書き欠けの展覧会

全部書きかけ、欠けっぱなし。
書き切るのかも不明な三作品。
供養も兼ねて。
みんなでどれが一番読みたいか、投票しましょう。(投票所は無い)

①『仮題:魔法使いの話』
大きな丸窓に沿って置かれたクッションの上に腰掛け、ヨルガは陽の光を浴びていた。
それをユラギは不満そうに睨んでいる。

ヨルガ:良く晴れた日にやりたいことを、雨の日にしたいとは思わないだろ。
ユラギ:……晴れてるもん。
ヨルガ:バカ、物の例えだ。
ユラギ:……タイミングが悪いから、あきらめろって?
ヨルガ:はぁ……タイミングってのは、お前が考える以上に大事なんだよ。
ユラギ:……じゃあ、そのタイミングが良い時は、いつ来るのさ。
ヨルガ:さぁ、な……ふぅ。
ユラギ:ちょっと、寝っ転がらないでよ。
ヨルガ:うるさい。俺が今日、何もしたくないってのは十分に伝わっただろ。

ユラギは、とぼとぼ歩いて、ドアのところで振り返る。

ユラギ:……クズ魔法使い。
ヨルガ:うるせぇ無能っ。
ユラギ:ばーかばーかばぁーかっ!

部屋のドアが強く閉められ、衣装棚の帽子が床に転がった。

ヨルガ:てめぇ、静かに出てけ! ……たくっ。
レミン:……今日も元気だねぇ。

部屋の中に声が響いて、床に落ちた帽子の下から白いマントがせり上がり、包みを解くようにして、そこからレミンが現れる。

レミン:やぁ、ヨルガ。ごきげんよう。
ヨルガ:レミン……相変わらず、無駄に凝った登場しやがって。
レミン:ふふん、見てて楽しいだろう?

笑いながら帽子を元の棚にふわりと投げ飛ばす。

ヨルガ:……一生懸命、どう出て行ってやろうか考えながら、盗み聴きしてたのか?
レミン:うっ、そんな言い方無いだろう……そんな、カッコ悪い……。
ヨルガ:まず、盗み聴きを否定しろ。
レミン:それは、結果そうなっただけだよ。僕に君を覗く趣味は無い。
ヨルガ:そーかよ。
レミン:……でも、少し酷いんじゃないか? ユラギだって、いつまでも見習いのままにしては置けないだろうに。
ヨルガ:……俺は酷くないし、あいつは……まだ全然足りてない。それだけだ。
レミン:ふぅん……だからって、空を飛ぶことくらい、さっさと教えてやれば良いのに。
ヨルガ:バカ、それを1番教えたく無いんだよ。
レミン:なーんでさ。
ヨルガ:危険だからだ。
レミン:……過保護すぎないかい?
ヨルガ:違う、落下するとか、ぶつかるとか……そういうのを心配してるんじゃ無い。
レミン:ほぉー? じゃあ、なにさ。
ヨルガ:お前には関係無い。
レミン:なっ……なんなのさ……まぁ、良いけどね。
ヨルガ:……。
レミン:…………え、なに? 君の赤い目で睨まれると、心穏やかじゃなくなるんだけど?
ヨルガ:なんの用事も無いなら、さっさと出て行け。

ヨルガの褐色の指が、レミンを追い払うように振られる。
それに合わせて、レミンの立つ床が流砂のように流れ始める。

レミン:あっ、あー、用事ね、すっかり忘れて……たうぁ! 沈む! やめて、たんまたんま、用事ある、あるよ! 床に沈めないで!
ヨルガ:はぁ……うるさい奴ばっかだ。

怒りにまかせ、家を飛び出し、それほど離れていないが、ユラギは草原の丘までやって来た。

ユラギ:ふん、ふんっ、ふーんっ! なにさ、なにさっ、なにさぁーっ!

ユラギ:バカ師匠、ボケ師匠、クズ師匠っ! あーもー!

ユラギ:なにさ……もう少し……たくさん……教えてくれても良いじゃんか。

ユラギ:……私まだ、なーんにもできないってー!

ユラギ:……なんにも、できないって。

シトラ:なんにも?

