[2024年6月版]オーラ天楔デッキの作り方
本構築記事を見つけてくださりありがとうございます。この記事では、逆転オセロニアというゲームで使われる「オーラ天楔デッキ」の作り方やこだわりポイントを解説します。始めたばかりの方から、天楔デッキを使い慣れた人まで、幅広く役立つように執筆しましたので、ぜひチェックしてみてください。
ご挨拶
はじめに、昨年投稿した [2023年2月版]オーラ天楔デッキの作り方に関して、大変多くの反響とコメントをいただきました。
当時の私の発信力では記事の存在すら認知されることが難しい状況でしたが、「まこちゃんねる」さんが動画で取り上げてくださったことで、多くの方に記事を見てもらえたと記憶しています。
私が運営しているディートリヒ研究所での発信活動につきましても、上記の記事をきっかけに知られるようになり、沢山の方に天楔の話題で暖かく声をかけていただきました。
ここまでの活動を支えてくださった全ての方に、この場を借りて感謝申し上げます。
あれから一年が経過し、オーラ天楔デッキにおいて大きな変化がありました。特に以下の4点は革命的でした。
メリッサの実装
シトリの駒アップデート
フェイルノートの弱体化
コラリーの実装
これらを踏まえた最新版のデッキ構築論を紹介したいと思い、本記事の作成に至りました。本記事に説得力をもたせるために、直近のシーズンマッチを天楔縛りで潜り、Top100に入ることができました!!
本構築記事は、昨年投稿した記事の内容を最新版に改訂した上で、いくつか新しい知見を追加したものとなっています。これまでの活動の集大成として、2万字を超える長文になってしまいましたが、お時間ありましたらご一読いただけると幸いです。
いきなり結論!
昨年と同様に、「オーラ天楔デッキの構成をサクッと知りたい!」という方のために、デッキレシピを1枚のスライドにまとめました。↓↓↓
自分の所持駒と相談しながらこれらのテンプレートを埋め、"S駒"と"A駒の自由枠"を環境に合わせて選ぶことでオーラ天楔デッキの完成となります。
本構築記事では、これらの詳細に加え、"構築段階で工夫できること"や、"環境に合わせてどのような駒が採用されるのか"といった話もしていきますが、特に重要な点を先に書いてしまうと、
初手から出せる駒を最低6枚は編成する(初手出し成功率を8割超えにする)
シトリのATKを+Maxにする(手駒ロックで異世界アラジン、クリスマスイオフィエル、ユウキ、メリッサが優先的に出るようにする)
日常ヴェークロストとエルヴィン団長のATKを+Maxにする(手駒ロックでハロウィンメーティスが優先的に出るようにする)
この3点を実現できれば、オーラ天楔デッキがより強力なものになります。それでは、本編に入りましょう!
本編:デッキの作り方
楔生成キャラ
このデッキのコンセプトは「楔の固定ダメージと、楔を消費して与える神雷火力で相手を削っていく」というものです。従って、全ては楔を増やすことから始まります。
現在実装されている楔生成のA駒で優秀なキャラは4体います。日常ヴェークロスト・エルヴィン団長・コラリー・メルカバーです。
※コラリーはエルヴィンと同性能のバトルコイン交換駒です。以下ではまとめて"エルヴィン団長"と書くことにします。
生成本数についてはエルヴィン団長やメルカバーが強力ですが、大前提として、「楔生成駒は初手に出したい」という気持ちがあるので、発動条件がついている駒はあまり採用したくありません。
従って、日常ヴェークロストが最も優先度の高い駒で、もうひと枠にエルヴィン団長・メルカバーのどちらか一方を採用すると良いでしょう。両方持っている方はエルヴィン団長を優先してください(発動条件がメルカバーより緩く、コンボスキルが強力だから)。
日常ヴェークロストのように"初手から出せる楔生成駒"の代用としては、アメノワカヒコ・エイダン・コトシロヌシが代表的で、エルヴィン団長のように"条件付きで強力な楔生成駒"の代用としては、ミホツヒメが挙げられます。
採用枚数は0~2枚としています。昨今のインフレ環境に楔生成のパワーが見合うかは意見が分かれるところであり、楔生成駒を採用しない構築も十分考えられます。
(私は「楔の固定ダメージをしっかり与えながら耐久してきたい」というプレイスタイルなので、試合中1回は使用できるように楔生成駒を2枚採用することが多いです。)
神雷アタッカー
楔を消費して大ダメージを与える神雷アタッカーは、天楔デッキの軸となる最も重要な枠です。代表的な駒として、糸雪・異世界アラジン・エミリオ・カリスの4体が挙げられます。
この中で最も採用すべき駒は糸雪です。A駒で序盤から4000の雷撃ダメージを与えられるので、実質"5枚目のS駒"と言って良いほど強力な性能をしています。カリスでも代用できますが、糸雪がいるかいないかで勝率は大きく変わるので、持っていない方は強駒パレード(毎月中旬開催のガチャ)で全力で入手してください。
