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雑貨屋ウィドルの冒険譚【合作台本企画】



■更新履歴

・2024/3/10 第6回分更新 ←New

■企画説明

私、よぉげるとサマーとマトさんのコンビ『よぉげるトマト』で、世界観とそれぞれでキャラクター設定を作り、なるべくリレー形式かつ直接話しながらリアルタイムで声劇台本を作成する企画。
1回2,3時間前後くらいにて、配信しながら書いていき、できた分から公開していく形となります。

マト:https://note.com/nameismato

■利用規約

原則、自作発言など、しなければご自由に配信などにてお使いください。
可能な限り、告知や配信タイトル・説明欄にて、
作品名の『 雑貨屋ウィドルの冒険譚 』
と、記載をお願いします。
 ※エゴサに引っかかるようにする為。
作者名については、合作で2名分書くと面倒だと思うので、
『よぉげるトマト』にてお願いします。

■世界観

ジャンル:洋風異世界ファンタジー

存在する種族:人間、獣人、エルフ、ドワーフ等。

世界情勢:侵略国家であるドネモレという大国が存在する。周りにある小国はドネモレの侵略に抗っているため戦争が絶えず起こっている。
そのドネモレから比較的離れた位置に存在するルバーシアは冒険者の大きな拠点となっている。戦火からは離れているためか比較的穏健派が多く、冒険者への依頼を介して物資(魔物・鉱物の素材など)を得た商人などがドネモレなどの戦争国家と商売をしていることも。そういった国は他にも存在する。
学術都市国家パトリルは文明が高度に発展しており、主に魔導・工業の技術研究が盛んに行われている国。位置的には前述した両国家からは離れている。

魔導技術:魔石などのエネルギーを変換して、武器としたり生活用品として役立てる技術。
魔石:魔力と呼ばれる魔物の発生源でもある特殊なエネルギーを秘めた鉱石。これを媒介にして魔法を使用する事ができるが、エネルギーが無くなればただの石となる消耗品である。

移動技術:馬車(馬っぽい魔物が動力源)が主流。富裕層だけが空路、電車、車を利用できる。海路は船という手段があるが、主流ではない。

■キャラクター

作成回:第一回
作成者:マト
名前:アリア・シュタイン
性別:女
年齢感:20代
種族:人間
設定:学術都市国家パトリルの隅っこぐらし。開発の遅れた片田舎で育て親から受け継いだ雑貨屋を営んでいる。(あんまり危なくないところであれば依頼に応じて冒険にも行く)1人暮らし。普段うっかりおっとりしているが悪いことは決して許さない正義感の持ち主。薬草学に長けている。
見た目:金色ロングヘアのポニーテール、茶色の瞳、ひざ下丈の作業用ドレス(よごれにくい)を着ている。外に出る時や、素材採集のときにはなんでも入るごついトランクを持ち運ぶ。

作成回:第二回
作成者:マト
名前:レーフル・リンドール
性別:男
年齢感:18
種族:エルフ
設定:主にパトリルを拠点としている商人。テノンのウーロン魔具店へ商品を卸している。不憫。

作成回:第Yon回
作成者:マト
名前:グレイ・オルヴィエ
性別:男
年齢感:30代前半
種族:ダークエルフ
設定:テノンギルド『灯る水銀亭(ともるすいぎんてい)』のギルド長。〈もうちょっと詳しくかっこよく書きたい〉
怖くて強い。ぱっと見めっちゃ怖い、けど本当はめっちゃ優しい。余計なことは言わない。
見た目:褐色肌、銀髪、モノクル着用。

作成回:第一回
作成者:よぉげるとサマー
名前:ジオ・チャグナ
性別:男(元気なショタ)
年齢感:10歳
種族:獣人
出身:自然国家ラズベル
境遇:ラズベル前国王の第一婦人の一人息子。国家転覆の反乱がおこった際に、秘密裏に逃がされ、逃亡途中に人身売買組織『サライ』に捕まってしまう。学術都市パトリル付近の『サライ』拠点に連れていかれたジオだったが、偶然拠点壊滅の依頼を受けた冒険者たちに助けられる。だが、ラズベルは前国王が反乱軍に殺され、政権交代が起こってしまっており、ジオを送り返すと、処刑されるという事態になってしまっており、処遇を決めかねていた。虎獣人。栗毛。寝るときは丸くなる。

