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ケアササイズ式スウェディッシュマッサージ開発秘話

私が最初にスウェディッシュマッサージを学んだのはアクセルソンというスウェーデンでは歴史あるマッサージスクールです。
卒業後は、自らホームページを作成し、出張とレンタルサロンでのサービスを中心に営業しておりました。
しかし、デビューして数か月で腰と肘を痛めてしまいました。
体を痛めないはずのスウェディッシュマッサージでなぜ?
そこで、アクセルソンで学んだ技術が本当に正しい技術だったのか検証することにしました。
習った技術に疑いを持つということはなかなか難しいことですが、体を痛めてしまってはセラピスト人生は辛いものになってしまいますからね。

クラシックスタイルのスウェディッシュマッサージでは、セラピストの体を守るために基本姿勢というものがあります。
どのようなスポーツも基本姿勢だけでプレイすることはできませんよね。
そう、基本姿勢からどう体を使って動かすか?それが大事です。
同じ基本姿勢であっても、その動かし方で技術レベルに大きな差が生じます。
例えば野球のバッティングにおける基本姿勢は、見た目そんなに大きな違いはありませんよね。
しかし同じ基本姿勢であってもイチロー選手や大谷選手のように世界レベルで活躍される方もいれば、学生時代にレギュラーにすらなれない人もいます。
中には私のように故障をして引退してしまう方も数多くおられることでしょう。
それは基本姿勢から先、どう体を動かすか、その違いによるものと言えるでしょう。

バッターは、投手が投球姿勢に入ると同時に後ろ脚に重心を移動します。
膝を少し曲げて脇を締めて腰と肩を後ろに引き、ボールが来るのを待ちます。
そして腰の回転と共に体の軸を回転させ、バットに大きな遠心力を伝えることでボールを強く叩くことが可能になります。
初心者や子供にバットを振らせると腰を回転させずに腕の力だけで打とうとします。
それではホームランを打つことは難しいのです。

水泳選手の基本姿勢は蹴伸びですよね。
しかしずっと泳ぎ続けるためには基本姿勢を保ちつつ腕(肩甲骨)と脚(股関節)を駆使して永続的な推進力を生まなければなりません。
基本姿勢を生かすも殺すも、その先どのように体を動かすかが重要になってきます。

私は愕然としました・・・。
高い受講料を払って教わったのは基本姿勢だけであったということ。
基本姿勢の動かし方を習っていないままに仕事にしていたのだということ。

故障前の私は、肘関節を使い腕の力で施術を行なっていました。
肘関節は蝶番関節といって複雑な動きには向いていない一方向にしか曲がらない関節で、伸びきる瞬間には大きな振動と共に負担が掛かります。とても痛めやすい関節なのです。

野球のバッティングにおいて肘と腕の力だけでボールを遠くに飛ばすことは難しいと述べましたが、投手においても同じですよね。
私はこのスポーツ選手達が体をどう使って動かしているかという点に注目し始めたのです。
そしてある日、水泳競技をテレビで観ている時、脳に電流が走りました!
そうだ!クロールや背泳ぎは肘を使って腕の力で泳いでいないじゃないか!
肩関節(肩甲上腕関節)を回して泳いでいる。
バタ足は股関節を動かすことで脚部全体で大きな力を生んでいる。
だから遠泳のように長距離泳ぐことが可能になるのだ。
マラソンも同じ原理ですよね。
これだ!これに違いない。
その日から今までやってきた施術法をすべて見直し、肘を使わない技法への修正開発作業を始めました。
これは大変難しい作業でした。

まずは、股関節を使って腰を回転させることで手を動かすやり方を完成させました。
更に腰の回転と連動させて肩関節を回すことでより手の可動域を大きくすることに成功しました。
この技法は、肘関節を一切使わずに手を動かすという常識では考えられないものでした。
これは水泳では当たり前のことですが、セラピストの動きとしては見たことのないものとなりました。
人は普段、肘を使って手を動かすという生活を送っています。
故障前の私は、肘関節を使い腕の力で施術を行なっていました。
肘関節は蝶番関節といって複雑な動きには向いていない一方向にしか曲がらない関節で、伸びきる瞬間には大きな振動と共に負担が掛かります。とても痛めやすい関節なのです。

肘を使わず肩関節で手を動かすことに慣れるにはとても時間が掛かりました。
その後試行錯誤の末、肩関節のローリング法を完成させてから私の施術は生まれ変わりました。
・肘や手首や指などの小さい関節が全く痛くない。
・腕が疲れない。
・肩が凝らない
・背中や首にも負担が掛からない。

この手法は体で最も大きな関節である股関節と肩関節を連動させる施術法なので、非常にダイナミックでパワフルな施術が可能になります。
更に肘関節のように伸びきった時に一度止まることで振動が生まれませんから施術を受けるお客様にとっても負担が少なく、揉み返しなどになりにくいという利点があることが分かってきました。
そして股関節と肩関節は球関節ですから、肘関節のように止まることなく流れるような施術が可能になります。
それは深いリラクゼーション効果に繋がるというわけです。
音楽に例えれば、肘関節の施術は現代音楽のビートで、肩関節の施術はクラシック音楽の指揮者が振るタクトのようなものと言えます。

この施術法に変えてからはお客様の反応も格段に良くなり、リピート率も倍以上になりました。
人をケアしながらセラピストもエクササイズ効果により健康になれるということで、「ケアササイズ」と命名、2018年に遂に商標登録されました。

伝統技術というものは、伝統に胡坐をかくのではなく、更に良いものに進化させる思いがあってこそ残っていくものだと思います。
モーツァルトやベートーヴェンがいたからビートルズやクイーンが生まれたように、クラシックマッサージがあったからケアササイズという新しいボディケア技術が生まれたことは間違いありません。
先人の知恵にリスペクトしつつ更なる進化を求めて日々精進していきたいものです。

当初は「ケアササイズ?ダンスするみたいな施術法?」と鼻で笑われることも多々ありました。
何事もパイオニアが認められるには少々時間が掛かるのかな?なんて前向きに考えつつ、でも当スクールの受講生達(ファーストペンギン)には多大な敬意と感謝、そして期待を持って私の思いと技術を愚直に伝えていきたいと思っています。
このケアササイズという技術が広まっていくことで、20年後にはセラピスト業は健康になれるアスリートのような仕事だという認識が当たり前になっていればいいなという思いがあります。
日本発の「世界初セラピストも健康になれるケアササイズトリートメント」のリラク革命はまだまだ始まったばかりです。

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