ユラギ:うぇっ!
シトラ:……なに?
ユラギ:うぇえぇっ、こっちの話こっちの話! てか、なに、誰! 誰ですか、あなた!
シトラ:……シトラ。
ユラギ:はい?
シトラ:名前、私の。
ユラギ:えっ、あ? シトラ……さん?
シトラ:えぇ。
ユラギ:うぇえぇ……だれぇ? 
……以上……

②『仮題:崩壊世界のコロニーの話』
カミセ:あー、あー、あーーー! ハローハロー! こちら観測基地、ボリューム7(せぶん)。応答願ーーう!
マキナ:うるせーーー!
カミセ:おはよーーーう!(かぶせて)
マキナ:うるせえ、うるせえ、うるせえ! 何度言えば良いんだ! この通信は、お前の暇つぶし「もしもしテレフォン」じゃねぇんだよ!
カミセ:なにー! そっちこそ、何度言えばわかるんだ! これはワタシの暇つぶし「もしもしテレフォン」だ!
マキナ:ちげえーーー!
カミセ:うるせーーーい!(かぶせて)
マキナ:…………はぁーーっ、この、超ドレッド艦級ボケが。何の様だよ。
カミセ:うん、それが、暇なんだよ。
マキナ:通信終了。
カミセ:わー! 良いのか、すぐかけるぞ、また! 
マキナ:……お前な、毎回こんなんしてると、本当になんかあった時にも、ガン無視されんぞ。
カミセ:大丈夫、マキナは優しい。
マキナ:通信終了。
カミセ:ハロー! ハロハロハロハロハロー! 通信切れてなくてもハローーー!
マキナ:うるせーーー!(かぶせて)
カミセ:……落ち着けって。
マキナ:うるせえ。お前が黙れば落ち着くんだよ。
カミセ:え? もしかして……恋?
マキナ:よーし、待ってろ。分解して、解体して、粉々にしてやる。
カミセ:もう、会いたいからってそんな言い方して……照れ屋さんめ。
マキナ:つうしんしゅうりょう!
カミセ:うわっ、え、本当に切った! くそー……まあ、だいぶ暇潰せたし、良いか。……通信終了。

アラヤ:もしもし。こちら、メトロコロニー40(よんまる)。応答願います。
マキナ:……おう、こちら、気象観測基地ボリューム31(さんいち)。要件を聞こう。
アラヤ:こんにちは、マキナ。元気にしてた?
マキナ:あぁ、悩みの種には事欠かないが、おおむね元気だよ。
アラヤ:そう、それは何より。
マキナ:……で、なんだ? 生存確認が要件か?
アラヤ:せっかちだなぁ。少し雑談くらいさせてよ。
マキナ:はぁ、どいつもこいつも……寂しがりなのか?
アラヤ:そういう訳じゃないけど……でも、そうだね。寂しがりにさせられたのかもしれない。
マキナ:……誰にだよ。
アラヤ:そりゃあ……世界に?
マキナ:はぁーっ、ポエミィだねぇ。
アラヤ:なにさ、言葉通りではあるでしょー。
マキナ:まぁな。んで、気は済んだか?
アラヤ:はいはい、本題ね。まったく……マキナ、話す相手がいるってのは素敵なことなんだよ?
マキナ:いーって、そういうのは。
アラヤ:もー。もうちょっと大事にしてよ、僕らとの会話をさー。
マキナ:あー、わかったわかった。ただ、通信のエネルギーがどんくらい保つかわかんないから。とりあえず要件を話してくれって。
アラヤ:はいはい、わかったよ。こっちで、つい先日、広範囲レーダーが復旧されたんだ。
マキナ:おー、良く直せたな。というか、そこにコスト割くなんて、余裕あんなぁ、さすがメトロ。
アラヤ:いや、そんな余裕がある訳じゃないけど……もう、ウチだけじゃどうしようも無くなる寸前ってだけだよ。
マキナ:……メトロは、発展してた代わりに、人口が多かったからな。
アラヤ:うん。もう……多いとは言えないね。
マキナ:……そうか。
アラヤ:それで、そのレーダーで、他のコロニーの場所を特定しようとしてるんだ。
マキナ:なるほど……生き残ってるとこに電気が通ってりゃ、レーダーで検知できるしな。
アラヤ:そう。それで、今日レーダーを起動させたんだけど、そこに……マキナの基地が映ったんだ。
マキナ:は? 本当かよ!
アラヤ:うん、たぶん。大昔のデータベースに登録されてる情報での照合だから、同じ名前の別基地かも知れないけど。
マキナ:それって、データ送れるか?
アラヤ:もちろん、そのつもりだよ。建物の特徴とか、周辺の地形とか、本当にそっちの基地かどうか確認して欲しい。
マキナ:わかった。早く送ってくれ。
アラヤ:ふふ、楽しみで仕方ないって感じ?
マキナ:ちげえよ。通信のエネルギーがあんま無いって言ったろが。
アラヤ:えー、照れちゃってぇ、嬉しいくせにー。
マキナ:うるせぇ、カミセの真似なんかすんな。
アラヤ:あはは、それじゃ、送信。
マキナ:おっ……あー……なるほど、画像データね。
アラヤ:そうだよ。やっぱり重いね。
マキナ:画像は無駄に高品質だからな……悪い、通信切らせてくれ。
アラヤ:うん、流石に音声も繋いでたら厳しいね。じゃあ、何かわかったら連絡ちょうだい。
マキナ:おう、ありがとな。
アラヤ:はい、通信終了。
マキナ:通信終了……映ったのが、本当にここなら……もしかしたら……ははっ……ようやく……。
……以上……