採用枚数は2枚までがお勧めです。3枚以上の場合は楔が枯渇するリスクがあります。かといって楔生成駒を増やして補おうとすると、「序盤に神雷アタッカーばかり来て事故った」「終盤に楔生成駒ばかり来て肝心のアタッカーが来ない」などといった、引きのかみ合いの悪さを実感することになるでしょう。
最もおすすめの組み合わせは糸雪+異世界アラジンです(アラジンは手駒ロックで釣られやすく、火力も高くてコンボも強いから)。
準高火力アタッカー
天楔デッキの火力枠は神雷だけではありません。一般的な準耐久デッキに搭載されるような、3000前後(またはそれ以上)のダメージを出すアタッカーも採用します。
準高火力アタッカーは大きく2種類に分けられます。代償アタッカーとライフバーストです。
代償アタッカーは、自身もダメージを受ける代わりにいつでも高火力を出せる駒を指します。初手から安定したダメージを与えられる駒は貴重なので、デッキに1枚は採用したいですね。代表的な駒として、クリスマスイオフィエル・3周年メーティスの2体が挙げられます。
クリスマスイオフィエルは代償コストが軽く、雷撃ダメージである点が優れていますが、3周年メーティスはスキルコンボともに火力が高く、HPがトップクラスである点が魅力的です。明確な優先順位は無いので、お好みの方を採用してください。未所持の場合はイリニアでも代用可能です。
(私は6月のアマテル環境下での代償はリスキーである点、アマテル対策の特殊罠や特殊シールドを回避できる点などの理由でクリスマスイオフィエルを採用しています。)
ライフバーストは、自分のHPが減少するほどダメージが高くなる駒で、多くの試合でとどめを指すときに使います。代表的な駒として、ハロウィンメーティス・ヴァイセの2体が挙げられます。
この2体に関しても優劣をつけることが難しいですが、HPとコンボスキルの観点からハロウィンメーティスの方が優先されると考えています。
採用枚数としては、代償アタッカーを最低1枚、ライフバーストを最低1枚、合計して2~3枚程度が望ましいです。
雑火力駒
ここでは2000前後の火力"だけ"を出す強力な駒たちをまとめて雑火力駒と定義しています。特に優秀な駒はメリッサ・ライラ・ユウキ・イオフィエル・周年ヴァイセの5体です。
オーラ天楔デッキは手駒事故のリスクが高いデッキなので、このような序盤から雑に出せる駒が大変重宝します。特にメリッサは革命的な駒で、「初手出しOK・辺置きOK・序盤罠回収・終盤罠回避・手駒ロック管理・コンボ確定・フィニッシュ」といった多くの役割で使うことができます。
※周年ヴァイセは初手から火力の出る駒ではありませんが、試合中盤以降に最大3000ダメージを狙えるため、非常にパワーの高い駒です。
採用枚数は3~5枚程度がおすすめです。雑火力駒が多ければ序盤からスムーズに火力を出せるためデッキパワーは上がりますが、回復や防御などの採用枠が減り、相手の行動への対応力は下がってしまいます。
自由枠
残りの枠は自由枠です。ここにデッキ作成者の個性が現れます。環境を見て、どのデッキに勝ちたいか、どのような機能を持たせたいか、予め作戦を立てて最適の駒を選択してください。以下、作戦ごとに使われる駒を一部列挙します。
中でも赤枠で囲まれた駒は特に優秀で、シーズンマッチでも非常によく見かけます。お好みの駒を選択してデッキをカスタマイズしましょう。
S駒について
ここまで、S駒の編成については一切触れませんでした。実は、オーラ天楔デッキの主要なパーツは全てA駒で賄うことができるため、S駒は何でもOKです!
何でも良いということは、所持駒のうち駒パワーの高いもの(超駒や強駒)が優先的に採用されるということです。
昨年は"性能が強すぎるためにどのような補正でも必ず採用される駒"として闘化フェイルノートを紹介しましたが、2024年5月にスキルバッジ調整が入り弱体化されたため、必須ではなくなりました。
代わりに頭ひとつ抜けた性能を持つ駒として、超駒の進化スゥが挙げられます。
最大4500ダメージを与え、コンボスキルに最大4800の"雷撃"ライフバーストを持つという、数値の暴力を体現したような駒です。
この駒と神雷アタッカーの糸雪を合わせると、4500(スキル)+1270(スゥATK)+4000(神雷)+1050+(糸雪ATK)+4800(コンボ)=15620
実際はライフバーストの処理や枚数返し、固定雷撃ダメージなども考慮に入れる必要がありますが、無代償で約15000ダメージを2手で飛ばすポテンシャルがあるスゥは破格と言えるでしょう。
とはいえ、フェイルノートほど絶対必須の駒ではありません。自由枠と同じように、環境によって採用する駒を変えるのが一般的であり、以下にオススメのS駒を一部列挙します。
以上でデッキは完成です。改めて、デッキ構築の要点をまとめたスライドを載せます。↓↓↓
さらに意識していること
ここからは、デッキの安定感を高めるために筆者が意識していることを紹介します。
初手出し駒の枚数
対戦の終盤、相手の体力を削りきれず、「あともう少し火力を出せたら勝てたのに…」と思ったことはないでしょうか?
