191.ククルス・ドアンの島2022の感想。

以下、アマゾンプライムに投稿した評価。

完全に原作レイ●ですね。

作品の評価に入る前にキャストの評価を。オリジナルのアムロとカイは、お二人とも還暦を過ぎている(ですよね?)にも関わらずティーンエイジャーの声を違和感なく演じておられ、まさにプロの鑑だと思いました。
その他は代役なのですが(原作に登場したキャラは)、特記すべきはマ・クベとブライトで、前者は山崎たくみ氏、スーパーロボット大戦シリーズではJ9のブラスター・キッド他を長年代役として演じておられ、塩沢氏の「間」と言うか演技が完全に再現されていると言っても過言では無く、一瞬「あれ? 塩沢氏の新アフレコ?」と思った程でした。山崎氏はデビューして30年以上になるかと思いますが(ジェイデッカーのパワージョーは今でも覚えてます)、プロとしてはオリジナルの演技で勝負したいと思っておられるはずでしょうが、代役を完璧にこなしておられ、頭が下がる思いです。ブライトもかなり再現度は高く、声優さんが鈴置氏をリスペクトしておられると思いました。

その他の代役はほぼダメで、唯一の例外はキッカ。彼女に関しては、井上氏の語尾の特徴が表現できており、素晴らしいと感じました。後は軒並みダメで、特に出番の多いセイラとフラゥは本当にダメです。気にならないのは、ジョブ・ジョン(元々固定されてなかった)と、役回りの違うスレッガー、余り喋らないカツ・レツコンビで、ハヤトもオスカーもマーカーも違和感が有りました。オリジナルキャストが登用出来ない事情があるのなら、マ・クベやブライト並みに「近い」演技を期待するのが筋でしょう。

作品の評価ですが、「設定廚が考えたさいきょうのククルス・ドアン」ならアリですが、公式ではNGです。
ククルス・ドアンはエースパイロットであってはならないし、
あの島に隠された軍事設備(戦況をひっくり返すだけの軍事力)が有ってもいけません。
この2点は最低限守るべきルールで、裏設定ないしは考察マニアの私見ならOKですが、『機動戦士ガンダム』としてはダメです。
何故なら、オリジナルのエピソードは「一兵士が脱走し、微力ながら少数の子供を養う(贖罪)」と言うのが核だからで、「エースでは無い一兵士(あるいは民間人)」の物語が描かれるのが、スーパーロボットを否定する「リアル志向」の『機動戦士ガンダム』と言う作品の根底にあり、それに代表されるのが第13話~第15話だったはずで(ガルマ編でのルッグンのパイロットとかもですが)、ドアン=エースと言うのは完全にこれを否定しています。また特務兵で強大な軍事力を守っている、と言うのはジオンが追手を差し向ける十分な理由となっており(時代劇の脱藩武士を思わせる)、原典にある「戦略的価値が無いから散発的にパトロールを送る=戦力の小出しなので一般兵のドアンでも凌げる」と言う要素も完全に否定されています。

隠された軍事施設(強大な軍事力)、かつての仲間が追手、新型(と言う改良型)の機体、と盛り上がる要素をブチ込んだ為に「特別な存在が特別な行為を行う」と言う、我々視聴者は蚊帳の外で単なる一視聴者でしかない、と言うアクション物(ヒーロー物、スーパーロボット物)のフォーマットそのものです。「一兵士にもドラマが有る=視聴者も同じ立場になりうる」が、オリジナルの根底に有るはずですが。

ドアンのザクを沈めるのは完全に蛇足で、オリジナルでは「戦いの匂い」そのものでしたが、今回は核ミサイルがそれとなっている為で、発射後の残弾の無い核ミサイル基地を狙うバカも居ないでしょうから。

あと、連邦のMSが完全にヤラレ役で、スレッガーのジムもルッグンを(コアブースターと連携で)落としたぐらいで、がんキャノンも含めガンダム以外は全くジオンのザク(高機動型とは言うが)に歯が立たず、「なんだかなぁ」と言うか「玩具のCM(に過ぎない)」と言う、スーパーロボット物の悪しき踏襲となっているのも何ともはや(しかもキャノン以外のMSはプレバン製で、アマゾンでは転売屋が跋扈している始末)。

以上により、全く歓迎できない作品であり、星1つでも多いと思います。


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