作成回:第Yon回
作成者:よぉげるとサマー
名前:フォルナ・エルトン
性別:女
年齢感:24
種族:人間
設定:テノンのギルド『灯る水銀亭(ともるすいぎんてい)』にて、働く女性。人当たりの良い性格だが、締めるところは締める。下手に優秀なので、ギルド長から厄介ごとを任されることが多い。苦労人。
知力と処理能力が向上する伊達メガネの魔具を装備している。

■台本投稿リンク

〇第1~6回分

■本編

【第一回分】
アリア:おーい、どこにいったのー?
ジオ:……うーん。
アリア:もう、目を離したらすぐどっかに行っちゃうのよね。
ジオ:……これが、たぶん……えぇ?
アリア:む……あ、いた。
ジオ:……コノエ草は、ムスグリと混ぜたら……え、いいのか?
アリア:(そろそろと近づいて)……何してるの?
ジオ:わぁっ! わっ、わぁっ! あぁ、こぼれたぁ!
アリア:あらあら、こんなにいっぱい集めて。
ジオ:う……もー……びっくりさせるのやめて。
アリア:ごめんなさいね。つい。何してたの?
ジオ:ん……なんか、勉強?
アリア:それは……この間あげた本ね。えらいわねぇ。
ジオ:べつに……アリアだってこのくらいやってたんでしょ?
アリア:そうだったかもねぇ。でもこんなに暗くなる前には家に帰ってたと思うわ。
ジオ:え、そんなに暗い?
アリア:ええ、そうよ。ジオの目は私と少し違うから、わからないかもしれないけど。
ジオ:そっか……じゃあ、続きは明日でいいや。
アリア:いい子ね。さ、おうちに帰りましょうか。
ジオ:……子ども扱いしすぎだよ。
アリア:そうかしら。
ジオ:そうだよ。
アリア:じゃあ、好きな食べ物はなぁに?
ジオ:シチュー……。
アリア:とー?
ジオ:……プリン。
アリア:うふふ。
ジオ:もうっ、先に行くよ!
アリア:はいはい。
ジオ:…………いちばーんっ、ただいまっ。
アリア:はい、おかえりなさい。ご飯にしましょうね。
ジオ:うん、道具戻してくる。
アリア:ついでに手も洗ってきてね。今日はシチューよ。
ジオ:そんなのわかってるよー。
アリア:……あら、何かしらこの手紙……。ギルドから?
ジオ:ねー、台座ってどこに置いたのー? 届かないよ。
アリア:うん……。
ジオ:……聞いてる?
アリア:あっ、えっと、どうしたの?
ジオ:もー、アリアがこれ戻してじゃあ。届かないから。
アリア:ああ、ごめんなさいね。戻しておくわね。
ジオ:うん。台座も戻しておいてよ?
アリア:台座ね。ジオにはまだ必要だものね。
ジオ:うるさいなぁ……。
アリア:うふふ。さ、座りましょうね。
ジオ:うん。