そんなとき、直近2, 3ターンに改善点があるかもしれませんが、実は「初手の無駄な一手が影響していた」という場合もあります。フィニッシャーや辺置きの駒ばかりを引いてしまい、初手に満足な仕事ができないせいで、終盤のフィニッシュが一歩届かないという経験は私もたくさんあります。
このような初手の事故は、構築段階である程度減らすことができます。結論から言うと、初手から出せる駒を最低6枚編成すると、80%以上の確率で初手出しに成功します。
下のグラフをご覧ください。↓↓↓
このグラフは、初手出し駒(=初手から出せる駒、出したい駒)の編成数と、初手出し成功率(=1ターン目に初手出し駒を少なくとも1枚以上引く確率)の関係をグラフで表したものです。このグラフを使うと、自分の作成したデッキにおける初手出し駒の数をカウントすることで、初手出し成功率を把握することができます。
一つ例を見てみましょう。↓↓↓
この構築において、初手から出せる駒は、
先攻初手:クリスマスイオフィエル, ユウキ, メリッサ, 日常ヴェークロスト
後攻初手:クリスマスイオフィエル, ユウキ, メリッサ, 水光姫, 日常ヴェークロスト
先攻後攻それぞれ4体・5体となります。グラフから、初手出し成功率は先攻で65%弱、後攻で75%弱であることが読み取れます。先攻では3回に1回、後攻では4回に1回程度手駒事故が起きるというのは不安ですね。
これに対して、私が無補正で使っていたデッキの場合を見てみます。
この構築において、初手から出せる駒は、
先攻初手:クー・フーリン, クリスマスイオフィエル, ユウキ, ライラ, メリッサ, 闘化ブランジェッタ, 日常ヴェークロスト
後攻初手:クー・フーリン, クリスマスイオフィエル, ユウキ, ライラ, メリッサ, 水光姫, 闘化ブランジェッタ, 日常ヴェークロスト
先攻後攻それぞれ7体・8体となります。グラフから、初手出し成功率は先攻で90%弱、後攻で90%ちょいであることが読み取れます。かなり気持ちよく初手出しが出来そうですね。
今の例からも分かる通り、7体目以降は確率の変化がそこまで大きくありません。したがって、「手駒事故を回避するために初手出し駒を10体編成する」というような極端な構成はお勧めしません。後半に大きな仕事をする駒もしっかりと編成しましょう。
まとめると、初手出し駒を6枚以上は編成することをお勧めします。私の感覚では7枚程度がちょうど良いです。
ATK調整
続いて、手駒ロック対策についてお話しします。試合の中盤から終盤にかけて、相手の手駒ロックで妨害を受け、ゲームプランが崩れることがあります。特に、
手駒ロックで楔生成駒が釣られる
手駒ロックでフィニッシャー以外の駒が釣られる
この2つは致命的で、何としても避けたいところです。そこで、次のような工夫をします。
シトリのATKを+Maxにする
日常ヴェークロストとエルヴィン団長のATKを+Maxにする
これにより、ATK順は以下のようになります。↓↓↓
メリッサから異世界アラジンまでのアタッカーが優先して釣られるようになり、楔生成駒がハロウィンメーティスよりも釣られにくくなりました。たったこれだけの工夫で、手駒ロックによる被害を大幅に減らすことができます。
さらに意識したい点は、異世界アラジンのATK順です。異世界アラジンは終盤のフィニッシュ時に積極的に釣られたい駒ではありますが、スキルの発動しない序盤中盤には釣られたくありません。
私個人の体感では、この贅沢かつ絶妙な要求に寄り添う塩梅が、ATK順にして下から4番目前後あたりにあると考えています。序盤はメリッサ・ユウキ・クリスマスイオフィエルのいずれかをキープすることを心がけ、頃合いを見てこれらの駒を使用し、終盤は概ね異世界アラジンが釣られるようにする…といった具合です。
異世界アラジンの下が全て火力系統の駒なので、手駒ロックを意識せずとも自然と試合で使っていけるのが嬉しいポイントです。昨年の構築では闘化ウンディーネがロックの負け筋だったのですが、シトリの登場によってめでたく解消されています。
ちなみに、闘化ウンディーネと周年メーティスを採用する場合は、メーティスのLv.79調整がおすすめです。本来、レベル調整駒は「HPが下がる」というデメリットが気になりがちですが、メーティスの場合はレベルを1しか下げず、HPは9しか変わりません。HP9の違いと、終盤の決定力の違いを天秤にかけた際に、私は迷わず後者を選択します。世界一コスパの良い調整と言って良いでしょう。
オーラ天楔デッキの例ではありませんが、実際にこの調整によってフィニッシュできた場面がこちらです。↓↓↓
このように、手駒ロックでどの駒を優先的に出したいかを予め考え、ATK順を調整する作業は、デッキ構築の醍醐味と言っても良いでしょう。クリスマスイオフィエルとユウキの順番(火力を優先するか代償を嫌うか)、別の構築でイオフィエルと闘化ブランジェッタの順番、異世界アラジンとイーリア&エーリカの順番など、他にも工夫できる点がたくさんありますので、皆さんなりに調整してみてください。
コンボスキル
昨年に引き続き、最近の環境(2024年6月時点)においても、最序盤に打つ駒のコンボスキルは重要だと感じています。例としては、シアン対面のX打ちや、初手のコンボの弱さに付け込むアマテルのX打ち・並行打ちなどが挙げられます。
したがって、「初手から使えてコンボスキルも強い」という駒の需要が高いです。デッキを構築する際に、コンボスキルが序盤から使えるか?という視点を持つことも重要です。
残念ながら、神駒のコンボスキルの多くはライフバーストやコマ数依存のような後半で強いタイプに分類されます。そのような駒を初手に切ってしまうと、相手は喜んでX打ちや並行打ちを仕掛けてくるでしょう。
クリスマスイオフィエル・ライラ・ユウキ・3周年メーティス・闘化ブランジェッタなどのように、コンボスキルで1200~2000水準のアドを序盤から狙える駒をいくつか編成しておきましょう。序盤のコンボスキルにこだわると、火炎対面の勝率も上げることができます。
※極端な話、こちらの手駒が事故っていて、明らかにX打ちが予想できる場面では糸雪をコンボ要因として初手に放つこともありました。
遠夜対策
特殊/雷撃ダメージでゴリ押すアマテルの対策は必須であり、その常套手段として、遠夜・周年遠夜が流行しています。
