184.宗教戦争(前編)・「白を赤と言いくるめる」

 この記事は2か月半(以上)ぶりなので、まず近況を。7月初めに再(々…)就職し、コロナのワクチン接種も2回終えました。そして繁忙期なので日々残業が2時間、先々週は週6勤でした(実は来週も。まぁその時は月曜が休みですが)。と言う事で毎日くたびれており、ちょっと思考がスリップストリーム。

 さて前置きです。昔「アニメック」と言う月刊誌が有ったのですが、そこの連載企画に『特撮ヒーロー列伝』と言う文章記事が有りました。執筆者は池田憲章氏です。タイトル通り特撮ヒーロー番組を扱っていたのですが、『人造人間キカイダー』を扱った際(確か2回目)、前・中・後編のはずが前・中・後・完結編の4回になってしまった、と言うケースが有りました。今回は3回の予定ですが、3回目は書きたくないなぁ。

 本題です。ツイッターで揉めました。「パクリだから気に入らない」と書いたところ、反論()されたのです。

 オリジナルがこちら。

 私が問題視しているのがこちら。

 どう見てもパクリなのですが。デジャー・ソリス(表紙の女性)の服のデザイン、色、共に共通しています。擁護者がイラストレーターの文章を紹介してくれましたが、訳文(岩崎版。問題視している方)と創元版の折衷案だそうですが…いやいや! 岩崎版の訳文は創元版にない記述が有り(つまり訳者の創作)、「それに従いました」と言うのは「出版社主導で武部画に近づけてる」訳で、「アリバイ作り」にもなりません。最大の問題は「赤色人に見えない」事で、これは武部版もそうなのですが、武部版は武部オリジナルで出版社(東京創元社)公認なので問題無しです。一方、後発が同じ色を使った場合は、その理由が問われる事になり「パクったから」以外の理由は有り得ません。訳文にはピンクと有るようですが(荷物が多い割に部屋が狭いので、創元版を発掘できなかった)、両者(両社)ともにピンクには見えませんし、ましてや赤でも有りません。「赤色人の赤はもっと明るい、唇の色だ」とは言いませんが、ピンクにしろ赤にしろ、戦隊ピンク(モモレンジャーとデンジピンクは除く)とか戦隊レッドぐらいは明確に「それ」っぽい色が欲しいところ(あるいは近年の『フラッシュ』シーズン1ぐらい)。リチャード・A・ルポフ氏の『バルスーム』によると、赤色人(の肌の色のイメージ)のルーツはアメリカインディアンの赤銅色に有るようですが、文中の表現から、赤色人の赤は少なくとも「日焼けした白人(地球人)」よりも明確に赤い(もしくは濃い)訳で(で、なければ、ジョン・カーターが変装する際にドーランを全身に塗る訳が無い)、個人差が有るにしろ、デジャー・ソリスの肌はもっと赤い(明確に赤い、もしくは明確にピンク)なのも明らかです(で、なければ、初対面の際にカーソリスに対し「赤色人にしては色が濃くない」みたいな印象をカーターが受ける訳が無い。これはカーソリスがカーター(地球人)とデジャー・ソリスのハーフで有る事の伏線となっている)。

 武部画伯の色は全体的に薄く、一番濃い「赤色人」は『火星の秘密兵器』のヒロインだと思います(これでも薄い)。

 蛇足を承知で言うならば、もし岩崎版のフィギュアが発売されて私が購入し、塗装する事になったら、使用するのはキャラクターフレッシュ1です。~フレッシュ2だと濃すぎます。

 ちなみに、両者の中間ぐらいの色が、下記ふみな先輩(2種)の肌の色(後者はペールオレンジ)です。


 キャラクターフレッシュ2は「淡いピンク」と言う印象でパステルカラーだと思います(あくまで個人の感想です)が、それでも例の女性には濃すぎますね。

 …などと言う事は、1ミリ秒で判断できると思うのですが。

 サブカルはもはや宗教ですし(だからこそ本来の宗教から叩かれている)、ましてや火星シリースのオールドファンなら「デジャー・ソリスの神棚」の話も知っているはずで、実質、今回の件は宗教戦争です。

 やはり、安易な便乗商法は本当に不愉快です。それと、あの媚びた表情は、デジャー・ソリスに相応しくないですね。

【追記】想い出

 加えて残念なのが…。

 上記から転載しますが、以下の情報を見ると、私が最初に読んだ『火星のプリンセス』は岩崎版『火星の王女』<SFこども図書館8>のようで(『火星のジョン・カーター』岩崎書店<SF世界の名作8>かも)、小学生の頃に感動したのですが、その思い出まで汚されたようで非常に残念な想いです。ちなみに挿絵は全くタッチの違う絵で、緑色人の腕がタコの足のように波打っており(触手そのものと言える)、かなり個性的でした。

(以下転載)
火星のジョン・カーター 岩崎書店<SF世界の名作8> 1966年12月 亀山龍樹 鈴木康行・沢田重隆
火星の月のもとで 早川書房
<世界SF全集31「世界のSF(短編集)古典篇」> 1971年7月 関口幸夫

火星の王女
出版社/レーベル 刊行 翻訳 画
集英社<マーガレット文庫世界の名作30> 1976年 白木茂 三谷美枝子
岩崎書店<SFこども図書館8> 1976年2月 亀山龍樹 沢田重隆

火星のプリンセス
出版社/レーベル 刊行 翻訳 画
創元推理文庫 1965年10月 小西宏 武部本一郎
講談社 1967年5月 亀山龍樹 司修
角川文庫 1967年7月 小笠原豊樹 遠藤拓也
秋元書房<ヤングシリーズ2> 1968年9月 谷元次郎 小松崎茂
偕成社<SF名作シリーズ15> 1968年11月 野田開作 池田竜雄、武部本一郎
集英社<ジュニア版世界のSF13> 1970年2月 内田庶 岩淵慶造
秋元文庫 1978年5月 谷元次郎 高井吉一、小松崎茂

(転載終了)


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