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【コラム】競走馬の能力の捉え方とその理解

競馬というギャンブルの基本中の基本は強い馬を買うこと。では強い馬とはどんな馬だろうか。

自分なりの競走馬の能力の捉え方を紹介する。
多少抽象的な話になるのはご容赦頂きたい。

またここでは適正についてはさほど触れていないが、「競走馬の能力の方向は一定ではない」と重々理解した上での記事であることも前置きしておく。

基礎能力の捉え方
競走馬の能力のファクターをとことん還元していくと、やはり残るのはスピードとスタミナの2種類 にいきつく。私がよくイメージしているのはドリンクサーバーのようなものだ。

こんなやつ

 中に入る水の総量がスタミナ、蛇口から出る水の量が速度だ。各馬それぞれ容量も蛇口の強さも違うサーバを持っていて、共通するのは水がなくなったら止まるということ。

そして馬の状態の良し悪しは、タンクの総容量に対してにどれくらいの水が入っているか、蛇口を何%捻ることができるのか、等をイメージすることがよくある。

ディープインパクト、オルフェーヴル、キタサンブラック等のスーパーホースはいくら水を勢いよく出しても止まることない容量を持っていた、と捉えている。

競走馬のスタミナとは
よく「長距離を走れるスタミナ」という表現が使われることが多いがこれは半分間違い。スピード能力を1200m持続させるスプリント戦にも相当なスタミナが必要だし、ペースが極端に落ちる長距離レースではスピード能力に長けた馬がスタミナをあまり必要とせずに走り切る場合もある。要はタンクの容量と、どれくらいの強さで水を出せる馬なのかを認識すると理解しやすい。

一例としてスプリントG1の高松宮記念を勝ち、種牡馬としても好成績のビッグアーサーについて。本馬の母はKingmanbo×Sadller‘s Wellsという、どちらかというと欧州の長距離配合の馬。さらに父サクラバクシンオーの母も天皇賞春や有馬記念を勝ったアンバーシャダイの全妹だった。スタミナの裏付けがあったからこそ、爆発的なスピードを持続できたと考えるのが論理的。


距離適正について

では距離適性とは何か。個人的には距離適性というよりペース適正という考え方をしているし、勿論それは馬場によって変化する。(春の東京と重の凱旋門賞はもはや違う競技)

同程度の馬場状態であるという前提ではあるが、ある程度のペースで1600mを走りきれれば、スローになりやすい2000mでもそれなりに走れたりするし、2000mで強かったとて、速いペースの1600mを走り切るスタミナが無かったなんてことはよくあることだ。
前者は天皇賞秋のグランアレグリア、後者はヴィクトリアマイルのレイパパレ等が理解しやすい。

能力判断
能力を判断するために実際のレースとレースラップを一緒によく眺めている。
例えば1200mを1.08.0で走った馬がいるとする。ハロン平均11.3秒、時速換算すると平均64.2kmだが、これが6ハロンのどの時点で加速し、どの時点で減速しているか、最高速度はどれくらいで、それを何メートル持続できていたか等。その際はもちろん騎手の手応えやアクションも加味する。馬なりでの速度は、追ってから加速できたのか、等でその馬の個性を理解している。

いまの日本競馬ではスピードがあることが走る馬の前提条件で、その上でスタミナ能力が問われる。ポイントとしては加速より減速に重きを置いている。

よくラップを比較してどーのこーのと言ってる予想家がいるが、別のレースのラップを比較しても全く意味がない。レースラップとはそのレースの中で馬の能力やパフォーマンスを把握するものだ。

最後に、指数という考え方について
競走馬の能力を指数化してる人たち(私が知っているのは某バラエティ予想tvの人だけ)がいるが
、さすがに競走馬の能力を一つの数字にするには無理がある。

単純な数字比較は判りやすくて、あまり考えることが得意ではない人にとっては判断しやすいし、的確に数値化している人も中にはいると思う。
(偶然馬券が当たることもあるだろう)

だが、もっと立体的に、アナログ的に競走馬の能力を把握すると、より競馬という競技への理解が深まるし、何より楽しい。これは自分のようなギャンブル中毒に近い人間より、純粋な競馬ファンにこそチャレンジしてほしい。

No gamble, No future.

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