ジオ:お皿洗い終わったよ。
アリア:ありがとう。……あのね、ジオ。少しお話があるの。
ジオ:ん、なに?
アリア:さっき手紙が届いたのよ。ギルドから。
ジオ:なに、またどこか出かけるの?
アリア:そうよ。ジオはギルドって何をするところかわかってるわよね?
ジオ:知ってるけど……なに、いきなり?
アリア:ジオをね、冒険者として登録しないかって話がきたの。
ジオ:えっ、冒険者になれるの?
アリア:そうよ、でも……まだ早いんじゃないかと思って。
ジオ:それは……でも、簡単な仕事だったらさ、できるんじゃないの?
アリア:ええ、そうかもしれないけど……。ジオはここに来て1年だし、それにまだ、子どもだし……。
ジオ:……じゃあ、ダメ?
アリア:ジオは冒険者、なりたい?
ジオ:冒険者……じゃなくていいけど。でも、ちょっとくらい……アリアの助けにはなりたいよ。
アリア:そう……ジオは本当にいい子ね。それなら、私と一緒に冒険に行ってくれる?
ジオ:……いいの?
アリア:いいわよ。でも絶対に、危ないことはしないって約束してね。
ジオ:……うんっ!
アリア:じゃあ早速明日、ギルドに行きましょうか。
ジオ:明日っ? そんなに早くていいの?
アリア:ええ。寝坊したら置いていくからね。
ジオ:置いてかれても、追い越せるよっ。
アリア:そうねぇ、ジオは足が速いものね。でもギルドの場所はどこかわかるの?
ジオ:……もう寝るね。
アリア:そうしましょうね。おやすみなさい。
ジオ:歯みがきしてからね。
アリア:あら、覚えてたのね。えらーい。
ジオ:アリアがいつもうるさいからだよ。
アリア:ジオが虫歯になったら、つらいのはジオなんだからねー。
ジオ:わかってるよ、だからやるんでしょっ。おやすみっ。
アリア:はぁい、おやすみなさい。


【第二回分】
ジオ:戸締り、確認して来たよ。ばっちり。
アリア:ありがとう。さあ今日は頑張って歩くわよー。
ジオ:……車なら3日もかからないのに。
アリア:んー、車はちょっと高いからねぇ。
ジオ:ちょっとじゃん。
アリア:……すごく高いからねぇ。
ジオ:……やっぱアリアは、ケチだよ。
アリア:歩くのが嫌ならおんぶしようか?
ジオ:いいよもうっ、歩けるからー。
アリア:はあい。手はつなぐ?
ジオ:うるさーいっ!(走っていく)
アリア:ふぅ、これでよし。


アリア:半分くらいまで来たわね。休みましょうか。
ジオ:うん、わかった。お腹も空いたしね。
アリア:この木陰でいい感じに座れそうね。よいしょっと。
ジオ:はぁー、ちょっと疲れた。
アリア:そうねー。はい、サンドイッチとお水。
ジオ:ありがとう。
アリア:(もぐもぐ)うむ、おいしい。
ジオ:……わ、ピクルス入ってる……。
アリア:あれ、ピクルスきらい?
ジオ:すっぱい。
アリア:そうかなぁ。
ジオ:ちょっと、苦手なだけ。食べれるよ。
アリア:えらいえらい。
ジオ:別にえらくないでしょ……あれ?
アリア:ん? トマトも嫌い?
ジオ:トマトは、プチトマトじゃなければ……じゃなくてさ。
アリア:どうしたの?
ジオ:なんか、あっちから大きな音が……。
アリア:え、そう?(もぐもぐ)
ジオ:いや、食べてる場合じゃ無いかも……なんか、襲われてる感じが……。
レーフル:だれかー! たすけてー!
アリア:んん? 本当ね、人の声が……助けを呼んでる?
ジオ:他に……足音が多い。多分、魔物に襲われてるんだと思う。
アリア:大変、助けに行かなくちゃ。(もぐもぐ)
ジオ:じゃあ、食べるのやめなよ……。


レーフル:ひぃ! 近寄るなバケモノ! このっ!
アリア:大丈夫ですかー?(もぐもぐ)
レーフル:ちょ……っ、あんた! 食ってないで助けてくれよ!
アリア:すみません、休憩中だったもので……今助けますからね!
ジオ:アリア、気を付けて。あれ、フルウルフだ。
アリア:逆から読んでもフルウルフね。
ジオ:それは知らないけど……あいつら、連携して攻撃してくるから。
アリア:ええ、とりあえずあの人から注意をそらさないと。
レーフル:何でもいいから、早く助けてくれー! 商品がぁ!
ジオ:だって。どうするの?
アリア:んー……サンドイッチ食べるかな?
ジオ:食わせないで、もったいない。
アリア:ええ? じゃあ、これかな……ビカビカ爆弾。
ジオ:それって……迫雷丸(はくらいがん)じゃ……。
アリア:そうともいうのかな。えーいっ。
ジオ:いや、ちょっと待っ……!
レーフル:ん? うぉわぁああっ!?
ジオM:フルウルフの群れの中心に着弾した、それは。一気に辺りを白く染めるほどの、まばゆい光を放射し、あらゆる音をかき消した。