これらの妨害駒は当然オーラ天楔デッキにとっても有害です。特に、アマテル対面やリアンツィール対面などのHP劣勢時に遠夜で蓋をされると非常に苦しい展開となります。遠夜対策は、オーラ天楔デッキを作る上で必ず向き合わなければならない課題です。
遠夜への回答となる行動の例として、以下の6点が挙げられます。
回復、バーストバリアで遠夜を回避しつつアドを取る
防御やデバフ、アンチヒールによって相手のアドを軽減する
楔生成で火力を抑えつつ神雷に備える
ボルトヒールで雷撃の反射処理後に回復する
継続ターンスキルで反射ダメージを分散する
見なかったことにする
遠夜への優秀な回答駒の例として、クー・フーリンと水光姫が挙げられます。
これらの駒は、単に遠夜のためだけに採用するのではなく、他の様々な用途で活躍できるという点で高く評価しています。
試合で詰まないためにも、デッキを組む際は「遠夜への回答を用意してる?」という問いに対して自分なりの考えを持っておくと安心です。
役割の多い駒を選ぶ
糸雪・異世界アラジン・ハロウィンメーティス・エルヴィン団長・進化スゥなど、序盤から手駒に抱えておきたい駒が多いのがオーラ天楔デッキの特徴です。それ以外の駒はできるだけ「引いた瞬間に使えて有意義な仕事をする」ような駒であるのが望ましいです。
これを見極めるために、採用を検討している駒に役割がいくつあるかを書き出すという方法があります。
「本編:デッキの作り方/雑火力駒」の章で、メリッサは「初手出しOK・辺置きOK・序盤罠回収・終盤罠回避・手駒ロック管理・コンボ確定・フィニッシュ」などの多くの役割があるから強いという話をしましたが、まさにこれが役割を書き出す作業に該当します。
すぐ上で紹介した水光姫に関しても「HP回復・バフデッキ対策・後攻初手OK・先攻初手に出してもデバフ部分が仕事をする・辺置きOK・遠夜対策・罠回避・対メルヴェ序盤コンボ要因・HPタンク」などがパッと浮かびます。
この例のように、書き出した内容が主観的であったり、場面が限定的であっても構いません。思いついたことはどんどん書いてください。書き出した役割を見比べて多かった方・重要だと感じた方を採用すると、かなり明確な根拠を持って構築を組めたことになります。
HP水準
それでも駒編成に迷ったら、HPの高い方を優先します。採用する駒を一つ変えるだけでHPが100も変わる場合があるので、自分の所持している駒のHPを確認してみると良いでしょう。参考までに、オーラ天楔デッキに採用されるA駒のHPは1600後半から1700前半の間に収まることが多いです。
補正・用途別編成例
それでは、私が実際に直近(2024年 2nd season)のシーズンマッチで使用した構築を紹介します。
無補正:ゼウス型
まずは、無補正で最も体感勝率が高く愛用していた構築を取り上げます。画像を見て驚いている方は多いと思われますが、なんとS枠に闘化ゼウスを採用しています。まずはその経緯からお話しします(長文注意!!!)。
ゼウスは天楔関連スキルの第一号にあたる最も古い駒ですが、2023年に駒アップデートが入り、楔生成本数・神雷ダメージ効率・HPが上方修正されました。アップデート直後こそは注目されましたが、序盤に引かなければ弱いという認識が強く、安定志向の私の本気デッキに採用することはありませんでした。
それから時が経ち、2024年6月中旬になって「久しぶりにディートリヒ研究所でゼウス型の構築を紹介しよう」と思いました。その日限りの軽い気持ちでデッキを組んで遊んでみたところ、普段のデッキよりも勝ちやすく簡単にポイントを稼げることが発覚しました。
この結果を受けてゼウス型の強さについて再検討し、シーズンマッチ無補正で通用するように調整したところ、10連勝や15連勝を何度も経験するような完成度になったのです。
なぜゼウス型がこんなに強くなったのか、その背景には以下の3つの出来事が関係していると考えます。
進化アマテルの実装(2024年2月)
シトリの駒アップデート(2024年5月)
進化フェイルノートのスキルバッジ調整(2024年5月)
進化アマテルは、オセロニア8周年を記念して実装された楔デッキ専用の超駒です。
せっかくの新駒ですが、スキルの楔3本条件が大問題です。既に、進化スゥ・糸雪・異世界アラジン・エルヴィン団長・ハロウィンメーティス(・周年ヴァイセ)などを手駒に抱えなくてはいけない状況で、進化アマテルまでデッキに採用するのはかなり勇気が要ります。
それでも、2024年のテーマであるディザイアスキルを持つ強力な駒であり、自然に採用できればデッキパワーを高める大幅な強化となります。
続いて、シトリの駒アップデートについてです。
神殴りや混合殴りデッキに標準搭載されているシェムケリーの楔版と言える性能ですが、楔条件が3本→1本に緩和され、HP・ATK・コンボスキルが上方修正されました。
それまでは闘化ウンディーネが似たような性能で使われていましたが、ATKが主要アタッカーよりも高くできる点・コンボに糸雪相当の神雷を搭載している点・2ターン継続である点などの理由からシトリが優先されるようになりました。自由枠の中でも積極的に採用したい駒ですが、楔条件が消えたわけではないため、手駒事故のリスクは上がってしまいます。
ここまで、ゼウス・アマテル・シトリの3つの駒を取り上げました。私がゼウス型の研究で注目したのは、これらがデッキに揃うことで、互いに強さを引き立てる相乗効果が生じる点です。↓
ディザイアスキルは最序盤から雑に使用しても重要な局面で追加効果が発生する点が魅力ですが、アマテルの楔条件がその魅力を消しています。ゼウス型の楔生成駒は全て初手から使用可能なので、2手目からアマテルを使う機会が増え、ディザイア本来の魅力を部分的に取り戻すことができます。
逆に、ゼウスで大量展開した楔ダメージのターン数をアマテルの防御で稼ぐことができ、ゼウスとアマテルは互いにwin-winの関係と言えます。同じような関係がシトリにも言えますが、神雷アタッカーに加えてシトリのコンボスキルも一緒に使えるほど大量な楔展開をゼウスが助けてくれます。
さらに、アマテルとシトリの相性も良く、アマテルの設置ターンに防御が発動しない問題をシトリがカバーしてくれます(1ターン完結の闘化ウンディーネではできない芸当です)。
