子どもの定型発達/発達障がいについて〈続き4〉

ベビーシッター歴10年以上の経験から見て


乳幼児を中心に小学校低学年までの子どもたちをベビーシッターとして見てきて感じる事は、「困った子ども/扱いにくい子ども」というレッテルを大人が貼ることで余計に大人にとって困った行動が加速されるという事です。


《大きく分けてこうした大人の対応には2パターンあります。》


2【厳しく躾しようとしすぎる】

「大人が甘やかすからこの子は調子に乗って我儘な振る舞いをするんだ」と思い込んで、必要以上に子どもの自由を奪って厳しく制約してしてしまうパターン。

前回は「甘やかす」についてのお話でした。
今回はその続きです。


子どもはまだ語彙力や表現力が乏しいため、自分が思っていること、感じていることを自分以外の人に上手く伝えられません(大人にもいますよね?)。

なので、答えを決めつけたり、急かしたり、責めたりせず、子どもが答えやすいように「何が嫌なの?」と質問してコミュニケーションをたくさんとってあげて下さい。


そうすることで定型発達でも発達障がいでも子どもは「この大人は私/僕のことをしっかりみてくれているから信用できる」と感じてくれます。


ちなみに、定型発達の子ども相手に発達障がい向けの対応をすることは何ら問題ありません。

なぜなら子どもはどちらにしろ大人より脳がまだ未熟だからです。


発達障がい向けの対応は言わば「暗黙の了解」を噛み砕いて教えているに過ぎないので、定型発達の子どもでも発達障がいの子どもみたいに大人が詳しく丁寧に教えてくれたら今までよりももっと早く理解してくれます。


我が子をスムーズに育てたい!と考えている保護者さんは多いと思います。

それなら尚の事「もしかしたらこの子には発達障がいがあるかもしれない」という〈かもしれない運転〉で丁寧に接してあげることをオススメ致します。

面倒だからやりたくないと思われるかもしれませんが、最初のうちに面倒なことをやらずにいると必ず後悔します。


1つ例を上げるなら以下の家庭です。

以前伺っていたご家庭で診断はされていないけどちょっと怪しいなと思うお子さんを定期でお預かりしていた事があります。

その子は離乳食期から好き嫌いが激しく食べムラがすごかったため、栄養失調を心配した保護者さんがご飯を食べない時はその子の好きなお菓子を好きなだけ食べさせていました。

なのでますますご飯は食べません。

4歳になってもその生活を改善しないため、通っていた園からはハッキリとは言われないのですが「もう預かれません」と取れるような発言を何度かされていたそうです。

また癇癪も酷く、思い通りにならないと破壊行動、30分以上泣き叫ぶということが常にありました。


この時の保護者さんは「もう私の手に負えないんです。。。」と凄く疲れた表情をされていました。


「小さいうちは何も分からないから可愛がるだけ可愛がろう」と猫可愛がりするのではなく、「小さいうちはお話が出来ないだけで色々と分かっているから今のうちから色々と教え込んでおこう」と考えて下さい。


無責任に「甘やかす」事が子どもが大きくなった時に「大人の手に負えない」状況になります。

そうなってからでは矯正するのは凄く大変です。

子どもは自我がしっかりしてきていて、更に言い返す事が出来るようになっていますので、大人はひたすら忍耐力を試されるような感情コントロールもしなければなりませんし、体力も必要です。


でも、1歳前後からしっかりと取り組んでいれば防げる確率が高くなります。


ただ、今回の保護者さんのお話で付け加えておきたいお話があります。

それは、この保護者さんはそのお子さんに対して「公共の場での振る舞い方」などは1歳になるかならないかくらいの頃からしっかり教えていたため、公共の場ではついうっかり(遊びに夢中になって)お漏らしをしてしまうことはあっても、大きな声で騒ぐなどは一切しないのです。


食事面ではかなり困った対応をみせるお子さんでしたが、躾を始めるタイミングである1歳前後の時から叩き(教え)込まれたことはしっかり守れるお子さんでした。

また、そのお子さんが信用する大人に対しては概ねお話もキチンと聞いてくれるのでこちらは振り回される事も少なかったです。


この子のケースでは、筆者から見て発達障がいがありそうなお子さんで、食事面は保護者さんの「甘やかし」からくる間違った対応のせいで困った行動が目立ちますが、1歳前後からの躾についてはしっかり守れていました。


次はまた別の2歳の頃から小学校に上がってからも継続的にみているお子さんのケースです。

このお子さんは3歳の途中までは大変大人しく、砂や粘土、スライムなどを触るのが苦手で、塗り絵やパズル、お製作(工作)も全く集中することが出来ず、直ぐに飽きてしまう性格でした。

ただ、大人しいため大好きなトーマスの絵本やおもちゃではこちらが他の遊びもしたいなぁ、と思うほどひたすら一緒に遊び続けてくれました。
そのせいか保護者さんは特に育て難さも感じていなかったため、家族の中心は子どもであり、全て子どもの意思のままに物事を進めていました。

私はこのままではいずれ親子関係がうまくいかなくなると考えたので、タイミングを見計らって何度か「保護者さんたちは子どもに甘すぎるから、お子さんが王様のようになっている。これでは今後子育てがうまくいかなくなります」と伝えましたが、その時点ではまだ困っていなかった保護者さんたちはほとんど取り合ってくれませんでした。

そんなある日とある理由から3歳の途中から転園しました。
環境が変わり、人間関係が変わったからなのかそのお子さんの中の「王様」の血が騒いだのか転園して半年後位から急に活発になり、暴言を吐くようになりました。
また、大変賢いお子さんで3歳の時点で2カ国を話せていて、4歳になる頃にはトリリンガルになっていました。
話せる言語それぞれで、大抵の相手を言い負かせるほど弁も立ちます。

この時既に保護者さんたちは自分のお子さんに言い返す事もままならなくなっており、代わりに私が嗜める日々が続きました。
私の事は簡単に言い負かせないので唯一私の言うことは概ね聞いてくれていました。
転園先の園でも先生と言い合いになると先生を言い負かしてしまうため、先生の手に負えず保護者さんたちはかなり肩身の狭い思いをされていました。
ご家庭で保護者さんたちがお子さんを嗜めても、諭しても説明してもお子さん独自の理論が炸裂し論破されてしまっていました。
なんとか卒園し、小学校に上がりましたがここでも同じことが繰り返されます。

続きはまた後日載せます。





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