【第三回分】
アリア:いやー、よかったわねぇ。皆無事で。
ジオ:よかったじゃないよ……それに、全然無事じゃない! うぅっ、耳がキンキンする……それに……。
レーフル:はらほろひれはれ……。
ジオ:この人、気絶しちゃったじゃん。もぉっ、周りの被害を、考えなさすぎだよ!
アリア:まあまあ。気絶で済んでよかったってことで。きっとすぐ目も覚ますわよ。
ジオ:いや、何らかのダメージは受けてるって……今後、そういうのは、使う前に教えてよね。
アリア:はーい。最近大人びたことを言うようになったわねぇ。ちょっと寂しいかも。……ほら、商人さーん。ジオが大人になる前に起きてくださーい。
レーフル:う、うぅん……。
アリア:あ、起きました?
レーフル:ん……俺、なんでこんな……うあっ、そうだ! バケモノっ!
アリア:バケモノは、もうどっかにいっちゃいましたよ。
ジオ:どっか、って……ちゃっかり魔石回収してたくせに……。
レーフル:え?
アリア:まあまあ、とにかく、もう安心してください。
レーフル:……ってことは、あんたら、本当に助けてくれたのか?
ジオ:そうなりますね……方法は酷かったけど。
レーフル:え?
アリア:荷物も無事ですよ。見た限りでは、何も壊れてないですし。
レーフル:お、おぉ……ありがとう~、助かったよぉ! まっじでダメかと思ったぁ! 焦ったぁ!
アリア:ところで商人さん、これからどこに行く予定だったの?
レーフル:ん? あぁ、テノンまで行くんだ。そこで商売してる店に、積み荷を卸(おろし)にな。
ジオ:テノンって、僕たちが目指してる町だよね……。
アリア:そうね。お願いしたら乗せてくれないかしら。
レーフル:……なんだあんたらも、テノンに行くのか?
ジオ:はい、ちょっと用事で。
アリア:よかったら、乗せてくれないかなぁ……なぁんて。
レーフル:と言いつつ、乗ってる!? まぁ……いいけど。助けてもらったし、行き先も同じだし。
アリア:ありがとう。すこし積荷をおろせば狭くないわねぇ。
レーフル:やめてくれるぅ!? わかった、ちょっと整理するから! あ、おい、下ろすなってぇ!
ジオ:もぉっ、恥ずかしいからやめて! すみません、本当に……。
アリア:あぁ、ジオがどんどん大人に……。これくらいでいいかしら。それじゃ、お願いしまーす。
レーフル:おい! それ商品の敷布(しきぬの)! なにソファみたくしちゃってんの!? てか、いつの間にこんな下ろしたの!? 
ジオ:すみません……やりすぎだよっ!
レーフル:君も座ってるからね!? もう、なんなのぉっ!?


