トライデント660

購入後まもなく一年を迎えるトライデント660について考察してみる。あくまで素人初心者の感想なので言葉足らずのところはご容赦願いたい。

車両本体価格97万円。

あれこれオプションをつけたら乗り出し総額140万円になってしまった。

今からすれば不要なオプションも多く、用途に合ったオプションを後で付ければよい事を学んだ。

役立つオプションはなんと言ってもクイックシフター。これは無しではもう乗れないほど快適装備。

逆にこれ以外のオプションは後で付ければ良いし、社外品のパーツの方が遥かに安く済む。

バーエンドミラー
スライダー
アンダーパン
スクリーン

どれも社外品で純正の1/10で手に入る。

グラブバーは要らんやろと今でも後悔。

デイトナのシートバックの取り付けに干渉してしまいかえって邪魔になってしまった。

もちろんバイクは趣味のものなのでどこにどれだけお金を掛けるかは本人の自由。

ただ、初めて新車を買ったので出来ればアクセサリーは純正をと選んだが、それほど満足感の高い結果は得られなかった。

全部社外品で揃えれば総額5万円ほどだろう。純正品との価格差35万円に意味はあるかと問われれば無いと答えるのが適切。

いわゆるブランド料だ。

どうせ最後はノーマルに戻して売却する事を考えると下取りにほぼ考慮されないであろう純正なオプションなどこだわる必要はなかった。

パーツだけメルカリで売るとか面倒くさくてやってられない。

スライダーも立ちゴケや転倒が無ければ使うことはない。

これらを予防するためにドライビングスクールに通っているし、シート高に対して足付きも良い方。もともと無茶をする年齢ではないので必要無かったのかもしれない。

ま、これは実際に売却するまでわからないので保険という事で。


走行性能その他については必要十分という評価を出せるだろう。

低速から高速まで広いトルクバンドが売りなので、80kmくらいまでの加速は申し分ない。

油断すると信号発進で身体が浮き上がるほどの加速性能を示してくれる。4,000回転50-60km付近で巡航していても必要になったらシフトダウン無しで6速のまま猛烈に加速してくれる。

高速道路での合流など100kmまではあっという間だ。

しかしその後がなかなかキツい。

パワー自体は申し分ないのでアクセルにはまだ十分な余裕がある。しかし猛烈な走行風を全身に浴びるとこれ以上のスピードを出そうと思わなくなる。

新東名高速道路を120kmで巡航したがお世辞にも快適とは言えなかった。猛烈な走行風に耐えながら数時間苦行するイメージだ。

これはネイキッドの宿命なんだろうな。

やはり水冷並列三気筒660ccのパワーは伊達ではない。200km台の速度域を狙えるほど力強いが乗り手が無事では済まないだろう。

軽自動車のエンジンが僅か車重189kmに収まっているわけだから想像いただけるだろう。

高速度の巡航にはギア、走行風共にあまり向いていないと思う。

そのかわり街乗りでは4-5速固定で普通の坂道なども面白いほど加速してくれる。余計なシフト操作が不要なので常に走りに集中出来るバイクだ。

おまけに峠ではクイックシフターの恩恵で大きなパワーがあるにもかかわらずシフトチェンジが楽なのでこちらも走りに集中出来る。

この辺りがライダー向け安全性能の高さに繋がっているのであろう。

何度も繰り返すが、クイックシフターはオプションだが、これだけは装着する事を強くお勧めする。

良いところをたくさん挙げたので次は不満点について記述する。

トライデント660を1年間乗ってきて最も厄介だったのがクラッチの硬さだ。

スリッパークラッチはついているので走行中のバックトルクによるギクシャク感はあまり感じないが、クラッチアシスト機能が無いので普通にクラッチ操作が重い。

納車した時はクイックシフターが未装置だったので、200kmもツーリングに行くと左手はいう事を聞かなくなる。薬指にばね指症状が出てしまったほどだ。

これ、単純に楽しくない。ただのストレスだ。

昔からのバイク乗りは根性とか握力鍛えるとか言うけど、こちらは快適に乗りたいだけなのだから乗り手がバイクに合わせる必要はない。

実際に握力を鍛えてもクラッチが重い事を克服できない。

トライデント660にはクイックシフターがオプションで選べるのでこれは必須だと思う。無いと乗るのがだんだん苦痛になっていって、トライデント660の良さを苦痛が上回ってしまうかもしれない。

これを避ける意味でもクイックシフターはお勧めなのだ。

私がどうしてもトライデント660が好きなポイントはエンジンサウンド。

三気筒が奏でるハーモニーが好きで、特にデイトナ675が発していた印象的な吸気音に痺れたものだ。

2時間、3時間とバイクの上に乗っていて何が楽しいかって私はエンジンサウンドが聴けることである。

ずっと走らせていたいほどのエンジン音好きである。

マフラーを変えて排気音でこの音を掻き消したくない。


変わっていると思うがもともと排気音にはほとんど興味がない。

三気筒の奏でるジャズの様なサウンドはなんとも気分を高揚させてくれる。

四気筒はオーケストラの様に音が綺麗にハモっている。音場としては最高峰と言えるだろう。

いずれは手に入れたいところだ。

ただ、バイクという危うさを内包した乗り物を象徴するサウンドはジャズなんじゃないかと個人的に思ってる。

アドリブを掛け合わせてセッションするので毎日少しずつ違うイカしたサウンドを聞かせてくれる。

三気筒というアンバランスさが生み出す魅力的なサウンドは私のさまざまな脳内伝達物質を刺激する。

音に乗っていると表現しても過言じゃない。

だからサウンドに集中できないマスツーリングやインカムでの会話、運転中別の音楽を聴くなんて発想は有り得ない。

ひたすら自分のバイクのエンジンサウンドに耳を傾けてご機嫌な走りをする事だけに集中したい。

それが私のストレス解消法でもある。

誰しもバイクに求めるストレス解消法はあるはず。それらを見つけられたらバイクに乗ることがもっと楽しくなるだろう。

かくいう私も降雪や雨の日以外真冬でも毎日バイクに乗っている。

寒さはバイクに乗らない理由にはならない。

電熱装備を買ってまで毎日バイクに乗る。

エンジンサウンドが私の脳に耽美なジャズを聴かせてくれる事を求めて。



単純に高速道路を120kmで巡航したいなら大型のフルカウルツアラーモデル一択だろう。

私もいつかは欲しいと思っている。スピードはバイクの違う魅力でもある。

超高速領域での官能性能を求めるならそれなりの目的にあった仕様が必要で、先述した様にトライデント660だとかなり無理がある。

ただ街を走るには取り回しも含めてちょうど良いサイズ感なのである。

クラッチが重い以外これといった不満がないトライデント660。

オドメーターが10,000キロを超えてしまったので少し温存し始めている。

これほど気に入って入るが、売却する時は過走行とは言われたくない。

その辺りの帳尻を考えながら楽しむのが大人の作法かな。

知らんけど。笑

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