③『仮題:星を守る話』
ステラ:あれが、オオりんご座。その右上の赤いのが、オオみかん座。その足元にあるのが、オオかぼちゃ座。
ルクス:……「オオ」ってのばっかじゃないか。それに全部果物だ。
ステラ:うん、果物好きだし。それに、大きいことは良いことだし。
ルクス:……そうか?
ステラ:そうだよ。ルクスだって、大きいじゃない。だから、良いことなの。
ルクス:……そうか。
ステラ:うん。だから、わたしの星座は、全部大きいのです。
ルクス:……まあ、良いんじゃないか。どうせ記録に残したりしないんだし。
ステラ:え! 残したいよ!
ルクス:……そんな落書きみたいな星座、残してどーすんだよ。
ステラ:落書きって……良いでしょ別にっ。自由な感性で星に線を引いたって。
ルクス:悪いとは言ってない。胸の内にとどめておけって言ってるんだ。
ステラ:なんでよ。
ルクス:……言っても良いのか?
ステラ:なにそれ……言ってよ。
ルクス:……そ。
ステラ:……なに?
ルクス:……へたくそ、なんだよ。
ステラ:あー! ひどいこと言った! サイテー!
ルクス:お前が言えって、言ったんだろうがっ。
ステラ:そんな酷いこと言えって言ってない! ばーか!
ルクス:……馬鹿って言った方が、馬鹿らしいぞ。
ステラ:え、そうな……っ、うるさい! 芸術に優劣をつけるなんて、デリカシーが無いよ、ルクスは!
ルクス:はぁ……悪かったよ。お前の……芸術? を理解できないだけなのに、軽率に、素直に、率直に、感想を伝えてしまった。申し訳な……。
ステラ:謝れてなーい!
ルクス:うるさっ。
ステラ:ちゃんと、きちんと、きっぱりと! 心から、謝って、謝って、謝ってぇ!
ルクス:あー……。
ステラ:謝ると見せかけて馬鹿にしてきたこともっ! 重ねて、合わせて、束ねて、謝って!
ルクス:はいはいはい。ごめんね。
ステラ:心を込めて!
ルクス:……すまなかった。全面的に、俺が悪かった。
ステラ:……いいよ。じゃあ、記録に残すよ?
ルクス:あぁ…々どうせ評議会で却下されるだろうし、良いぞ。
ステラ:なんでー!