また、アマテル後にシトリを置いて防御を継続させたり、アマテル中に防御を重ねたりと、継続スキル同士ならではの柔軟な動きが可能です。アマテルは空中設置もOKなので、このような動きのために両方とも辺に置く必要がありません。
このような相乗効果によって、ゼウス・アマテル・シトリを採用した今回の型は理にかなっているのではないかと考えました。これを確信に変える最後のピースが、進化フェイルノートのスキルバッジ調整です。
それまで天楔デッキの最強S駒として必須級だったフェイルノートのスキルに発動条件が付き、召喚駒のコンボスキルが下方修正されたのです。S駒の自由枠が一つ空いた分、デッキ構築の多様化に繋がった点は嬉しい影響ですが、見過ごせない影響として、オーラ天楔デッキのパワーが相対的に下がった点から目を背けてはいけません。
もともとフェイルノートに頼らずとも強かったアマテルデッキや、新駒の実装で強化されている魔単(闘化フェルグ)・混合(闘化スゥ、ラティーナ)・神殴り(ティパー)・魔竜(テレーゼ)・竜血(フルフレア)、元々苦戦を強いられていたヨアケ・リアンツィールなどに対し、弱体化したオーラ天楔デッキの勝率を維持できるとは到底思えません。
この状況を打開する手段として、オーラ天楔デッキの強化に繋がる駒(進化スゥ・進化アマテル・シトリなど)を積極的に取り入れることが考えられますが、いずれも楔条件や後半に使いたいスキルばかりで、手駒事故の観点から現実的ではありません。
しかし、ゼウス型であれば話は別です。エルヴィン団長と差し替えて初手から使えるようにすることで、強力な楔条件駒を無理なく取り込むことができます。ゼウス自身も強化を受けていますし、フェイルノートがS枠の席を空けてくれたことで、スゥ・アマテル・ゼウスの3人がピッタリ収まるのも都合が良いです。
ここまで長く話してしまったので、内容を整理します。
ゼウス×アマテル×シトリの相乗効果
フェイルノートの調整によりオーラ天楔デッキが弱体化
ゼウス型であれば、天楔強化につながる駒を無理なく採用可能
以上の理由から、ゼウス型がオーラ天楔デッキの中でも特に勝ちやすいデッキタイプになったのではないかと考察します。改めてデッキの中身を見てみます。
S駒もA駒も例外なくパワーの高い駒で構成されています。
初手出し駒は先攻7枚/後攻8枚、手駒ロックからはメリッサ・ユウキ・クリスマスイオフォエル・異世界アラジンがこの順で優先的に釣られるようにしています。遠夜への回答として、水光姫・ノンノ・シトリ・日常ヴェークロスト・ゼウス・闘化ブランジェッタ・ライラの順に使用します。
ここで初めて言及しましたが、オーラ天楔デッキの強化パーツとしてノンノも注目しています。
ホーリースキルなのでもともと初手から使いたくない駒ですが、こちらも楔1本条件であるため気軽には採用しづらい駒です。神雷コンボ持ちという点も含め、ゼウス型との相性が良いことが分かります。
(最近実装された進化ポルカやリナクレルの運用にもおすすめです。)
最後に一点、使っていくうちにゼウスの強さについて認識を改めた旨をお話ししたかったのですが、実践の話でありデッキ構築に関わる部分ではないので、「小ネタ・テクニック集/ゼウスの使い方」の章に回すことにします。
無補正:基本型
無補正で使用した、エルヴィン採用型の基本構築です。S枠にスゥ、クー・フーリン、キンマモンを採用し、自由枠に水光姫、闘化ブランジェッタ、シトリを選択しています。
このデッキを使用した2024年6月当時の環境について私が抱いた印象は、主に以下の4点です。
アマテル・メルヴェユール・神殴りが3大環境TOPである
アマテルメタの遠夜が流行している
混合殴りが勢力を拡大している(闘化スゥ・ラティーナの影響)
意外と多様なデッキとマッチする(魔竜・竜血・アナン・シアンなど)
特に、環境最強のS5アマテルによるゴリ押しは非常に強力で、序盤のHP差を覆すことなく試合を終了させられることが多いです。
アマテルだけを考慮するなら、相手が盤面を崩したタイミングで回復やバーストバリアを連発して盤面が詰むまで耐久するという作戦が有効かもしれませんが、同じく環境トップの神殴りに弱くなってしまいます。また、火力を出して押し切る戦法が有効なメルヴェユール対面やシアン対面、暗黒対面などに対して回復ばかりするのも悠長です。
したがって、攻守のバランスが取れているフォース駒のキンマモンと、対面や状況によって火力とバリアを打ち分けられるクー・フーリンは適任だと判断しました。
進化スゥとシトリは純粋なデッキ強化パーツであるため積極的に採用しています。特に進化スゥはどんな相手でも普遍的に強い高火力アタッカーですし、メルヴェユールやウィブサニア天楔対面が楽になるのも良いですね。
水光姫はほとんどの補正で使用するお気に入りの駒ですが、遠夜対策、混合殴り対策、神殴り対策、アマテル対面のHP確保というように、環境を踏まえた選択になっています。
最後に闘化ブランジェッタの枠ですが、「初手出しOK・殴りデッキ対策・召喚によるコンボ導線確保」などが魅力的で採用しています。ここは特に強いこだわりはないので完全に自由です。初日ダイヤモンドマスターに到達した際は、この枠にアルトを採用していました。
アルトは回復系デッキのメタ駒として役割が限定的な印象を受けがちですが、実は神殴り以外の主要な対面に役割を持ってくれます。
ゼウス型の紹介で「フェイルノートの弱体化によりデッキパワーが落ちた」と話しましたが、環境に合うS駒とA駒を柔軟に選択することでエルヴィン型もまだまだ抗えると信じています。近い将来、初手から使える強力な楔生成A駒が追加実装されたら一気に化けると期待しています。
全ステータスup補正
全てのステータスが1.1倍になっている補正です。固定ダメージ系のアマテルデッキは比較的少なく、神殴りや混合殴りデッキが手をつけられないくらい強い環境でした。
この補正で活躍した駒は夏アルテミスとフリンデルです。
序盤にキンマモンまたはフリンデルを設置して相手の攻撃意欲を削ぎつつ、闘化スゥのディザイアや闘化ミューズの減少バフが本領発揮するタイミングで夏アルテミスを使用します。
なり打ち進行や風車進行など、どんな進行でも試合後半は相手のコンボスキルが1回以上通ってしまうことが多いです。そこでしっかり耐え切るためにも、夏アルテミスのような強力なデバフの採用は必須と言えるでしょう。
相手のコンボ導線を減らすためにキャラ駒を消す展開が多い点と、初手にデバフ駒や神雷を切りたくない点、HPが上がっている点などから、進化スゥよりも進化ペトラを優先的に採用しています。
