子どもの定型発達/発達障がいについて〈続き〉

ベビーシッター歴10年以上の経験から見て

乳幼児を中心に小学校低学年までの子どもたちをベビーシッターとして見てきて感じる事は、「困った子ども/扱いにくい子ども」というレッテルを大人が貼ることで余計に大人にとって困った行動が加速されるという事です。

《大きく分けてこうした大人の対応には2パターンあります。》

1【触らぬ神に祟りなし】

「この困った行動は本人の幼さ故でいずれおさまるだろう」と見て見ぬふりをし、子どもがゴネた時などに放っておいてしまうパターン。


前回は3歳のお子さんと小学校低学年のお子さんの話を書きました。
小学校低学年のお子さんのお話が途中でしたので続きから書きます。

保護者さんには注意をするときやお話を聞かせたいときは「必ずお子さんの目を見て落ち着いた声色で淡々と説明して下さい」とお話をして、そのお子さんには「何故自分の保護者をバカにするのか理由を教えて欲しい」と伝えました。
すると保護者さんは「やってみます」と答えてくれ、そのお子さんは「自分(そのお子さん)が何かをやらかしたときにキーキー言ってくるけど、結局保護者が尻拭いをしてるから」(その子は尻拭いという文言は使用していませんが、便宜上こちらの文言を使用致します)と少しずつ話してくれました。

これはよくあることなのですが、子どもはまだ未熟で考えが浅く、大人ほど効率よく物事を考えたり処理したりすることが出来ません。
なので、基本的に何でも大人がやってしまった方が早いわけです。
ただ、それでは子どもは「学習する機会/経験値を上げる機会」を奪われてしまいます。
その〈機会〉を奪われた子どもはどう考えると思いますか?
答えはいくつかありますがまず一つ目は
〈自分が出来ないことは大人がやってくれるから自分は何もしなくて良い〉と考えて次回から自分で「挑戦する」ということをしなくなります。

二つ目は〈保護者は怒る割に自分にやり直しをさせないから、自分には期待していないんだな〉と思わせてしまうパターンです。
このとき、子どもは「保護者から自分は必要とされていない/期待されていない」と考えてしまい、大人が想像する以上に傷ついています。

三つ目は〈保護者は何か言ってるけど、保護者がやってるから自分には関係ないな〉と気にも留めないパターンです。

これ以外にもいくつもあると思いますが、ここではこの三パターンについて書いていきます。


どのパターンのお子さんでも、前述したような保護者さんの対応では子どもの脳が成長する機会を大人が奪っているので、一から三のように子どもが考えてしまうのは当たり前の事です。
なのに保護者さんは「年齢が上がったのにうちの子はまだ出来ない」と不安になります。
でも保護者さんは自らが子どもの成長の妨げになっていることを理解していません。
これらのパターンの保護者さんは、子どもが未就学児のうちは靴下や靴が自分で履けるようになるのを辛抱強く待てていても、お子さんが小学生になると「待つ」ことをしなくなり、「大人がやってるのを見たら覚えるはず」と考えてしまう事が多いようです。
子どもはとにかく全てにおいて経験が少ないので、大人の動向を見て空気を読む事は基本的に出来ません。

そのことを保護者さんたちが理解できなければ定型発達のお子さんでも保護者さんが何をしたいのか理解するのは難しいですよね。

たまに「子どもなんて勝手に育つ」とおっしゃる保護者さんがいますが、それば衣食住がそれなりに与えられていれば身体は大きくなります。
でも内面の成長は人と人とのコミュニケーションを通してしか成長出来ません。

時間の都合で子どもにやり直しをさせるのが難しく、大人がやる場合は必ず子どもと目線を合わせて「今日はこういう理由があって時間がないから、私(大人)がやるけど、次からあなたにちゃんとやってもらうから今から私がやるやり方を見て覚えておいてね」と伝え、やり方を伝授してあげて下さい。
時間があればやり方を口頭で説明しながらお子さんにやってもらって下さい。
難しいときは多少大人が手を出しても大丈夫です。

大事なのは「私(大人)はあなたが一人で出来るようになるのを応援しているよ」という気持ちを大人が持ち、その気持ちがお子さんに伝わるように表現してあげることです。

特にパターン三のケースはお子さんの「無関心」が強調されているので、発達障がいの可能性が濃いと私は考えます。

発達障がいのお子さんは元々定型発達のお子さんよりも日常生活で何かを学ぶ事が難しい傾向にあるため、より多くの〈機会〉を与えてあげる必要があります。
大人にとっては辛抱強く「待つ」という忍耐力が必要だったり、「待ってあげる」ために時間を調整するという作業が増えます。
また、大人が先に気付いて先回りしてやってあげるのではなく、先ず子どもにやらせてみて、その子どもにとって「何が難しくて何が苦手なのか」を観察して欲しいです。
そして課題が見えたら、ただ口頭で説明するだけではなく、一つひとつの作業をやって見せながら説明してあげて欲しいのです。

例えば着替えは一人で出来るのだけど、どうしても下着がズボンやスカートからだらしなく出てしまう。というお子さんの場合は

服を着る順番から見直してみて欲しいのです。
最初にTシャツなどを着るのではなく、先に下着をボトムにしまうためにボトムから履くように説明して行動を促してみて欲しいです。
ボトムが履けたらトップスを着る。
これで通常は下着が出ることはありません。

お子さんに順番へのこだわりが強く、着る順番を変えられない場合は鏡の前で着替えてもらうか、着替えたら鏡でお子さん自身の姿を確認してもらうようにしてその都度「下着をしまうと完璧だよ」などそのお子さんの心に響く言葉がけをしてあげて下さい。
できるだけ「ほらまた出てる!格好悪い!」などとマイナスに注意するのではなく、「こちらのほうが格好良いよ」とか「素敵だよ」とプラスの言葉がけを心がけてください。
それだけでお子さんの「やろう/気をつけよう」という気持ちが強くなることが多いです。

続きはまた後日載せます。


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