レーフル:……はぁ、疲れた。
アリア:あんなことがあったら、疲れますよねぇ。
レーフル:いや、あんたのせいだからね。なんであんな重い木箱8つも下ろしちゃったの? しかも一瞬で。あんたがバケモノだったの? なんなの? こわいよぉ……。
ジオ:しなしなになっちゃってる……アリアのせいだよ。なにか、元気の出るポーションでも上げたら?
アリア:うーん、そうねえ……この馬車を運転する人がいなくなったら困るし……。
ジオ:いや、そこまでの疲れじゃないと思うけど……。
アリア:これとかどうかしら、モリモリポーション!
ジオ:もりもり? ……え、それって、この前リザードマン用に作ってた……。
アリア:商人さん、よかったら、これ……。
レーフル:え、ああ……? 何これ。
アリア:元気になれるポーションです。お疲れのようなので、どうぞ。
レーフル:……飲み物の色かなぁ? えっ、飲み物の色かなぁ?
アリア:ポーションなので。私、これで商売してるんですよ。
レーフル:えぇ……儲かってます?
アリア:ぼちぼち。
レーフル:ぼちぼちなんだ……。じゃあ……うっ! 臭くない!? えっ、臭いよ!?
アリア:ポーションなので。さあさあ、ぐいっと。一気に。
レーフル:ポーションなので、じゃなくない!? 臭いポーション知らないよ俺! 待って待って……マジで飲む?
アリア:ここまで来たら飲まないとおかしいじゃないですか。さあさあ!
レーフル:あんた呑み会で嫌われるタイプだよ!
アリア:呑み会って何ですか? えーいっ。
レーフル:いや、呑み会ぐらいぃっ!? んぐぅっ! ゴク……ゴクッ……ぶふぇろぁいぃっ!
ジオ:うわぁ……飲んじゃった。
レーフル:うぅっ、ぐっ……あ、あぁっ、だ、だめぇ……これ、や、やばっ……おぐぅっ……だめぇぇぇえぇえぇええ!
アリア:どうですか? 元気になりました?
レーフル:げげえっげげげげげげげげ。ゲンキーーーーーー!
ジオ:絶対間違った方向で元気になってるよ!
レーフル:うおおおおおおおおおお! ゲンキーーーーーー!
ジオ:えぇ!? ちょっと、走って行っちゃったけど! 馬車おいてかないでぇ!
アリア:あらあら、ちょっと効きすぎちゃったかしら。
ジオ:いいから、連れ戻してきてっ!
アリア:はぁい。


【第Yon回分】
レーフル:はい、ウーロン魔具店(まぐてん)へ、商品を卸(おろし)に。……あぁ、後ろの2人は、付添です。……ええ、ありがとうございます。……いよぉし、やっと着いたぞー。ただいまー、テノンの街ー。
アリア:あら、もう? あっという間だったわね。
ジオ:歩いてくるよりも、やっぱり全然楽だったね。
レーフル:あんたらはそうだろうさ……こっちは、いつもよりずっと長く感じたよ……。
アリア:すみません、やっぱり2人乗せてると進みが遅かったですか?
レーフル:いや、それもあるとは思うけど……。
ジオ:道中のトラブルが多かったんでしょ。主に、アリアのせいで。
アリア:あぁ……ちょっとポーションの効き目が強かったり、回復しようとしたら、身体が発光しちゃったりしたけど、それくらいじゃない?
ジオ:じゃないよ。そのせいで光に集まる魔物が群がって来たし、それでレーフルさんが攫(さら)われちゃって、食べられちゃいそうになったじゃん……。
アリア:そういえば、そんなこともあったかしら。
レーフル:あったよ! 死ぬかと思ったって! それにあと、湖に落ちたり、突然槍が降ってきたりとか……ほぼ、あなたが原因でしたよねぇ!
アリア:いいえ! あれは槍じゃないですよ。干乾びた空飛びイワシです!
レーフル:槍みたいなもんだったよ! 荷馬車にめちゃくちゃ突き刺さっただろうが!
ジオ:すみません……お腹がすいたから、ちょっと何か見繕ってくるわ、って言った時に、気づけていれば……。
レーフル:気づけねえよ!
アリア:そんなに怒らなくても。おいしかったんだからいいじゃないですか。
ジオ:まあね。
レーフル:まあね、じゃない!
アリア:あ、この辺ですね。ギルド。
レーフル:そうですねぇ! 停めますねぇ!
ジオ:すみません……。
アリア:よいしょっと……久しぶりね。
ジオ:んしょ……ありがとうございました、レーフルさん。
レーフル:あぁ、まあ、色々あったけど、最初に助けてもらったし……お互い様ってことで。またどこかで会ったら、声でもかけるよ。
アリア:その時はまた、よろしくお願いしますね。
レーフル:何を……?
アリア:まあ、何かと。
レーフル:ま、まあ……出来ることなら、やらんでもないけど……。
アリア:お礼に、今度はちゃーんとしたポーション差し上げますから。
レーフル:いらない……一番いらない……。てか、ちゃんとしたポーションじゃなかったんだ、やっぱり……。

