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『資本論』第6篇『超過利潤の地代への転化』第38章「差額地代。概説」


この章は、順番立てて述べられているので、比較的理解しやすいと思います。

章の終わりに「差額地代の一般概念を確定した」と述べています。一般概念とは「この超過利潤は、やはり、このめぐまれた(落流を利用する)生産者たちの個別的生産価格と、この全生産部面の(蒸気機関を利用する)一般的社会的な生産価格との差に等しい」と述べ、差額地代が生産価格の価値法則から導かれることを述べている。

また「この地代は、ある生産部面に投下された特定の個別諸資本のより大きな相対的豊度から発生する」も理解するためのポイント。

日本の地代論論争では「落流を利用する少数の工場」の「限界原理」(最劣等地)で決定されるのか「蒸気機関を利用する多数の工場」の「平均原理」が決定するのかの論争があります。少数意見の「平均原理」の場合は「蒸気機関を利用する多数の工場」の生産力がアップすることも想定できるので「土地制限性の意義を過大に評価」すべきでないという。
 ところでマルクスは「自然力」について述べているが、「落流のように、特殊な地片とそれに所属する物とを自由に使用しうる人々によってのみ自由に使用される、独占されうる自然力である」ここがポイントだと思います。

一般概念の規定が終わったので、次章では「本来の農業における差額地代」に移ります。

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