貴女の「好き」の色彩を
「なんで!?5日前は好きって言ってくれたのに、なんで突然連絡がこなくなるの!?これじゃ私セフレじゃん!」
居酒屋で声を荒げる女の子の目の前で、僕は枝豆に夢中だった。
少なくとも、目の前で発狂する不幸な女子の話よりは、名実ともに実があるし、パンチの利いた話よりも塩味が利いている枝豆に走りたい。
「ねえ聞いてる!?なんで!?男の好きってそんな早く心変わりするの!?」
豪雨のような怒号。しかし、怒っているのか泣いているのかわからない表情。勇猛なボディアクションとは裏腹に、状況が自分に伝える動かしようのない事実の存在を認めず、その事実に怯えてさえいるその目。
僕は介錯をするような気分に苛まれながらやっと彼女に正面から向き直った。
聞けばその女の子は、先日マッチングアプリで知り合った30代前半の銀行員と懇意になり、2回目の居酒屋で「好き」を連呼する男に誘導されるがまま肉体関係を持ったという。
終始居酒屋で女の子は、普段周囲に言えない自分の仕事への頑張りや、学生時代から続ける習い事に全力で取り組む自身のプライド、その他自分のこだわりを自己PR兼自己紹介として語ったと証言し、その自分に一晩で惚れた相手と夜を共にし、結果その晩以降彼からは連絡がない。
ざっくりそこまで聞いた僕は、おおよその確信を抱き始める。
そしてその蛇足の詳細を聞き終わるや否や、介錯の刀を振り下ろした。
「男の好きはいくつか種類があるから、相手の『好き』を読み違えたんだね」
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twitter上で、いつだか秀逸な画像を見たことがある。
男女の色に対する認識の違いだ。
男性はせいぜい子供が使うクレヨン程度の色の幅でしか色彩認識を持たないが、女性は細かく色味に対する認識が差別化ができている。
丁度、この画像のように。
これが今回の『好きって何だったの問題』の答えをほぼ表現している。
恐らく男は、女の仕事への頑張りや趣味へのプライドに対し、尊敬の意味で「好き」と言ったのだろう。
察するにそれは多分、「そんな君も、いいと思うよ」程度の意味だったはずだ。
それを女の子は、普段周囲に言えない自分の仕事への頑張りや趣味に全力で取り組む自身に対する理解を示してくれたと勘違いし、さらにその理解ある男性が自分を好いている、、と解釈した。
つまり、男性の『敬意』を『愛情』と読み間違えたのだ。
結果、男性は敬意を連呼したのにも関わらずコトが男性的に都合のいい方向に転がり、まんまと肉体関係にたどり着けた。
※恐らく男性側は確信犯であり女性を連れ込む際の常習手口だったと思う。
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このように、男女の認識の違いが生むすれ違いは非常に多い。
特に、言葉という世界一色彩豊かなカテゴリであれば、齟齬が発生して当然。
貴女に見えている『青色』は、相手から見ても『青色』だろうか?
貴女が発している『好き』は、相手と同じ性質の『好き』だろうか?
人間関係において、言葉を支配することは、関係を支配する。
参考にしてみてね。
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