アリア:久しぶり、フォルナ!
フォルナ:あー。アリアさん、お久しぶりです。お手紙お出ししてから、随分とお早いですけれど……もしかして、読んでません? すれ違っちゃって、別の用事でお越しだったりします?
アリア:ううん、ちがうの。ちょうどいいところに親切な商人さんがいてね。馬車に乗せてきてもらったのよ。
フォルナ:なるほど……いつもなら、早くても、あと3日はかかると見積もってましたから。でも、早い分には大歓迎です。遅くなりすぎるよりは、ですけど。
アリア:本当はいつも通り、ゆーっくり来たかったんだけど。今回は1人じゃないから、さすがにね。
ジオ:ど、どうも。
フォルナ:ジオさん、お久しぶりです。アリアさん、いくら彼が獣人だからと言っても、あまり無理させちゃだめですよ? ただでさえ、アリアさんは、人間なのに長命種(ちょうめいしゅ)みたいな時間の浪費をするんですから。周りのことも考慮して、行動して下さいね。
アリア:んもー、マイペースって言ってよね。フォルナってば小言が多いんだから。
フォルナ:じゃあ、言わせないように、頑張って下さいよ。まあ、それはともかく。ギルド長に連絡して来ますので、そちらの応接間(おうせつま)でお待ち下さい。ジオさん、なにかお飲み物はいかがですか?
ジオ:あ、はい、頂きます。
フォルナ:では、何かジュースをお持ちしますね。アリアさんは、水でいいですね。
アリア:フォルナ冷たい……っ、でもそこがかわいい……っ!
フォルナ:ありがとうございます。
ジオ:手慣れてる……というか、手慣れられてる。
アリア:あ、水……はいいんだけど、あの、もう少し、ギルド長を呼ぶのは後でも……ああ、行っちゃった……。
ジオ:ほら、アリア、部屋で待ってよう。
アリア:……はーい。


