フィリピン社会から見える幸せの在り方(3)

フィリピン社会の現状

フィリピンは7000の島からなる国家で、人口は1億人以上いる国です。平均年齢は23歳なので、非常に若い国です。言葉は、タガログ語、セブアノ語、英語などがメインに話されています。ただ英語を話せるのは中流階級以上の人達で、全員が英語を流暢に話せるわけではありません。ただ、こういう統計的な話は、wikiなどを参照した方がいいかもしれません。私の方では、もうちょっとザックリとした話をしていこうと思います。
ところで、多くの人にとってのフィリピンのイメージは、どういったものでしょうか。フィリピンパブのお姉ちゃん?それともオンライン英会話の講師?もしくは貧困の子供を思い浮かべる人もいるかもしれません。そのどれもがフィリピン社会の一部なので、どれも誤りではありません。

フィリピンの生活風土について
フィリピンは気候が一年中、温暖なため、自然が豊かで気候にも恵まれている国です。その辺りにはバナナやココナッツの木が生えており、大した手入れをしなくても作物を収穫することができます。米は1年に数回、収穫できます。また、周りは海に囲まれているので海産物も豊富です。そのため、彼らが飢えに苦しむことは基本的にはありません。住居については、寒さを凌ぐ必要がないので、簡易な家で十分です。そのため住む所に困ることもありません。服装も特に気にする必要はありません。ちょっと田舎の方に行けば、上半身が裸の男性がいくらでもいます。このようにフィリピンという国を俯瞰して見ると、圧倒的に豊かな国であることがわかります。大した工夫をしないでも作物が取れて、逆に日中に働きすぎると日射病になって死んでしまいます。そういう風土で長年、育ってきたのがフィリピン人です。それが今のフィリピン人スピリッツの根底にあるので、日本人とは相容れないところがあります。日本の場合は四季があり、災害も多くあるので、日本人には常に改善が求められてきました。住居一つをとってみても、夏は涼しくて冬は温かいように工夫をする必要があります。こういった背景を理解すると、他国の人同士の相互理解も深まりやすいと思います。

フィリピンの生活風景について
フィリピンでは大家族が一般的で、一家に10人ぐらいが住んでいることもあります。そのため、彼らは集団で住むことに慣れています。そのため、若い子達が田舎から都会の方に出てきても、一人暮らしをすることは稀で、3、4人ぐらいで一緒に済みます。とは言っても部屋が沢山あるわけではなくて、大きな仕切りのない部屋に人数分のベッドを置いてそこで寝ているようです。家族では稼げる人が稼いで、他の人は何もしない場合もありますし、家の中のお手伝いをすることもあります。例えば、料理、介護、育児などの仕事です。こういう人達は街中で、数人でたむろしていることもあります。日本だとお巡りさんを呼ばれてしまいそうですが、フィリピンではそんなことはありません。どこでも見かける風景です。別に彼らの性格が悪いとか、キチガイという感じではなく(中にはキチガイもいるかもしれませんが)、話してみると意外と普通の人だったりします。本当にやる事や仕事がないだけです。フィリピンで雇用が豊富で、かつ稼げる職は、ITエンジニア、コールセンター、オンライン英会話の講師、看護師、家政婦といった職種です。ITエンジニア以外の4つは、女性の方が仕事につきやすいという事情があります。こうした社会構造のせいで、女性が一家の大黒柱になって、男性が暇を持て余しているという状況が作られています。また、この社会構造と関係があるのかどうか定かではわかりませんが、フィリピンではシングルマザーが沢山います。付き合っていても、彼女が妊娠すると逃げる男が多くいるためです。でも、フィリピンではキリスト教の関係で堕胎が許されておらず、必然的に子供を産むことになります。勿論、最初は彼女達も怒っているのですが、意外と悲壮感はなく子供を産んでいます。それは家族が彼女を支えてくれるからという理由もあると思いますが、フィリピン人は基本的には楽観的な性格なようです。

フィリピンの賃金事情
フィリピン人の全人口の10%は海外に出稼ぎに行きます。職種は看護師や家政婦が多く、たまにエンジニアといった感じです。昔は日本にダンサーとして来ている女性が多くいたようですが、法律の規制により、最近はそういった人達は少なくなったようです。とはいえ、他の職種でも女性が求められやすいので、出稼ぎにいく人は女性が多いようです。ただ、エンジニアの場合は男性です。また、10%という数字を見れば、それが一般的なことであることがわかります。彼女らはカナダや中東に行く人が多いようです。当たり前ですが、その国の水準で給与が貰えるので、彼らは喜んで海外に働きにいきます。
それと比べて、フィリピン国内の賃金は、どういった感じでしょうか。一応、地域ごとに最低賃金は決められており、都会だと日給400ペソぐらいのようです。日本円に換算すると、1000円ぐらいです。日本だったら、1時間で稼げる金額です。仮に20日、働いたとすると月給で8000ペソぐらいになります。他の職種も見てみましょう。
・ 最低賃金;8,000ペソ。20,000円
・オンライン英会話の講師;16,000ペソ〜 20,000ペソ。45,000円
・ 看護師;6ヶ月ぐらいは無給;10,000ペソ以下。25,000円
・コールセンター(夜勤もあり);15,000ペソ〜20,000ペソ。45,000円
労働時間によるので、勿論、額は概算です。それでも、これを見ると、フィリピンでは女性が稼ぎやすい立場にいることがわかります。ある二十歳ぐらいのオンライン英会話の講師が、「私の稼ぎで、両親の稼ぎを合算した金額を超えている」と発言したことは非常に印象に残っています。こういった事情を知ると、海外に出稼ぎに行って月に50,000円を送金することが、フィリピンではいかに大きな事なのかがわかります。
大まかではありますが、フィリピンと日本の状況説明を終えたところで、そろそろ幸せの在り方について考えてみたいと思います。

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