夢枕 第二話

二回目の仕切りが終わった後、事件が起こった。両者の睨み合いが30秒も続いて場内が騒然となったのである。
(もう、やるぞ!)
(行くわよ、姉さん!)
そんな思いが伝わってくる雰囲気が土俵上を支配した。
「もう次に立ちますよ、これは。」
「えっ?まだ二回は残ってますよ、上念さん!」
「両者とも完全にゾーンに入って、かなり気合いが乗ってますから確実に立ちますね。あの状態をこれ以上保つのはかなりシンドイでしょう。」
流石は言論会で大横綱まで登り詰めた上念親方。その確かな目は時を待たずに証明された。明らかに両者は時間一杯の所作を取り、蹲踞に入った。
「さあ、新三役まで駆け上がった千葉麗子、姉弟子である杉田水脈をどう攻めるか!どう受けるか、大関・杉田水脈!軍配がかえる‼️」
千葉麗子の運命やいかに?!
つづく

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