【第五回】
フォルナ:失礼します。
ジオ:あ、はい。
フォルナ:ギルド長、いらっしゃいましたよ。
アリア:は、はいっ。
グレイ:失礼する。……久しぶりだな。
アリア:お久しぶりです、相変わらず、お、お元気そうで……。
グレイ:あぁ、2人とも元気そうで何より。突然呼び出してすまない。
アリア:いえ、お世話になってるのでこれくらい、何ともないです……。
フォルナ:はい、どうぞ、お飲み物です。アリアさんは、お水。
ジオ:あ、ありがとうございます。
アリア:ありがとうございます……。
グレイ:来て早々で悪いが、早速本題に入らせてもらう。
アリア:え、あ、も、もうですか……?
グレイ:私も忙しくてな。二度は言わないのでしっかり聞いてくれ。
アリア:はい……。
グレイ:既に聞いているだろうが、ジオにはうちのギルドに入ってもらいたい。ギルドに入ればアリアと同様に仕事をこなしてもらうことになるが、様々な恩恵が受けられる。
アリア:それは、わかってるんですけど……どうして今なんでしょうか。まだこの子はうちに来て1年くらいで……。
グレイ:そうだな、1年と2ヵ月……十分に生活にも慣れてきた頃だろう、違うか?
ジオ:……はい、アリアのおかげで。
グレイ:だそうだ。それに、今時このくらいの歳であればギルドに所属している者も珍しくない。
フォルナ:ジオさんは獣人ですし、ポテンシャルも、お有りだと思いますよ。
アリア:たしかに、そうかも知れないですけど……。
グレイ:お前が躊躇(ためら)っているのは、ジオの出自についてか?
ジオ:……っ。
アリア:……そうです。あの事件があってから、まだ1年ちょっとです。すぐそばにジオのことを狙っている人がいるかもしれない。それ以外にも、どんな危険が外に待っているかわからない。そんな中で冒険者として仕事をさせるのは……私は嫌です。
グレイ:だからこそ、ギルドに入ってもらいたいんだ。
アリア:それは、どういうことですか。
フォルナ:感情論だけで物を言ってるアリアさんなんかより、ギルドはよっぽど色んな対策を考えているんですよ。
アリア:えっ、辛辣ぅ……。
フォルナ:基本的に、ジオさんを1人で行動させるようなことはさせません。アリアさんは、可能な限り一緒に仕事をしてもらいます。加えて必ず、ギルド側から信用できる冒険者を、サポート兼、護衛として配備します。
アリア:……そこまでして、どうしてジオに冒険者をやらせたいんですか?
グレイ:ただ監視と保護をするだけでも、こちらとしては問題ないのだが……有事の際に自分の身は自分で守れるようになっておいた方がいい。お前の助けにもなるだろう。
アリア:それは……でも。
ジオ:アリア、ここに来る前にも言ったけど……僕、やっぱり冒険者になりたいよ。
アリア:ジオ……。
ジオ:自分のことも……アリアのことも、守れるように。できることを、やってみたいんだ。
グレイ:……だそうだ。
アリア:……そうね、私だっていつまでも守ってあげられないものね。
フォルナ:アリアさんのほうが、寿命短いですからね。
アリア:そういう意味で言ったんじゃ……かわいいから、いいか。
フォルナ:ありがとうございます。
ジオ:あれ、これフォルナさんも変な人なのか……?
グレイ:では、合意ということで構わないな。
アリア:……はい。よろしくお願いします。
グレイ:早速だが、ギルド入会試験を行う。
ジオ:えっ、試験?
アリア:がんばってね、ジオ。
ジオ:はぁ?
フォルナ:ジオさんの言いたいことも、わかります。なんでギルド都合なのに、試験なんてやらせんだよ。マジでだるいし、意味わかんねえ。ほんとゴミだなギルド長。と、思ってらしても、しょうがないです。
ジオ:わぁ、そこまで思ってないですっ!
グレイ:……本当なのか?
ジオ:ちょっと傷ついてる! 本当に思ってませんからぁ!
グレイ:……試験と言っても、形だけの物だ。落ちることはない……はずだ。
ジオ:はずだ!?
グレイ:ギルドに所属する冒険者だけが入れる、テヌルモヌル洞窟に行き、魔鉱石を採ってきてもらう。
アリア:魔鉱石……種類は何ですか?
グレイ:何でも構わない。ただ、C級以上のものであればいい。
アリア:何でもいいんですね、なら……難しくないかな。
ジオ:C級の魔鉱石……E級以上の物は、魔素(まそ)が溜まりやすい場所でしか、採れないはず。
フォルナ:そうですね。合格前提の試験ですが、安全な場所での仕事、という訳ではありません。恨むなら、ギルド長を恨んでください。
ジオ:恨みませんよ!
グレイ:……本当なのか?
ジオ:恨みませんって!
フォルナ:アリアさんがいるので、大丈夫かとは思いますけど、準備や装備はしっかりと整えて下さいね。もし調達が難しい物があれば、こちらに相談してください。出来る限りはサポート致します。
アリア:じゃあ、フライドレイクの棘を……。
フォルナ:必要ないですよねえ?
アリア:……はい。
グレイ:期限は特に設けない。準備が出来たらフォルナに伝えてくれ。
アリア:わかりました。あの、じゃあ、サノレコスクスクの尻尾は……。
フォルナ:じゃあ、30頭討伐の依頼が来てますので、アリアさんに、ご依頼しますね。
アリア:ひぇ……やっぱりいいです……。
フォルナ:ご依頼しますね。
アリア:ゆるして……やめて……。
フォルナ:ご依頼します。
ジオ:アリア……僕、恥ずかしいよ。


