子どもの定型発達/発達障がいについて〈続き5〉

ベビーシッター歴10年以上の経験から見て


乳幼児を中心に小学校低学年までの子どもたちをベビーシッターとして見てきて感じる事は、「困った子ども/扱いにくい子ども」というレッテルを大人が貼ることで余計に大人にとって困った行動が加速されるという事です。


《大きく分けてこうした大人の対応には2パターンあります。》


2【厳しく躾しようとしすぎる】

「大人が甘やかすからこの子は調子に乗って我儘な振る舞いをするんだ」と思い込んで、必要以上に子どもの自由を奪って厳しく制約してしてしまうパターン。


前回は「甘やかす」ことの危険性についてのお話第2弾でした。

今回は更にその続きです。


未就学児時代に猫可愛がりをしていた事が原因で「自分が1番!」という価値観/概念がその子の中に深く根付いてしまい、ご両親と私で根本から叩き直す苦行が始まりました。

先ずはお母様とお父様に「『とにかく子どもが1番!』という状況を全て無くして下さい。」とお願いしました。
(有事の際に子どもを優先して守るとか"親として"当たり前の事はこの限りではありません)

この子のお宅では食事の内容を決めるのはお母様ではなく、お子さんでした。

ご両親は常にお子さんの機嫌/気持ちを第一に考え「何食べたい?」、「何したい?」、「どこ行きたい?」と全ての選択権をお子さんに与えていました。
(お子さんの"気持ち"を第一に考える事は悪くないのですが、今回のケースの場合は慮りすぎることが弊害になるためです)

なので、とにかくそれを全てやめて頂き、食事作りはお母様の分担でしたので「食事はお母様の都合で作ること」を徹底して貰いました。

(もちろん栄養価などはお母様がキチンと考えてらっしゃいます)

そして週末のお出かけももちろんお子さんが興味ある事をしたり、興味のある場所に行くのですが、その時も「大人の都合」も加えて貰うようにしました。

また、普段の関わりでは「世の中の決まり」は「個人の自由意志は無関係」という事を徹底して教えて頂きました。

以前書いたものと重複する例えもありますが、

「赤信号の時は自分が『今』渡りたくても待つ」とか、「登校時間は◯時と決まっているのだから、自分が『今行きたくない』と思っても◯時までに行くこと」など


【個人の自由意志では覆せないものがこの世にはあり、それを守る必要がある】ことを理由も含めて毎日言い聞かせて貰いました。


お子さんの1日のタイムスケジュールのボード等をうまく使ってやる気のムラの解消にも取り組みました。


グレーゾーンや発達障がいがあるお子さんの中で、「自分」というものがカーストの一番上に来ているタイプの子は、「ナゼ自分が【他】に合わせる必要があるのか」、「ナゼ自分が【他人】のことを考えなければならないのか」が中々理解できない事があります。


こういったタイプのお子さんには「自分が同じことをされたらどう思うか」を中心に話したり、和を乱す事が全体的にどういうリスクがあり、自分にとってもどんなリスクがあるのかという事を繰り返し何度も何度も根気強く諭して行きました。

特に頭の回転が早く物事の概要だけサラッと理解した気になって大人に持論をぶつけて来ることが多いため、「今あなたが話してる◯◯について本当にキチンと理解した上で私(大人)に言ってるの?」と質問して先ずはその子の頭の中にある情報を全て聞き取ります。
そしてその答え合わせを大人がします。
本当の意味を理解できていなければ「本当の意味は△△ってことなんだよ」と教えて、合っているならばその言葉の使い方や正しく使う場面等を教えてあげます。
この時、茶化したり貶したりは決してしないで下さい。
大人の感情は入れずに、淡々と話すことが大切です。
大人の「やれやれ。。。」というような感情が声色に乗せられてしまうと、子どもが「なんか嫌だな」という感情を抱き、話を聞いてくれなくなります。

そうやって毎日毎日コツコツと子どもの頭の中にある偏った情報を1つずつ1つずつ軌道修正していき、正しい情報だけを覚えてもらうようにしていきます。

そのお子さんは小学校に上がったので未就学児とは違い、なるべく甘い顔はせず、あくまでも「対 人(たい ひと、と読んで下さい)」として接します。
すると「一人前として扱われている」という事が嬉しいと感じるお子さんはどんどん吸収し、大人と話しているのと変わらないような内容の会話が出来るようになります。

自尊心が高いお子さんには特に「子どもとしての特別扱い」ではなく、「一人の人間として特別扱い」する方がどんどん成長してくれます。

今回のケースのお子さんはかなり手強いですが、少しずつ少しずつ「時間を守れるよう」になったり、「宿題をする」ようになったり、お母様の話を今までよりもキチンと聞くようになってくれました。

お母様が今までなら子どもに負けて「もういいわ」と諦めていた事も、今は「ダメなものはダメ」と徹底してくれているおかげで自宅での振る舞いは相変わらず王様感はありますが、以前ほど横柄では無くなりました。
これからの成長ぶりはまた別の機会にお話ができればと思います。


次回は「甘えさせる」についてのお話を書きたいと思います。





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