全ステータスdown補正
全てのステータスが0.95倍なっている補正です。先ほどとは逆に、殴りデッキが少なく、アマテルやメルヴェユールなどの固定ダメージ系のデッキが多い環境でした。
したがって、デバフよりも回復系統の駒が重要となります。アンチヒールと遠夜の両方に強いクー・フーリンは入れ得の駒ですが、もう一つお気に入りの駒として、進化バレンタインウルが挙げられます。
クー・フーリンはツインスキルの選択で攻撃とバリアを選択できますが、バレンタインウルは自分のHP状況に合わせて攻撃と回復のバランスを自動調整してくれる臨機応変な駒です。スキルのアド総量は3500で固定なので、いつ使用してもストレスなく仕事をする点がオーラ天楔デッキと好相性です。
相手も回復系スキルを使う可能性が高いので、しっかりアルトも採用しています。
竜補正
魔HP0.95倍ATK1.05倍、竜ATK1.07倍の竜優遇補正です。速攻竜・混合殴り・花鳥風月・アマテルを同時に相手にしないといけない環境でした。
竜アタッカーを対策するために夏アルテミスなどのデバフ駒を採用すると、今度は花鳥風月やアマテル対面で負けやすくなってしまいます。
この環境においては、デバフや防御をしながら火力や回復でアドも取る複合スキル持ちの駒を中心に採用することにしました。
特に優秀だった駒は一花&四葉です。
オルタナスキルであるという理由で使いづらいと敬遠されがちな性能ですが、
頻度の多い1枚返しに汎用性の高いルインスキルが搭載されている
終盤のトップ引きからでも偶数枚返しによってフィニッシャーになる
クー・フーリン相当の高水準HPとATKを持つ
ターン経過で勝手に4000程度まで育つコンボスキル
このように序盤から終盤まで満遍なく仕事をする強力な駒であることがわかります。
ちなみに、ゼウス型で運用した理由は、
速攻竜対面: コンボを使って試合を楽に終わらせる
花鳥風月対面: 相手の回復に追いつくように固定楔ダメージで攻める
などのように使い分けられるからです。
リナクレル編成例
最後に、「お気に入りの駒をデッキに入れたい」「新駒を試したい」などのコンセプトデッキを作る際の構築例をひとつご紹介します。
今回は、リリース3000日記念で実装されたリナクレルの運用をテーマに考えてみます。
楔デッキ専用のバーストバリア持ちであり、延命後はコンボスキルでフィニッシュまで持っていける魅力的な駒ですが、お察しの通り楔3本条件という致命的な欠点を持っています。
したがって、初手から使えて火力と切り替えられるクー・フーリンよりも優先度が低いです(バリア3000と3500の違いは無視できませんが、バリアの強みである"初手出し"が封じられるデメリットの方が大きいという判断です)。
というわけで、妥協なくリナクレル入りのデッキを作るのであれば、クー・フーリンとの両立を前提に考えるのが吉でしょう。一旦デッキのテンプレートに当てはめてみます。
残るはAの自由枠3つとS枠1つです。現状でもアマテルデッキのゴリ押しに耐えるポテンシャルがあり、遠夜を打たれてもバーストバリアで気持ちよくアドを取れる良いデッキに見えます。
ここで、私がデッキ構築の際、自分自身によく問いかけている一つの合言葉をご紹介します。
神殴りデッキは、オセロニアの歴史の中で概ね例外なく環境トップに君臨し続けている主人公デッキです。一度でもバフコンボを許してしまうと、A駒からでも1万以上の体力が簡単に消しとばされてしまいます。
神デッキ特有の高HPからこれほどの爆発力を生み出すのは一見ずるいように思えますが、通常特殊シールド・デバフ・罠・手駒ロック・コンボ封印などと対策手段が豊富であり、それらを掻い潜りながら攻撃のチャンスを伺うという駆け引きによって、どちらが勝つか分からないバランスの取れた試合展開が実現されます。
裏を返せば、神殴りの対策を疎かにすると簡単に負けてしまうということです。実際、Duel Evolutionイベントで実装された直後の花鳥風月やマナデッキなどは対策駒に乏しいため、既存の汎用駒無しでは勝負にすらならないことが多かった印象です。
このような背景から、デッキを作る際は神殴りデッキへの勝ち筋となる駒を一定数確保しておくことを心がけています。今回は、この方針に沿って残りの4枠を選定することにします。
初手出し駒の枚数や遠夜対策なども念頭に置きつつ、完成した構築がこちらになります。
改めて見直すと、殴りデッキにも固定ダメージデッキにもバランスよく対応できる準耐久型の良いコンセプトデッキになったと思います。
ここまで、様々な補正でのデッキ編成例を紹介してきました。私が伝えたいのは、「この補正はこの構築が正解!」ということではなく、「補正や環境によって自由枠をカスタマイズしよう!」ということです。この試行錯誤こそがデッキ構築の醍醐味であり、上手くハマると面白いほどポイントを稼ぐことができます。このような多様なデッキレシピがある限り、オーラ天楔デッキはまだまだ環境で生き残れると思っています。
小ネタ・テクニック集
おまけとして、これまでディートリヒ研究所で取り上げた小ネタやテクニックなどをご紹介します。
神殴りダメージ軽減率
オーラ天楔デッキでよく採用される通常・特殊シールドが、神殴り駒の火力をどれくらい軽減してくれるかをExcelで計算し、表にまとめました。
主要な神殴り駒の基本ATK、1~4枚返し火力、各シールドによる変更倍率をまとめています(例えば闘化ヴィーナスを使用する場合、表の数値を見ると、神フェリヤやエンデガの火力を0.35倍にしてくれることが読み取れます)。
一つ一つの数値を暗記する必要はありませんが、キンマモンは大体0.7倍、闘化ウンディーネは0.64倍、アマテルは0.57倍(デバフのテラーナイトくらい)など、ざっくり把握していると大事な局面で被ダメージを概算できます。
※火力表を計算する際、単純計算による数値と実際にゲーム画面で表示された数値がズレることがありました。これは、掛け算の順番と四捨五入の処理が複雑に絡み合っている影響だと想像しています。なるべくゲーム画面の表示に合うように四捨五入のタイミングを仮定して計算していますが、バージョン変更などで処理方法が変わることもあり得るので、1桁程度の誤差はあるものだと思ってください。
2手飛ばし、どっちから打つ?
