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私が好きな曲を載せるだけ⑤ H.O.T./NCT DREAM -『Candy』

日本のアイドル(特に旧ジャ〇ーズや〇元康系列とかの大手)も同じ事務所のアイドルの有名曲を歌番組なんかで披露することがあると思いますが、YouTubeにある映像を見てると、韓国でも売り出し中の子達に先輩の曲を歌わせるシチュエーションはよくあるみたいです。その中でもカバーした上アルバムまで出しちゃったのがこのNCTDREAMの『Candy』。

この『Candy』という曲は元々1996年にSMエンターテインメントのH.O.T.というグループが出した曲で、事務所内外の色んなアーティストにカバーされている韓国では有名な曲の1つみたいですね。当時私は生まれてもないので直接聴く機会は少なそうですが、聴く前からかなんとなく耳馴染みがあったのはそのせいかもしれません。

その曲を26年の時を経て同じSMエンターテインメントのNCTDREAMが2022年にリメイク、再リリースした訳ですが、衣装も本家の雰囲気をそのまま現代に落とし込んだイメージで、歌詞もイントロの「Ah Candy!」という掛け声とマークのラップパート以外ほとんど変わっていません。

明るい曲調と冬らしくてもこもこしたポップな服装でかわいらしい印象を受けますが、その歌詞はハッピーエンドではあるものの、抽象的で分かりにくい部分が多いです。NCTDREAMver.の公式和訳だと彼女に振り回されて悲しくなるから別れたいのに会う度に好きになって結局何も変わってない男の子の歌のように聴こえますけど、どうなんでしょうか。
私が日本語話者だからっていうのもあるかもしれないけど、韓国語で調べても全然出てこなかったので韓国人もよく分かってないんだって勝手に安心しました。

色々調べていくうちに分かった事なのですが、この曲は日本の漫画「キャンディ♡キャンディ」がモデルにされているのではないか、という説がありました。

「キャンディ♡キャンディ」は1975年になかよしから連載、翌年にアニメ化までされた少女漫画です。「愛し合っていたのに引き離され、大人になって再開したもののお互いの為に最後には自分から別れを告げる。」そんなドラマチックで悲しい物語です。日本だけでなくこの作品が韓国で爆発的人気を誇っていたようで、韓国の放送局MBCでアニメ放映もされていたそうなのでかなりの人気ですね。

私がMVを見た限りH.O.T.の「Candy」が「キャンディ♡キャンディ」のオマージュである事はほぼ間違いないと思うのですが、MVに出てくる女優さんは少女漫画の登場人物「キャンディ」とは少し違った雰囲気の人物で、尚且つ歌詞には1回も「キャンディ」という単語が登場しないまま終わっていきます。なんかオマージュにしてはなかなかクオリティが低い仕上がりじゃない?って感じ。

何故こんな事になってしまったのか。それは韓国における当時の日本の大衆文化がどのような立ち位置にあったのかによって納得する事ができます。

「Candy」がリリースされた1996年、朝鮮の日本統治時代を受けて韓国では日本の大衆文化は法律によって(一応)規制をされていました。

そんな中、当時の人々は海賊版で日本の漫画やアニメを楽しんでいた訳ですが、その日本の漫画が正式に韓国に入ってきたのは1998年。

まだ規制の緩和されていないこの頃、若者の間で爆発的な人気を誇り、ブームとなっていたとはいえ自分の事務所のアーティストが歌う曲を大々的に「これは日本の少女漫画のオマージュですよ!」とは言えなかった訳ですね。

作曲家とプロデューサーがギリギリのラインを攻めた結果、匂わせみたいになってるのかもって考えたらちょっとおもしろいかもしれないね。

アイドルの楽曲やバンド音楽はほかのジャンルよりも若者の文化や風潮にとても敏感なのではないかと感じる事があります。そこから当時の歴史を直に触れる事が出来るのも海外の音楽シーンに触れる楽しさの1つかもしれませんね。

 

現代版にオマージュされたNCTDREAMの「Candy」もかわいくて楽しいステージなので良ければ是非見てね。

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