シルエット

小学6年生
普通なら沢山の思い出あるんだろな
普通が分からなくなった時期
普通と
シルエットがこびりついている

夕日をバックに、小さな子どもと大人が手を繋ぎ、誰かを待つシルエット
それは電車を乗り継ぎ
およそ半日かけてたどり着く
おばあちゃんの家に行く合図
旅行ではなく。。。
家出親子になる合図
お金もないのにタクシーで駅へ
妹と母はタクシーをおりるが
ぼくはそのまま近くの親戚の店に向かわされる
毎回のパターンだ
親戚の叔父さんに伝える台詞すら同じ
『お母さんが、、、
お金借りてきてって、、、』
叔母さんの怪訝そうな顔も頭の奥にこびりついてる
喜ぶのは母の兄弟だけ
夜な夜な父と父の母親の文句と
家に戻ることを繰り返す会話を
ぼくは襖越しに聞いている
それは変な子守唄となっていった

ぼくの心は不安と父を悪くいう言葉が渦巻き
気づけば父嫌いになっていた

長い時は家出親子の期間はひと月もあった
小学6年生、半分行けなかった6年生

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