試合終盤、手駒にハロウィンメーティスと異世界アラジンがあり、コンボ導線を確定させられるとします。このとき、「どちらを先に打った方が火力を出せるのか?」という問題について考えます。
直感的には、ライフバースト持ちのハロウィンメーティスを後に打った方が火力が伸びそうに思えます。でも本当にそうでしょうか?
ここで状況を整理しましょう。
ハロウィンメーティスを先に使用する場合:ライフバーストの火力は落ちるが、楔を消費しない上、強力なコンボスキルを設置できる
異世界アラジンを先に使用する場合:楔を消費し、コンボスキルが弱くなるが、ハロウィンメーティスのライフバーストを温存できる
このように、どちらにも火力が上がる要因と火力が下がる要因があることが分かります。実際のところ、1駒目を投げるターンと2駒目を投げるターンのHP状況によって火力差は変わるので、定量的な判断は難しいとことです。
というわけで、実際にpythonで計算してみました!!! ↓
計算の詳細は画像の右側にまとめましたので割愛します。要約すると、
横軸は1駒目使用時の残HP割合を表す
縦軸は2駒目使用時の残HP割合を表す
例えば、HP30%→20%という場面を考えたい場合は、横軸30, 縦軸20の座標を見る
等高線(地形図で山の標高を表すような線)を参考に、その座標での大体の数値を読み取る
例えば、読み取った数値が900であれば、「先にハロウィンメーティスを打つ場合の方が、先に異世界アラジンを打つ場合よりも900ダメージだけ火力が高い」という結論になる
というように図を解釈します。これを見ると、だいたいの場合はハロウィンメーティスから使用する方が高火力であることが分かります。逆に、HP50%→5%などの急激な変化があった場合は流石にメーティス温存の方が強いようです。
では、別の問題を考えてみます。試合終盤、手駒にハロウィンメーティスと異世界アラジンがあり、コンボ導線を作ることはできないが、既に別のコンボ導線(辺置きのキンマモンなど)が確定している場合はどうでしょう?
この場合の計算結果がこちらです。↓
この場合は、そもそもコンボスキルの火力が同じであり、火力差には影響しません。したがって、単純に「ハロウィンメーティスと異世界アラジンをどちらから投げた方がダメージを出せるか?」という問題に帰着されるので、楔消費分とライフバ増加分の大小関係で決まります。
概ね16.7%以上削られるとハロウィンメーティス後出しの恩恵が大きいようです。HP31000の場合、約5100程度の変化分に相当します。少しでも火力を伸ばしたい方は、この辺りを考慮しておくと役立つかもしれません。
このように、なかなか非自明で面白い可視化ができたので、紹介させていただきました。計算式も明記しましたので、もし間違っていた場合はご指摘いただけると幸いです。
楔の安全地帯
楔デッキ同士のミラー戦では、楔生成駒をいつ使用するか?という駆け引きが発生します。その時の判断材料として、楔の安全地帯という考え方があります。
この考え方を使うと、例えば実際にミラー戦が発生した時に、
この後の進行では自分の楔の安全地帯が4~5マス確保されるから、楔生成駒でさっさと安全地帯に生やしておこう
相手の楔の安全地帯に5本あるから、安全地帯を消すような進行にしよう
ここで楔生成駒を使っても相手の安全地帯にある楔3本は消えない、つまり糸雪が絶対に使えてしまうから、シールドでコンボの特殊を軽減しよう
などと、楔生成駒の使い所や盤面進行を計画することができます。
ゼウスの使い方
ここでは、「補正・用途別編成例/無補正:ゼウス型」の章で紹介しきれなかった、ゼウスの強さとその運用方法についてお話しします。
上述の章で、ゼウスは初手に引かなければ弱いという認識であったことを話しましたが、実際に使っていくうちにゼウスの強さはその限りでないと実感しました。
まずはスキルについて。楔が9本生成されるということは、毎ターン900ダメージ分の底上げをしてくれることを意味します。
"ダメージを与える"ではなく"底上げ"と表現した理由は、生成した楔が自分や相手に踏まれたり、神雷スキルで消費されたりするからです。それでも、ゼウスを使用せず、同じように楔を踏んで神雷消費を行なった場合に比べて相対的に900ダメージ分高いと言えるので、底上げがなされたと考えることができます。
※厳密には楔の踏まれやすさや飽和状態を考慮しないといけませんが、定式化が難しいので簡単のため無視しています。
すなわち、ゼウスを素出しして5ターン経過するだけで900×5=4500ダメージ相当の打点補助をしていることになります。試合の平均ターンが8ターンだと仮定すると、4手目までにゼウスを投げた場合は、進化ウィブサニアや闘化バフォメット相当(またはそれ以上)の仕事がなされたことになります。
続いてコンボスキルについて。楔8本消費で850×8=6800ダメージの神雷火力を叩き込みます。コスパも打点も突き抜けて高い数値です。楔が飽和しないと仮定して、1ターン目にゼウスを設置・2ターン目に神雷コンボを使用する場合の仕事量は、
