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うそつきの流儀。

昨日、本当に仕事だった?と聞かれたので、本気でこの人は何を言い出すんだろう、と思った。

「仕事でしたよ。議案書見ますか?D決裁なんでそのうち回るとは思いますよ」
「いや、今は見ないけど」
「どうしてそう思いました?」
「電話出なかったから」

それじゃあ話にならない。
勘、なのか。だとしたら、だいぶアテにならないなと思う。

「じゃあ、1つ白状しますね。スタバでフラペチーノは食べました。ティラミスの。お相手はコーヒーでしたけれど」
「それ経費?」
「私が経理担当ですよ?まさか経費なわけないじゃないですか。成り行きでご馳走になったんです」

そうだ。ティラミスのフラペチーノを食べた。
甘くて美味しくて、色々と話をしたし、聞いた。
どこをどう切り取ったって、やましさの欠けらも無い。

と、言うか。心配されることなんてあるはずない、と思う。
後暗いと思うなら、そんなことわざわざするわけないじゃないって思うし。

子供じゃないのだから、自分でちゃんと考えて行動してるもの。



「私が傷つけても、傷つかないってMさんが言ったのに」
うそつきって言って笑う。

この人の困った顔、最近よく見るなって思う。
仕方ないなぁって笑う顔もよく見る。

なんか、ごめん。と謝るから、別に怒ってませんと答える。


怒りはしない。
例えば彼が私の不貞を疑ったとしたって、それは怒ることではないのだけれど、少し面倒くさいなとは思う。

やましいことなんて、なんにもない。
もう少し、やましさがあれば良いのにって思うくらいだ。


昨日、確かに電話に出なかった。
着信は切った。

「でも、Mさんが私と同じ立場だったら同じことしたと思いますよ?」

笑って首を傾げたら、まぁそうだね、とかなんとか言うから可笑しくなって声に出して笑った。

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