【第六回】
フォルナ:それでは、先ほどのお話通り。準備が整いましたら、弊ギルド、『灯る水銀亭(ともるすいぎんてい)』まで、ご連絡下さい。宿は、隣の宿泊棟の空きを使ってください。今の時期なら、1人1部屋でも大丈夫かと。
アリア:はぁい。ベッドはふわふわのやつ?
フォルナ:ふふふー、無料の施設にそんな良い待遇を求めないで下さいね。
ジオ:わ、笑った……。
アリア:ちぇー。皆使うんだから新しいのにすればいいのに……。
フォルナ:アリアさんも使うんですから、使えなくなるまでは、新調しませんよ。
アリア:このこのー、節約家さんめー。
フォルナ:恐縮ですー、では、またー。
ジオ:帰ってほしそうだよ……。
アリア:フォルナはツンデレなのよ。そこがかわいいんだけど。んじゃ、また来るわねー。
フォルナ:その書類は、いったんギルド長を通さないと駄目ですね。
ジオ:無視されてる……。

アリア:ふぃー、ま、買い出しはこれくらいでいいかなぁ。あと何か買い忘れたものはないかしら。
ジオ:アリア……いったん、もういいんじゃない? ちょっと、重いよもう。
アリア:あ、ごめんね。いっぱい持たせちゃって。調合するものもあるから多くて。
ジオ:……明らかに今回の試験に、関係ない物ばっかじゃない?
アリア:いやぁ、遠出すると珍しい物が、つい目に入っちゃって。
ジオ:もう……カナリ草(そう)とか、マジデ草(くさ)とか、精神系の薬品素材だし……何作ろうとしてるのさ。
アリア:……内緒。
ジオ:……危ないことは、しないでよね。
アリア:しないしない。ぜーったいしない。
ジオ:……自白剤でも作ろうかな。
アリア:もうそんなの作れるようになったの? 成長したわねぇ。
ジオ:誰かさんのおかげでね。
アリア:ふふ。じゃ、今回の試験も楽勝ね。
ジオ:……そうだね。たぶん、落ちないって言ってたし。
アリア:不安?
ジオ:……まあまあ、かな。
アリア:大丈夫よ、私がついてるから。
ジオ:……アリアがついてるからだよ。
アリア:今回は、大人しくついてくわよ。
ジオ:……別に大人しくなくてもいいけど。
アリア:いいの?
ジオ:いいよっ、ほら、先に行くよ!
アリア:はぁい。ふふ……いいんだ、って。

レーフル:……そうなんだよ。早口言葉勝負になってさ。そこで、こう言ってやったんだ。ごほん……テヌルモヌルぬりえ塗りに手ぬるい塗り絵師塗りかねてぬるま湯にて温もるっ! ってな!
グレイ:……なにが、テヌルモヌルぬりえ塗りに手ぬるい塗り絵師塗りかねてぬるま湯にて温もる、だ。手温い。
レーフル:……言える、だと?(言えてねーじゃん)
グレイ:馬鹿馬鹿しい、こんなことを……テヌルモヌルぬりえ塗りに手ぬるい塗り絵師塗りかねてぬるま湯にて温もる、なんてことを言うためにお前を呼んだんじゃないぞ、レーフル。
レーフル:おおー、そうだ。テヌルモヌルぬりえ塗りに手ぬるい塗り絵師塗りかねてぬるま湯にて温もる、って言う話をする為じゃないよな。ソレハ草(そう)。の、仕入れに関してだよな?
グレイ:ソレモ草(そう)、だ。
レーフル:え? それも? もうひとつ、なんかあるのか?
グレイ:え?
レーフル:は?

【第七回】
to be continued……

■配信アーカイブ

【第一回】

【第二回】(よぉげるとサマーの声が全く聞こえないです)

【第三回】(ずっと声小っちゃい、前回よりは聞こえる)

【第Yon回】

【第五回】

【第六回】


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