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【宝篋山】小田氏の聖地

ジオストーリー

今回のルートは、常陸野トレッキングコースの”十巡り「小田氏の聖地」です。初心者向けに気軽にトレッキングできるようにアレンジしたルートとしました。
宝篋山(小田山)は筑波山塊の最南端に位置し、南麓の段丘の上の小田城跡は、鎌倉幕府の御家人であり小田氏の祖でもある八田知家("鎌倉殿の13人"の中の1人ですね)によって築城されました。
鎌倉武士の名門である小田氏は常陸守護に任じられ、この小田の地を本拠として周辺を治め、戦国時代の末期に佐竹氏に城を奪われるまでこの小田城を拠点としていました。
宝篋山や小田周辺には、奈良西大寺系の石工集団が中世の頃に造立したと伝えられる板碑や宝篋印塔、五輪塔など歴史的遺産が数多く残されており、これらは周辺で採れる岩石を利用して、板碑には結晶片岩、宝篋印塔や五輪塔などは花崗岩が多く用いられています。
ところで、宝篋山頂にある宝篋印塔はかなり大きいものですが、これは麓から花崗岩を運んできたものなのでしょうか?
小田に残る石造物の石材を観察して、その産地を推定してみよう。また、小田の成り立ちや歴史を調べ、中世のこの辺りの様子を想像してみましょう。

上る途中で筑波変成岩中に貫入した岩脈を観察
宝篋山頂にある宝篋印塔と筑波山。この宝篋印塔は花こう岩で造られていますが、麓にある五輪塔などの石塔とは少し材質が違うようです。

歩き方

街中にある筑波山麓小田駐車場を出発し、極楽寺コースを通って宝篋山頂(標高461m)を目指します。麓にある地蔵菩薩立像や極楽寺跡五輪塔の花崗岩を観察したら、いくつかの滝を見ながら沢沿いに露出している筑波変成岩の観察しながら歩きます。
宝篋山城の空堀跡を通って宝篋山頂に到着すると、関東平野の雄大な眺望が楽しめます。
下りの小田城ルートは、ジオの見どころはあまりありませんので、小田城址まで一気に下ります。
つくばりんりんロード小田休憩所の横にある「小田城跡歴史ひろば案内所」では、遺物の展示とともに小田氏の歴史を学ぶことができます。時間に余裕があればゆっくり見学したいところです。

時期

季節を問わず年中登れます。特に春の桜や秋の紅葉時期は気持ちの良いトレッキングができます。ただし、最近人気のためシーズンの休日は混雑します。岩石観察や眺望を楽しむには、晩秋~早春の晴れた日がおすすめです。

周辺の楽しみ

麓の小田地区には、中世の歴史と自然を楽しむ「常陸小田城跡フットパス」というウォーキングコースが整備されています。
TAMARIBARや古民家カフェなどに立ち寄って、ゆっくりと街並み探訪を楽しむのもよいでしょう。

フィールドノートを手に歩いてみよう

このコースのジオトレッキングの様子は、YAMAPにアップしています。
下記のリンクよりご覧ください。

モデルルート(YAMAPより。基図は地理院地図)

このコースのジオストーリーや見どころ等の解説がついたフィールドノートを作成しました。
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