0:〜〜〜

ルクス:なんで……ですか?
テネブ:ん? 評議会での決定に疑問を持たれてもな……逆に、どうして理由が知りたいんだ?
ルクス:馬鹿げ……いや、適切に名付けられた物とは、思えないので……。
テネブ:それは……まあ、そうだが。それでも、あの子の希望だからな。
ルクス:……甘やかし過ぎでは?
テネブ:ふむ……だったとして、今回の件は、何か問題があるか?
ルクス:無ければ良い、ということでも無いでしょう……。
テネブ:だが、評議会としては……「無いのだから、良い」、なのだよ。
ルクス:……そうですか。
テネブ:ふぅ……ルクス、今回程度の無駄使いで、別に記録容量が逼迫(ひっぱく)することは無い。悪性の情報として拡散される訳でも無い。……だろう?
ルクス:……はい。
テネブ:いちいち気を揉み過ぎだ。もっと他に考えることはある。意地を張った子供のように見えるぞ?
ルクス:それはっ……ステラの方ですよ。
テネブ:いまは、君の話をしているんだ、ルクス。ふぅ……影響を受け過ぎているようだな。あまり、あの子と丁寧に接するなと言っているだろう。
ルクス:……申し訳ありません。
テネブ:あくまで、君は守護者。多少の世話はしないといけないが……ハウスキーパーでも友人でも……ましてや、家族でも無い。
ルクス:それは……充分、理解しています。
テネブ:だと良いがな……。ともかく、適切な距離を保つこと。それが肝要だ。
ルクス:……それだけ聞くと、あなたの方が親のようですね。
テネブ:馬鹿なことを……単なる経験からの、アドバイスだよ。
ルクス:はい、ありがとうございまーす。
テネブ:まったく……軽口を叩く余裕があるなら、仕事に戻れ。私も、おかしな名前の星座を、正式な記録に残す仕事を済ませてしまいたい。
ルクス:ふっ……それは大仕事ですね。
デネブ:まったくだ。
ルクス:ははっ……では、失礼します。
テネブ:あぁ……。ふぅ……厄介なことだ。

0:〜〜〜

ステラ:やったー!
ルクス:おーい、喜ぶなー。
ステラ:なんでよ、嬉しいことがあったら喜ぶ。それが正しい人間の反応でしょ!
ルクス:はぁ……いまは良いかもしれないけどなぁ。そういうのは、時が経つと後悔に変わるもんなんだよ。
ステラ:そう? 私、あんまり後悔した事ないよ?
ルクス:ガキの内は、まだわからねーよ。
ステラ:えー? 私、別に子供じゃないし! 150年くらい生きてるよ!
ルクス:あー、そっか……すまん、忘れてた。あまりに、見た目も、中身も、ガキ過ぎてぇ。
ステラ:どーして、いちいち悪口を言うの!
ルクス:まぁ……外見は置いといても、中身は成長するもんじゃないのか? 普通は。
ステラ:してますけどー。まあ、でも……私の場合、初期状態で完璧だからね。無駄に成長とかしないってことだよ。
ルクス:そっか……お前、もうずっと、その頭のままなんだな……。
ステラ:なに? どうして可哀想みたいに言うの? クビにするよ?
ルクス:……すまなかった。楽だから続けたいんだ、この仕事。
ステラ:理由がゴミ。次の議事に、ルクスの処遇について、って議題、上げてやる。
ルクス:申し訳ございません、ステラ様ー。なにとぞ、引き続き、わたくしめを、お側に置いて下さいませー。
ステラ:ふふーん、よろしい。だけど……あまりバカにするなよ?
ルクス:ははー。
ステラ:よしっ。じゃあ……今日のお話を聞かせて。昨日の「雲は甘くない」って話は、泣けるほど嫌な真実だったから……今日はハッピーになれるのをお願い。
ルクス:いや……別に、泣くような話じゃなかっただろ。
ステラ:でも……綿菓子を先に知ってしまっていたから、私。
ルクス:……しらんわ。

