アルティメット桃太郎

おじいさんは山で死ばかりに、

おばあさんは川で選択を。

すると、川の上の方から

“Don't black all, Don't black all.”(何者も穢してはならぬ。何事も塞いではならぬ。

という叫びと共に、幾千もの骸が流れてきました。

「爺、しくじりおったな…!」

おばあさんは強靭な脚に軽く力を込めすくりと立ち上がり、叫びました。

“Mom, you outlaw. On it, get see man knees. Eek!”
(母よ、あなたは道を誤った。男の跪くのを見よ。」

流れてきた骸どもは黒く空いた眼窩をゆっくりとおばあさんに向け、言いました。

“Obey son...” (彼に従え…)

おばあさんはハッとしました。

その声は、確かに彼の声でした。

“Oh my...” (そんな…)

───数十年前。

「おじいさんや!今日こんなに大きな桃が流れてきたんじゃ!これがあればひと月は食に困らんぞ!」

「おおすばらしい!用し、この刀で切り分けてやろう。えぃっ!」

おぎゃぁ、おぎゃぁ。

───その数年後。

「桃太郎や、芝刈りを手伝っておくれ。」

「はい、おじいさん!…いや、お父さんか…。」

「ん?桃太郎。何か言ったか?」

「…いえ、なんでもないです、おじいさん!今日もたくさん刈りましょう!」
(──おれはどこから来たんだろう。おれが桃から生まれたというのが本当ならば、おれの親は誰なんだ…。)

──さらに数年後。

「桃太郎や、お前は強い子じゃ。ここいらで最近悪事を働いておる悪魔がおるのは、お前も知っておるな。わしらが悪魔祓いを生業にしておるのは、そなたにも伝えておろう。わしらは歳を取りすぎた。して、そなた、この仕事を継いでくれるか。」

「はい、もちろんですおばあさん。私を狭き桃より取り出してくれた御恩、必ずや報いることを誓います。」

続く。



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