救済者でググってみると…

悪偶を開放する為に旅をする者

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

だそうです。やはり救済者とは、他者を救うことが目的であり、フォスのように自己利益のために動く者とはイコールでないような気がします。

こうして振り返ってみても、宝石の中で最も人間味を感じるフォスが好きだなと感じます。
しかし物語序盤から一番の魅力と感じていた彼の人間らしさが、終盤であの様に利用されるとは…
私たち読者(人間)がフォスに親近感を感じたところから、彼の運命は決まっていたのかもしれませんね。
本当に素晴らしい作品でした。

『宝石の国』 著・市川春子 出版・講談社

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