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第二弾投稿作品 Instagram#ゲストハウスを応援しよう!

@guesthouse_pise_naganoさんからの投稿

旅は自由だ。ゲストハウス泊はなおさら。いろんな人が来る。

傷心旅行で来たという方が、日中はテラスに座ってぼーっとし、毎晩バーで何度もピザをお代わりし、時たま他のゲストさんと喋っては、一泊、もう一泊と何日も延泊していった。観光のおすすめを聞かれ、野尻湖を勧めたら、「いま湖なんか見たら泣いてしまいますね...。」と力なく微笑まれ、しまった、と思った。せめて温泉に入って体を休めてください、といくつか候補をあげた。チェックアウト時に、湯っ蔵んどに行ってみた、と教えてくれた。
チェックアウト時刻を大幅に過ぎても出てこず、まさか倒れているのでは、と恐る恐る部屋に行ったら爆睡していた人もいる。このままもう少し寝たいから、と結局延泊し、ひとときもお部屋から出ないまま眠り続けて、翌日帰っていった。よっぽど疲れていたんだろうか。
新幹線の時間ぎりぎりまでカウンター席で本を読んでいったゲストの方が、「いつも週末のたびに仕事に行きたくないな、って思うんですよ。でもなんとか月曜日の朝起きて出社するでしょ、そしたらまた次の日、また次の日。あれだけいやだって思っていても、なんだかんだ1週間を乗り切ってしまう。怖くないですか?」と言葉をつむいでいたのが印象に残っている。

旅程をつめて、観光名所を周り、名物を食べ尽くす。それも旅だ。旅に正解なんてない。

好きな時間に起きて、気ままに散歩をする。ふらっと入った喫茶店でコーヒーを飲んで、宿に籠って本を読んでだらだらする。
滞在中、気に入ったお店に何度も通う。古着屋で服を買ってみて、そのままその服に着替えて歩く。トーストをお昼過ぎに食べる。それも旅。「いつもの場所」じゃないところに自分を置いてやることで、日々に忙殺された心の声が聞こえてくることがあると思う。

人生は映画ではないから、旅先での出会いに感動して、明日が輝いて見えて、エンドロール、とはならない。旅に出て、帰ってきて、生活は続いていく。

「帰りたくない」と言いながら帰っていくゲストさんを見送るたびに、長野で過ごしたあたたかい時間の記憶が、ふとしたときにあなたを救ってくれますように、と思いながら「いつでも帰ってきてくださいね」とお見送りする。

by @fune_m

場所:WORLDTRECK DINER & GUESTHOUSE - Pise


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たくさんのご応募ありがとうございました!
思い出ノートの募集は10月31日をもって締め切りました。
11月15日の結果発表を楽しみにお待ちください!
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