185.「明けの明星」とは?

 『ウルトラセブン』最終回(第49話「史上最大の侵略 後編」)において、モロボシ・ダンは

「西の空に

 明けの明星が昇る頃

 ひとつの光が飛んでいく…それが私だ」

とアンヌ隊員に告げます。古来()から、これは誤りであり、正解は

「明けの明星が昇る頃

 西の空に

 ひとつの光が飛んでいく…それが私だ」

が正解とされています。おそらく準備稿から決定稿に移る際に加筆されたか、あるいは決定稿に手書きで書きこんだか、の際に位置が おかしかったのでしょう。

 ここでは あえて異を唱え、ダンのセリフが正解だったとします。可能性は…

1) ダンが朦朧としている、と言う演出

 ダンが衰弱しているのは前編の最初から明白でした。ここではそれを強化する為に「文章を組み立てられない」ほど耄碌()している、と言う見解です(パンチドランカー…)。夢も希望も無いですね。

2) 「金星では無い」説

 明けの明星=金星ですが、『ウルトラセブン』は20年後(1987年)に設定されており、「西の空に明けの明星」が見えるのかもしれません。例えば、人工衛星「スプートニク」が肉眼で見えた、と言う話を聞きますが、同様に宇宙ステーションV3あたりが「明けの明星」として西の空に見えるのかもしれません。

3) 不可能説

 「西の空に明けの明星」が見える訳は無く、宇宙をも網羅するウルトラ警備隊のダン、アンヌ隊員がそれを知らぬ訳も無く、つまり「有り得ない事」を述べている訳で、それはつまり暗に「もうこの戦いで死ぬ」と意思表示している訳です(「僕はもう死ぬ!」とは、さすがにヒーローは言えない訳です)。

4) セブン上司説

 ゾフィーはウルトラマンを助ける為に地上スレスレ(と言って良いでしょう)まで降下してきました。彼らは宇宙の警察官のような立場です(実はベムラーの方がそうなのかもしれない)。一方、ウルトラセブンは恒点観測員340号で有り、セブン上司も同じ組織に所属しているはずです。宇宙警備隊とは規則が違うので、大気圏内(引力圏内)には一度に一人しか降りられない規則が有るのかもしれません。あるいは、恒点観測員は宇宙警備隊員と違い、星を汚染する作用が有り、その為に複数名は降り立てないのかも(セブンは、帰マン以後何度も再登場しますが、帰マン時は太陽近辺とナックル星のみ。A時も最初はイメージ(だったと思う)、次はゴルゴダ星、と、地球再訪は第2クール終了頃で、おそらく それまでに体質が改善されたのでは? …って、観測員はセブンだけなので、それは無いか)。故に、大気圏ギリギリの所までしかセブン上司は迎えに来れず、そこで待機していたのでは?(余談ながら、桑田先生か一峰先生か忘れましたが、漫画版でウルトラマンがセブンを先導して地球の付近まで訪れ、「これが今まで私が守っていた地球だ」、「これからは君が守ってくれ」と言う主旨の発言をするシーンが冒頭に有りました。夢の共演です)。

 と言う事で、あのセリフは それなりに正しいのだろうな、と。

 さて、次は「ガラガラ伝書鳩」か…(やる気ないけど)。

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