1ターン目:楔9本 → 900ダメージ
2ターン目:楔1本 + 神雷6800 → 6900ダメージ
合計: 900+6900=7800ダメージ
このように、スキル・コンボ合わせて7800ダメージ相当の仕事をしたことになります。両面3900ダメージの駒を使用したような感覚です。5手目以降にゼウスを引いた場合でも、通常の楔生成の用途に加えて、コンボ確定させて手っ取り早く大ダメージを出すという使い方ができます。
では、ゼウスが真に役不足になるのはどんな時か?それはゲームの最終ターンにゼウスを引いた場合と、神雷駒とのコンボで楔が足りない場合です。
しかし、闘化ミューズ、闘化スゥ、進化フェイルノート、闘化キンマモンなど、ゲームの最終ターンに引くと貢献が少ない常連駒は珍しくありませんし、楔不足に関しては使い手の楔管理能力である程度カバーできるので、少なくともこの理由だけで採用を見送るのは勿体無いように思えます。
そして、ゼウスを使用して最も恩恵が大きかった強みは、尋常ではないコンボスキルの圧力で相手の進行を誘導することにあります。いくつか例を見てみましょう。
アマテル対面・神殴り対面・混合デッキ対面などで試合が楽になった展開の例です。自分が先攻でゼウスを最速で使える場合、初手よりも2手目のなり打ち(画像↑のようなX打ち進行のこと)で使用することが多かったです。
これにより、相手はゼウスの右(C2)に駒を置きづらくなり、ほとんどの場合右辺(F4)に駒を置いてくれます。上記の対面において、C2からのコンボによるゴリ押しを回避できる恩恵は非常に大きいです。
圧力に屈しずC2からのゴリ押しを行なった場合は、お望み通りゼウスのコンボを使ってあげましょう!!! (時と場合によります)
メルヴェユール対面の場合は先攻2手目風車打ちが最も強い制限を与えます。
後のコンボを嫌って左辺(A2)に打たせるか、2手先以内にコンボ封印または遠夜を使わせることができます。いずれも大きなアドバンテージとなりますし、ゼウスコンボを許容してきた場合はイージーウィンが狙えます。
後攻の場合はどの進行でも初手から使用してOKです。相手がX打ち速攻を仕掛けようとする場合も、ゼウスのコンボスキルを前に諦めてくれることが多いです。
また、こちらから能動的に仕掛ける方法として、並行打ちが挙げられます。
この時点で、コンボ封印・遠夜・C打ち進行(B6)のいずれかを強要する状態となります。大抵の場合B6に打ってくれるので、将来的に下辺(D6)からコンボ導線を確定させることができます。
このように、序盤のゼウスはスキル性能によるアドだけでなく、コンボスキルの圧力によって相手の進行や行動を制限するという効果も持ち合わせています。
オーラ天楔デッキでよく使うなり打ち進行の中盤では、次のような使い方が効果的だと感じています。まずは先攻の場合。
次の相手としては、ゼウスの左(D2)に強力なコンボスキルを設置し、B4でコンボを繋げる進行がよく見られますが、その場合はゼウスコンボが通るため、別の進行に誘導することができます。特に神殴り対面で相手が左上の角(A1)に置いてくれると、コンボスキルの使用回数が減って試合が楽になります。
次に、後攻の場合です。
この局面では、ゼウスコンボを許容するか、ゼウスを消して盤面を崩すかの2択を強要することができるので、非常に効果的です。
ここで取り上げた進行以外でも、空中設置したゼウスを消させることで相手のコンボスキルを遅らせるなどのテクニックは共通して使える戦略です。
ここまでの話をまとめますと、
素出しして5ターンで4500ダメージ相当の打点補助
コンボスキルを絡めて7800ダメージ分の仕事
コンボスキルの圧力を利用した進行誘導
この3点によって、序盤から終盤までかなり多くの使い道がある駒だと言えるのではないでしょうか。
※さらに細かい話として、アナンのオーダーD(HP30%以下で1600吸収)を発動させないように飛ばしたい場面や、闘化ミューズの減少バフを抑えながら2手飛ばししたい場面でもゼウスのコンボスキルが重宝します。他にも強力な使い方がありましたらぜひ教えてください!
まとめ
ここまで記事を読んでくださりありがとうございます。改めて本記事の概要をまとめますと、
デッキレシピは画像の通り↓↓↓
環境に合わせて"S駒"と"A駒の自由枠"を選択↓↓↓
初手から出せる駒を最低6枚は編成する
シトリのATKを+Maxにする
日常ヴェークロストとエルヴィン団長のATKを+Maxにする
これさえ覚えていただければバッチリです。この記事見つけて読んでくださった皆さんが、楽しい天楔ライフを送れることを願っております!
※ 質問・コメント・議論などありましたら大歓迎ですので、ぜひ geon (Twitter: @geon16400684) までDMしてください!
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