0:〜〜〜

テネブ:なに……? 7番コロニーが?
ブラエ:うん、レジスタンスの襲撃で陥落。何でそんなとこまで侵入されたのか……わかんないけどね。
テネブ:……警備兵がいたはずだが、そいつらは?
ブラエ:それが、クラッシュされてて、増員の出動が出来なかったみたいで。
テネブ:ハッキングされたか……こういうことがあるから、機械任せにするのは怖いな。
ブラエ:まあね。でも、ハッキングじゃなさそうだよ。痕跡が見つかってない。
テネブ:なんだと? では、どうやって……。
ブラエ:それがね……動作に必要な回路が、ピンポイントで壊されてたんだ。綺麗なもんだったよ……パッと見じゃ、壊れてるか、わからないくらいにね。
テネブ:それは……警備格納庫まで侵入されたということか? だが……流石に。
ブラエ:まっ、下手にサイバー攻撃すると、僕らにバレるからね。やり方としては最善だよ。
テネブ:だとしても……警備兵の機構を知らないと、そんなことは出来ないだろう。
ブラエ:そうだね。それに……格納庫の階層まで、気づかれず、入れる訳が無い。
テネブ:まさか……招き入れた奴がいる、のか?
ブラエ:そう考えるのが一番わかりやすい。そうでない方が問題だしね。
テネブ:確かにそうだが……ブラエ、この情報はどこまで伝えてある?
ブラエ:7番コロニーが襲撃されて、レジスタンスの手に落ちたってのは、流石に評議会まで伝えてあるよ。警備兵の不具合については、まだ調査中とだけ。
テネブ:わかった……内通者がいる可能性については、いまは伏せよう。
ブラエ:了解。下手に全体へ伝わったら、潜られるかもしれないしね。
テネブ:ふぅ……厄介なことだ。すまないが、報告については任せて良いか?
ブラエ:良いよ、こっちで上手いことやっておくよ。
テネブ:頼んだ。こちらは先に他の仕事を片付けてくる……ではな。
ブラエ:はーい、お疲れ様ー。…………可能性、ねぇ。

0:〜〜〜

ルクス:7番コロニーが……陥落した?
テネブ:あぁ……奪還作戦を現在進行中だが、状況は膠着(こうちゃく)している。
ルクス:どうして、そんなことに……。
テネブ:詳細は不明だ。ただ……我々側に、内通者がいる可能性が高い。
ルクス:そんなっ……いったい何故……!
テネブ:……理由がわからない、か?
ルクス:それは……そう、でしょう。
テネブ:……我々のように上層で暮らす者は、恵まれている環境に居るが……下層の貧民街には、まだ十分な支援が行き届いていない場所も多い。
ルクス:……それは、長期的にですけど、解決しようとしてるじゃないですか。
テネブ:……それじゃあ、遅いということだろう。どうしたって、苦しいのは、今を生きている連中だ。それに……これまでのこともある。
ルクス:……確かに、そうかもしれませんけど。もう、旧体制が行っていた圧政は、終わったってのに……。
テネブ:下層の住人からしてみれば……何も変わっていない。評議会は、あくまで効率的な決定を行う……人情なんて物、プログラムには入っていないということだ。
ルクス:……すべて評議会なんて機械頼りじゃなく、人間が結果を調整すれば良い……と、思いますけど。
テネブ:それが出来れば苦労しない、ということだ。この星は……機械が全てを決める。それを大前提として、我々は寄生しているに過ぎない。
ルクス:わかってますけど……こんな訳のわからないオーバーテクノロジーに頼りきりだなんて……ご先祖が知ったら、憤慨するでしょうね。
テネブ:……故郷の星を壊した連中に、そんな権利なんて無いだろう。
ルクス:あぁ……そうか……そうでした。
テネブ:……我々も、同じように愚かだ、ということだな。また星を……失いかねないことをしている。
ルクス:……暴動が起こってしまったなら、話し合いで解決出来る段階に無い……ってことですか?
テネブ:どうだろうな……ただ、内通者がいるとしたら……そいつがどういった理由で協力しているのかが……鍵となるかもしれん。
ルクス:内通者……そんなの、本当に居るんですかね?
テネブ:さあな……まだ憶測でしか無いが……。個人的には、そうじゃないと可笑しい、と……思っている。
ルクス:……心当たりでも?
テネブ:……いや、無いが……中から協力でもしないと、7番コロニーを易々と制圧はされないだろう?
ルクス:なるほど……兵舎が近い所ですしね。
テネブ:兵舎まで、丸ごと陥落しているとなれば……やはりレジスタンスだけでは不可能と思わざるを得ない。
ルクス:……いったい誰が。
テネブ:さあな……ふぅ……ルクス。
ルクス:はい?
テネブ:……コアの護りを強化しておけ。誰が内通者か分からない以上、しばらくお前以外、接触させ無いようにしろ。
ルクス:……承知しました。
……以上……

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